論文の紹介

【2016年4月26日】



twitter上で以下の論文を発見しましたので紹介いたします。



植民地の独立と人権――在日朝鮮人の「国籍選択権」をめぐって 鄭 栄桓 2013

http://repository.meijigakuin.ac.jp/dspace/bitstream/10723/1380/1/PRIME36_49-65.pdf


この論文に当時国籍選択権を求めた朝鮮人の記述があります。




★私が唯一rubio1919の発言で同意するもの。

>”すべての在日”は、”日本社会の住民”であって、民団や総連のような民族団体も、それぞれが日本社会の中の一任意団体に過ぎず、彼らが在日の意見の代弁者で「在日朝鮮・韓国人社会」の代表かのような顔をし、日本社会もそのように認識している、ということが問題なのです。(リンク元不詳)

http://d.hatena.ne.jp/rubio1919/20100208#1265617171

ps。rubio1919さん。あなたが主張すべきなのは恨みつらみじゃなくこの視点じゃないのか。

★こんにちは!!帰化手続き中の在日です!

http://anond.hatelabo.jp/20090414170900






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⑥日韓会談文書を中心に--議論の終結と資料--

【2011年6月21日改】


4月28日ブログ上からこのエントリーだけが忽然と消えました。そこで急遽修復作業中ですので、以下のものは暫定版です。ご了承ください。

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日韓会談文書についてのRさんGさんの議論です。公開されている文書ですからどちらかが文脈無視の牽強付会を行った場合、誰の目にもすぐ明らかになります。
お二人の議論もいよいよ大詰めです。



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R 2010/02/08 00:03
以下は、あなたが紹介してくれた「日韓市民でつくる 日韓会談文書・全面公開を求める会」のURL( http://www7b.biglobe.ne.jp/~nikkan/ )からの引用に基づくものです。



①先ず、日本公開の日韓会談文書( http://www.f8.wx301.smilestart.ne.jp/nihonkokai/nihon.html )の中の第4次開示決定文書( http://www.f8.wx301.smilestart.ne.jp/nihonkokai/4ji/4jikettei.htm )にある「日韓会談処遇小委員会(第三次)」(文書番号:222)の記録8枚目の13行目から17行目までを抜粋:

「国籍の変動の基準は大体住所地主義であり平和条約第二条の規定のみでは在日韓国人日本国籍を喪うとはいいきれない旨の日本側発言に対し、先方(韓国側)は依って(在日の)処遇について満足が行かない場合はこのまま日本国籍を取得させることもありうる旨述べた。」

これに対応する韓国側の記録は、韓国公開の会談文書( http://www.f8.wx301.smilestart.ne.jp/honyaku/honyaku.html )の中のPDFファイル81「第1次韓日会談(1952.2.15−4.21)在日韓人の法的地位委員会 会議録、第1−36次、1951.10.30―1952.4.1」( http://www.f8.wx301.smilestart.ne.jp/honyaku/honyaku-2/81.pdf )の33頁6行目から16行目:

日本側 平賀代表 「領土の変動は住所者に対して国籍を定めるのが国際慣例なのだが、平和条約だけでは在日韓人の日本籍の喪失にならないので、これを決定する必要がある」と言ったのに対して、
わが側 兪鎮午代表 「国籍選択権を付与すれば良い」と言った。 
これに対して日本側 平賀代表 「それは領土の割譲時の選択権の例ではないかと思われ、在日韓僑の件は国際先例がないではないか」と反問したのに対して、
わが側 洪代表 「第一次大戦後のポーランド等を先例にすれば、日本籍を持って韓国籍を選択できるようになるではないか」と聞くと、
即 田中代表 「それは結局待遇問題だから、決定をしなければ無国籍者だけ出るではないか」と答弁したので、
わが側 洪代表 「住所主義によって日本籍を取得すれば良い」と言った。

上記の会議録から

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サンフランシスコ平和条約だけでは在日朝鮮人日本国籍喪失にならない。
・領土の変動時は住所地の国籍を認めるのが国際慣例。
・韓国は在日の日本国籍取得に必ずしも否定的ではなかったし、
 在日の処遇いかんによっては国籍選択権も視野に入れていた。

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ということがわかります。
ちなみに、在日の処遇について、韓国側代表は参政権等を除いて日本人と同等の待遇を求めたのに対し、日本側はそのような特別待遇を認める意思がない旨回答している。



②上述の日韓会談に先んじて日本側は、「国内朝鮮人の法的地位に関する対韓折衝方針」( 第4次開示決定文書内、文書番号:549 )を作成し、1枚目の「一、国籍の決定」の項で、「日本国籍を得たいものは、国籍法による帰化手続きによらしめることとし、オプション制度を廃すること。」との方針を明確にしている。

「日本政府としては帰化による方が日本国籍の取得をコントロールする自由があることを考えれば国籍の変更は帰化によらせる方が適当であり、国籍選択権は認めない方がよい。」と説明し、「在日朝鮮人のなかには日本の国籍取得を希望するものが多い模様であるが、韓国政府はなるべく同国籍を保有させたき意向の様子であり先方から本件を持出すことはあるまい」と考えていた。

また、同文書の1〜2枚目にかけて、「二、国籍の決定基準」は「戸籍に拠ること」とし、「この戸籍という形式的要件を利用して誰が外国人としての朝鮮人であるかを決定するほうが、過去における領土の割譲又は独立の際に行われたような言語その他の実質的要件に基づいて住民の国籍を決定するよりも簡明に処理できる。」と説明し、「すなわち平和条約締結の際に日本の戸籍をもっていないものはすべて日本の国籍を失うものとして処理する。」と在日の日本国籍剥奪の処理方法を述べている。(尚、同文書5枚目の後半部では、この案に対する意見として、「戸籍の記載そのものによって日本国籍の有無が決定されるのではない」との法的見解が示されている。) この日本側の方針が以降日韓会談の終了まで貫かれたことは、実際の会議の進行が示すとおりである。

さて、先述の韓国側PDFファイル81の32頁の下より15行目から、日本側案文に関する最初の折衝における日韓のやりとり:

わが側 兪鎮午代表 ・・・ 「日本側の提案は選択権を排除しようという意図ではないか」と再度反問したのに対して
日本側 平賀代表 「身分変動は認めるが、そうだ」と言った。

以上から

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・日本は日韓会談以前に在日朝鮮人日本国籍剥奪の方針を打ち立てていた。
・日本側が国籍選択権を認めないという強い意思で日韓交渉に臨んだ。

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ということがわかります。



③また、韓国側文書のPDFファイル78「韓日会談予備会談(1951.10.20−12.4) 在日韓人の法的地位問題事前交渉、1951―9」( http://www.f8.wx301.smilestart.ne.jp/honyaku/honyaku-2/78.pdf )では、韓国側が連合国側に対して、「在日同胞も大韓民国憲法及び大韓民国国籍法に依拠した大韓民国国民である」ことを確認し又日本政府に指示することを要請したことが述べられているが、24頁には、連合国側法律局ベーシン氏は、「韓国国籍法を日本政府がそのまま受諾するよう強制できない」、「国籍問題はSCAP(連合国最高司令部)の権限外」、「国際法原則上、平和条約に随伴する案件決定は占領当局権限外」と答え、「日本政府も知っていることだろう」と付け加えて回答したことが記述されている。

以上から

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・連合国側には在日朝鮮人の国籍の得喪及び法的地位に関する決定権がない。
・つまり、在日朝鮮人日本国籍喪失は連合国の意思によるものではない。

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ということが確認できます。



④「平和条約だけでは在日朝鮮人日本国籍喪失にならない」との認識に加えて、前出の日本側文書「国内朝鮮人の法的地位に関する対韓折衝方針」( 第4次開示決定文書内、文書番号:549 )の8枚目には、「在日朝鮮人の法的地位を確定するには条約の締結が必要」との認識が記されている。

さらに、「国籍の得喪基本的人権に関る事柄であるから批准条約を以って定める必要があり、これ以下の例えば行政的取極め等によることは適当ではない」とも述べられている。

結局、平和条約発効までに在日朝鮮人の処遇についての日韓協定が批准されることはなかった。

以上のことから

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・在日の日本国籍喪失は、国際条約によらない日本による一方的剥奪であった。

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ということがわかります。

尚、サンフランシスコ平和条約http://www004.upp.so-net.ne.jp/teikoku-denmo/no_frame/history/kaisetsu/other/tpj.html )は締結国に「世界人権宣言の目的を実現するために努力」することを求めているが、世界人権宣言の第15条2項は「何人も、ほしいままにその国籍を奪われ、又はその国籍を変更する権利を否認されることはない。」と規定している。( http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/udhr/1b_002.html ) しかし日本は、その宣言が法的強制力をもたないことをよいことに、それが基本的人権の侵害になることを知りながら、本人の意思を確認することなく、一官吏の一片の通達という行政的手段によって、違法に在日から日本国籍を剥奪したのである。

ということで、これまでのあなたの主張が誤りだということが理解できたでしょうか?




G 2010/02/09 00:40
まず、

> 「国籍の変動の基準は大体住所地主義であり平和条約第二条の規定のみでは在日韓国人日本国籍を喪うとはいいきれない旨の日本側発言に対し、先方(韓国側)は依って(在日の)処遇について満足が行かない場合はこのまま日本国籍を取得させることもありうる旨述べた。」

ですが、同じ資料の韓国側主張として示されているように

「韓国人は総て一九四五年八月九日のポツダム宣言によって非日本人化され…(中略)…一九四五年八月十五日韓国政府樹立により韓国国籍を取得した。従って国籍問題は別に論じる必要がなく処遇の問題が残っているだけである」

と主張を受けての発言であるを忘れてませんか?これをRさんがおっしゃる通りに解釈すれば、韓国側が在日はポツダム宣言受諾時点で日本国籍を喪失し、また終戦と同時に韓国籍になったのだと主張し、日本がそれに対して在日の日本人としての立場があり得る事を確認しようと反論したことになっちゃいますね。これじゃここで議論されてた道義的責任など存在しないことになっちゃいますけど、そういう事でよろしいですか?もちろん違いますよね?

これは単純に言えば日本側の代表者の勉強不足の発言と言える話でしょう。日本側の勉強不足と言えるのは、まずこの「住所地」の定義を明確にしない(後述するように日本の統治機構上これは重大な問題ですから)ままの発言である事、また住所=実態としての居住地とした場合、繰り返しRさんが引用されてきた西ドイツにおける在独オーストリア人のドイツ国籍喪失と国籍選択の過程は国際慣例に基づかない異例の扱いであるという理屈になってしまう事です。多くの植民地の独立の場合、単純に居住地で区分される事はなく、統治の実態に基づく区分がなされるため、その実態を規定するための条文を長々と条約の中に書いたり別途条約を締結したりせざるを得なくなるわけですし、イギリスをはじめ少なくない国が取るように国籍と市民権が切り離されたりするわけですよね。

また、そもそもこの際の発言は田中委員の「根本的な問題であり即答出来ない」という発言(p.3)、またp.6にあるとおり日本としての見解は次回に示す、という立場での発言です。なので、これをもって日本の確定的な解釈というのは無茶苦茶です。実際、この次の第四次の会談(文書番号223)のp.1〜2で「日本側としては講和条約の発効により自動的に日本国籍を離脱するものと解釈している」という回答がなされてるわけですから。

また、第四次の会談の文書番号223のp.2「将来にわたって日本人と同等の権利を得たい者は帰化の方法を取って貰いたいし、この方法によらずして特別の権益を得たいとのお話ならば通商航海条約討議の際、日本側としては相互主義の原則により会談に応じたいと考えている」との主張があるとおり、平和条約とは別途のなんらかの規定に基づく在日朝鮮人の地位に関する扱いを否定してはいません。

さて、住所地と言う表現が日本の統治上重大な問題となると言った理由ですが、終戦当時

・戸籍の本籍…本来の住所
・寄留法による届出…本籍を離れ90日以上滞在する場合、及び外国人が滞在する場合
・世帯台帳…配給のために作られた住民記録

という少なくとも三つの異なる「住所」が存在したからです。住民登録法が出来るまではあくまで戸籍の本籍が本来の住所であり、国民すべてが持っている現在の住所に相当するのがこの本籍。その本籍はどの地域の統治に属する者かに基づき、属する土地の中に定められていたわけです。それ以外の場所は仮の住まいであり、そのような仮住まいする者の実態を特定の目的(徴兵や外国人の掌握、配給など)のために掌握するための寄留法や世帯台帳です。こういう実態を踏まえてこそ戸籍の本籍というものに意味が出てくるわけです。日本の統治と日本の統治下にあった者の間の連結点として、統治によって規定された地域ごとの戸籍制度とそれに基づく本籍というものが存在していたからです。これが

> この戸籍という形式的要件を利用して誰が外国人としての朝鮮人であるかを決定するほうが、過去における領土の割譲又は独立の際に行われたような言語その他の実質的要件に基づいて住民の国籍を決定するよりも簡明に処理できる。

という発言の意図する所ですね。日本が戸籍制度という他国に存在しない身分関係を記録する明瞭なシステムを持っていたからこそ実現できた極めて簡便かつ合理的な要件だったわけです。別の文書(たとえば第四次開示決定の文書番号220)に確認されているように、日本国籍となる根拠が併合条約にあるとする以上、法的な見解としてRさんが指摘されている「戸籍の記載そのものによって日本国籍の有無が決定されるのではない」というのも当たり前。どの戸籍に記載されるべきか、またどの地域の本籍(本来の住所)を持つかは各々の地の統治に基づいて出されていた法令で決まっており、戸籍上の記載自体はそれを反映した結果の記録としての意味しかないものだからです。朝鮮人の場合、朝鮮の地で行われていた統治に基づき、そこで出された法令によって規定された戸籍への登載が義務づけられているわけです。その理屈によって定められた結果として本籍が当該戸籍に記録されているだけだからです。戸籍は統治関係を示す証拠として機能しても、証明されるべきものは統治関係の有無です。朝鮮人の場合、どうがんばっても朝鮮統治なしには自らの日本人としての地位を法的に確立出来ないのです。単に内地に住んでいて寄留届出していても、それは外国人も同じように出しているものだから国籍を主張する根拠にならない。寄留法は内地のみで施行された法律であり、この第1条の「本籍ヲ有セザル者」が内地の戸籍法上の本籍を持たない台湾人、朝鮮人などを指し、また「日本ノ国籍ヲ有セザル者」が外国人を指していたわけで、この寄留法の適用の時点で朝鮮人が朝鮮統治を確認せざるを得なくなる。総てがこんな感じです。そこらへんの理屈は最高裁判決理由で繰り返し説明されているものです。

また、

> 日本政府としては帰化による方が日本国籍の取得をコントロールする自由があることを考えれば国籍の変更は帰化によらせる方が適当であり、国籍選択権は認めない方がよい。

は、その方針が出されるまでの日韓交渉の記録で示されている通り、日本国籍離脱を認める限りは離脱後は一般外国人と同様に扱うという方針に則っているためとの説明ですよね。日本側は繰り返し、特別な扱いが必要なら別途条約等で相互主義に基づき規定するべき、とも言っていますね?そもそも、田中委員が韓国側に強制的に退去させられた在朝鮮日本人の処遇について言及したときに、その件については将来の条約交渉の中でするべし、と主張していたのは当の韓国側ですし(韓国側の資料81.pdfのp.31)。

というか、Rさんが引用されている部分の前に

在日朝鮮人日本国籍法の条項の解釈如何では殆ど凡てが帰化要件を備えておりこれにより本人の意思を実現しうる事」

という一文があるのを忘れていませんか?殆ど総ての在日朝鮮人帰化要件を満たすことが可能であり、本人の日本人として生きる意思を実現出来る事を確認した上で、主権を持つ一国家として、国としての独立を放棄するに等しい自らの裁量に基づかない形の国籍認定を避けているに過ぎません。もしこのような帰化で不足だというのなら、それこそ別途条約で相互主義に基づく交渉をすればいいわけですからね。韓国側が先送りした、韓国によって強制退去させられた在韓日本人の処遇と一緒にね。

日本が韓国の植民地や属国となったのならともかく、敗戦国とはいえ独立後はあくまで対等な国家としての付き合いをして行くわけですからね。


G 2010/02/09 01:26
> 韓国側が連合国側に対して、「在日同胞も大韓民国憲法及び大韓民国国籍法に依拠した大韓民国国民である」ことを確認し又日本政府に指示することを要請したことが述べられているが、24頁には、連合国側法律局ベーシン氏は、「韓国国籍法を日本政府がそのまま受諾するよう強制できない」、「国籍問題はSCAP(連合国最高司令部)の権限外」、「国際法原則上、平和条約に随伴する案件決定は占領当局権限外」と答え、「日本政府も知っていることだろう」と付け加えて回答したことが記述されている。

とはいえ、日本側第四次公開の文書番号561にSCAPによる斡旋案が提示されている事実が記載されているわけですから、在日朝鮮人を永住権を持つ外国人としての地位とする事に異論はないということですね。また、その561には、日本側の意図についてGHQ側に逐一説明し了解を取っている状況が書かれているわけですが。あと、「在日同胞も大韓民国憲法及び大韓民国国籍法に依拠した大韓民国国民である」ということを確認しろ、というのは、要はポツダム宣言時に国籍を喪失した等々の韓国側の主張を日本に強制的に飲ませろ、というわけで、日韓の会談を取り持っているGHQ側としては到底受け入れられないでしょう。会談を設定している理由が無くなるわけですから。

また、第四次公開分の文書549を根拠に

> 「国籍の得喪基本的人権に関る事柄であるから批准条約を以って定める必要があり、これ以下の例えば行政的取極め等によることは適当ではない」とも述べられている。

とおっしゃっていますが、そこのところ、もうちょっと前をよく読んだ方が良いですよ。その行政的取り極めでは適当ではない、というのは、文書549のp.8ですよね?これは、外務事務官千葉氏の「日韓交渉に関し伺の件」という文書の一部分で、

「二、講和条約発効前在日朝鮮人の法的地位を確定するには条約の締結が必要と認められる」

という意見の説明だからですよ。よーくご覧になれば判る通り、

  講和条約発効『前』

在日朝鮮人の法的地位を確定するためには…という話です。現実には

  講和条約発効『と同時に』

外国人としての法的地位が確定したのですから、明らかにこの場合には当てはまらないのですよ。ということで、

> ・在日の日本国籍喪失は、国際条約によらない日本による一方的剥奪であった。

というRさんの主張は、「講和条約発効『前』在日朝鮮人の法的地位を確定するには条約の締結が必要と認められる」の『前』という文字を見落とした事による誤解という事になりますね。



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現在元ブログ上でRさんGさんの議論はストップしております。どうやらここで議論終了のようです。






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★資料『第5 次 韓・日会談 予備会談』の韓国側公開資料の日本語訳

これは、日韓基本条約締結のためのほぼ最終の予備会談です。
 ①は韓日会談に対する状況の説明で、②は①についての韓国側の検討です。

資料②によると韓国側は以下のように主張しています。
三、処遇問題
   在日韓人の処遇に対してわが側は、選挙権と公職就任権を除いては内国民待遇を上げることを前提に、
五、国籍問題
   在日韓人は原則的に太平洋戦争終了と共に日本国籍を離脱し、大韓民国樹立と国籍法の発効と共に、韓国籍を取得したことを確認しなければならない。

資料①
 会議要録
  1. 会議日時 : 1960 年12 月13 日(月曜日)午後3 時から約1 時間の間
  2. 会議場所 : 政務局長室
  3. 会議出席者 : 外務部政務局長 尹錫憲
          駐韓米大使館1 等書記官 ドナルド・エル・レイナード(Donald L.Ranard)

 韓日会談に対する説明
  3.各分科委員会の討議進展状況
   (2) 在日韓人法的地位分科委員会
    前述したように本委員会は、今まで6 次にわたる公式会議を持ったが、その間色々な問題(例えば在日韓人の永住権、退去強制、職業権、財産権及び財産搬出問題等)に関して、実質的な討議が進行したことで、相当な進展があった。今まで討議されたことを問題別に分けて、双方の主張を説明すると次の通りだ。
    (ア) 永住権問題
     イ、永住権を付与する対象者の範囲
      日本側は永住権を付与する対象者の範囲を制限して、
      (1)太平洋戦争終戦当時から続けて日本に居住する韓人、及びサンフランシスコ平和条約発効以前に日本で出生し続けて居住するその子孫に対しては永住権を与える。
      (2) サンフランシスコ平和条約発効以後に出生したその子孫に対しては、次のように処理する。
       イ) 成年になるまでは家族と同居できるように人道的な措置をする。
       ロ) 成年になったら永住許可申請を受けて、好意的にこれを許可するよう特別に考慮する。
      と主張するのに対して、韓国側はサンフランシスコ平和条約発効前後、成年余否にこだわらず、戦前から日本に続けて居住する韓国人、及びその子孫は当然全部永住権が付与されなければならないし、サンフランシスコ平和条約発効の日時のようなものが在日韓人の永住権付与余否に関する基準点になる理由がないと主張している。

     ロ、永住権許可の方法
      韓国側は申請、審査、発給の順序に沿って永住権を個別的に付与することを原則にしようという意見を持つのに対して、日本側はもう少し包括的で簡便な方法がないかに関して、一緒に討議したいとしている。
     ハ、退去強制
      日本側は、一般外国人は日本国入国管理令第24 条に規定された退去強制事由に該当する者は退去強制されるが、在日韓人に対しては該当事由を縮める用意があると言うのに対して、韓国側は在日韓人が特殊な地位ないし事情を持っているので、退去強制はあり得ないと主張している。
      (イ)処遇問題
       韓国側は在日韓人に対する内国民待遇の付与を要求し、教育及び経済的分野において、日本人と同等な機会が与えられなければならないと主張しており、これに対して該当部間の合意調整後自分の側の提案を提出するとしている。
      (ウ) 在日韓人の本国帰還時の財産搬出問題
       韓国側が帰還者の財産搬出及び送金に対して、如何なる制限も加えてはならないと主張するのに対して、日本側は課税、搬出財産の量、または送金額の限定等で制限を加えようとしている。
      以上が今まで討議された大筋だが、わが側は今後この問題に関して、在日韓人が本人が望むなら日本に安住できるように、最大限の法的及びその他保障を確保してあげる方向で解決しようとしている。

資料②
 在日韓人問題
  在日韓人法的地位委員会で論議された問題は在日韓人の永住権、予備会談 退去強制、財産及び職業権保障を含む一般処遇問題、財産搬出及び国籍問題がある。
 一、永住権問題
  日本側は日本国内での永住権が付与される在日韓人の範囲を、次のように限定しようとしている。
   (A)太平洋戦争終戦当時から続けて日本に居住している者
   (B)前項該当者の子孫で対日平和条約発効日以前に日本内で出生した者
   (C) 対日平和条約発効日以後に日本内で出生した者に対しては、彼らが父母から離されて強制退去をされないように人道的見地から善処する。
   (D) 永住権許可方法に関しては簡便で良い方法があるか韓国側の意見を聞きたい。
  このような日本側の立場を検討したが、
   (A) 日本側は在日韓人子孫に永住権を付与するにおいて、対日平和条約発効日を分界点にしようと企図しているが、これは次のような理由から不可だ。
    (1) 日本側は在日韓人が平和条約発効を契機に彼らの意思に反して日本国籍から離脱したという論理を掲げているが、それならば在日韓人は太平洋戦争終結時に日本国籍を離脱し、大韓民国樹立と同時にわが国籍を取得したのではなく、1952 年平和条約発効に際して初めて日本国籍を離脱した結果になる。
    (2)このような主張は結果的に、平和条約発効以前に大韓民国が独立したことを否認することだから、「久保田妄言」と同じ趣旨になるので言語道断である。
    (3)またわれわれの対日請求権は太平洋戦争終結時(1945 年8 月9 日)から起算しているので、万一このような前例を残せばわれわれの請求額に多大な影響を与えるだろう。
    (4) 在日韓人の子孫は特にその生活本拠地が完全に日本にあるのであり、したがってその生活方式も日本化する傾向が多大なので、属地主義的見地からも彼らに永住権を付与しないのは不当だ。(米国の例を参酌)

   (B) 平和条約発効以後に出生した者に対する善処云々は、次のような理由から不可だ。
    (1) 協定文に明示されなければ、日本側が後にこれに違背する行動を取る時、われわれが抗議を提起しても何の意味もない。
    (2)したがって協定文に明示することが必要だが、日本側が国内外的な理由から秘密裏の言質を願うなら、ORAL STATEMENT のようなものでなく、両側の署名を要する公式文書でなくてはならない。
   (C) 永住権許可方法には次の二つがある。
    (1) 在日韓人(終戦当時から継続して日本に居住した者)全体に自動的に付与する。
    (2) わが駐日代表部に登録させ、その登録証を添付して永住権許可を申請させる。
   これを検討したが、
    (1) 自動的方法を取るならば、在日韓人が永住権を貰えるようになるのが、わが政府の努力の結果ではなく、逆に当然なことだと思って大韓民国を支持するようになる可能性より、却って左翼に自分たちの功労と逆宣伝される怖れがある。
    (2)またこのような措置は在日共産分子たちにも自動的に永住権を与えることになり、彼らに日本内で活動を続ける足場を備えて上げることである。
   これとは反対に駐日代表部の審査を経るようにさせれば、次のような利点がある。
    (1) わが政府の努力を理解させ、また代表部登録が永住権許可申請の要件になるので、韓国系僑胞が増加する可能性が多大だ。
    (2)特に永住権はわが僑胞の最大関心事のひとつなので、これを契機にいわゆる中立系僑胞が左翼勢力から離脱し、われわれに包摂される可能性が多い。
    (3)永住権付与に差を置くことで却って、一部僑胞の子孫が共産化する可能性もあるかも知れないが、それよりは逆にわれわれに包摂される可能性がもっと多い。

  二、退去強制問題
  日本側は彼らに出入国管理令第24 条(外国人で窃盗、極貧者、売淫者、麻薬中毒者、革命分子、反政府分子等を国外追放するという規定)を適用しても、韓国側と事前協議するという立場を取っているので、これを検討したが
   (A)それなら日本側に軽犯者も追放する口実を与えることになる。
   (B)また在日僑胞は大多数が極貧者で日本政府の生活扶助を貰っているが、万一韓日関係が悪化した場合には、彼らを追放しようと企図する怖れがある。
   (C)事前協議云々は事実上、実効性がない語句だ。
   (D)したがって退去強制対象者は第24 条の適用を排除し、これをただ
     (1)革命、反政府分子(2) 麻薬中毒者(3)重罪者
  だけに局限しなければならない。
 三、処遇問題
  在日韓人の処遇に対してわが側は、選挙権と公職就任権を除いては内国民待遇を上げることを前提に、
  特に
   (A) 経済活動(外国人には禁止されている財産権の取得または維持、金融の恩恵、就業差別廃止等)
   (B) 教育
  両面でこれを完全に保障するように要求しているが、まだ日本側から公式態度表明がない。
 四、帰還同胞の財産搬出問題
  わが側は永住帰国者がその財産を搬出すると願う時は、これを無制限許容することを原
  則とするが、特に
   (A) 搬出財産には如何なる関税や料金が負荷されてはならない。
   (B) 韓国へ自由に送金できるようにしなければならない。
  このようなわれわれの立場は、そのまま貫徹されなければならない。
 五、国籍問題
  在日韓人は原則的に太平洋戦争終了と共に日本国籍を離脱し、大韓民国樹立と国籍法の
  発効と共に、韓国籍を取得したことを確認しなければならない。





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以下にmacskaさんのブログに書き込んだ私のコメントを追加しておきます。私の姿勢がよくわかると思います。

furukotobumi 2009/11/09 12:32
はじめまして。
ここ一月の論争、楽しく読ませていただきました。一読者の判断として書かせてもらいます。
私はこの件に関して、上のrubio1919さんとも別のブログで意見を交わした経験のある者ですが、その時点での私にはまだ不分明であったことがここの一連の議論によりすっきりとし(特にgiroroさんのコメントは大いに参考になります)そのときよりもさらに自分の考えに確信を持つに至りました。
私は、今、改めて、思うのですが、在日の対人主権を主張した韓国政府は、戦後、在日のために一体、何をしてきたのだと、本当に庇護する気があったのか、それとも在日を外交交渉に利用するだけ利用しておいて、あとは彼らを棄民のような扱いをしてきたんじゃないか、という疑いが浮かんでくるわけです。私は、在日の方々が、半島政府の責任について問うてはいけないもののように一切触れようとしないのが不思議でならないのです。棄民のような扱いを受けていれば、「なぜ捨てた」と問い詰めなければならないのに、なぜか一切、視野の外に置こうとする態度は、私にとってどうにも不可思議です。
wikiには、『1965年の日韓国交正常化を前に、日本政府が在日韓国人の帰還について協議を持ちかけた時も、韓国政府は「彼らの措置は日本が好きにやればいい」と答えており、「棄民政策」の象徴的なことと批判されている(2008年1月16日統一日報)。』との記述もあります。
あてにならない半島国家に何も要求できないという断念が、日本国への執拗で分不相応な謝罪要求へと捻じ曲がるとしたら、だらしない父親に何言ってもしゃあないから反体制運動へ加わる若い活動家のようなもので、私からしたら、まず本物の父親を叩けよ、と諭してあげたくなるのですが、日本に住んでるんだから日本がなんとかしろ、っていう言い草は、自国民の庇護をおざなりにしてきた(人を人とも思わぬようなそれこそ人権感覚の欠落した)半島国家への深い絶望のゆえじゃないんでしょうか。
そして、日本は、彼らのその深い絶望のようなものまで斟酌して背負い込まねばならないのでしょうかという疑問もまた生まれます。不快な事実や都合の悪い現実を受け入れることは苦痛ですが、それらから目をそらし逃れ続ける限り、精神を病んだ患者と同じなわけで、口から出てくるのは、ぶつぶつとうわごとのような恨み節の妄想だけだと思います。私は朝鮮と日本の過去についてデリカシーは持ちたいが、事実や真実を曲げる必要はないし、思い上がったある種の日本人のように朝鮮人だからといって半人前扱いして必要以上の手加減を加える必要もないと思っています。歴史的事実の前に遁走してしまえばそれだけの人間だと思いますし、逆にもし新しい歴史の資料が出てくれば、潔くそれを認めればいいだけの話です。



furukotobumi 2009/11/12 21:47
鋭い舌鋒であの小谷野敦を完全制圧したmacskaさんですら、厳然たる歴史的事実を前にしては、どんな強弁的解釈も個人的倫理観とやらも少しも通用させえず、こうして一歩退却したところでぐずぐずと断末魔をおらびあげる姿をさらす他にないのだなぁと感慨深いです。私の先のコメントのあてこすりもよく理解されて食いつかれてこられた(そこしかくいつけない)のもさすがだなと。
振り上げた拳をおろし損ねて虚勢をはられてるのはわかるんですが、ここはもう一度よくお考えになって、自分がこの問題について判断を下すにはまだ事実関係の勉強が不足であったと、お認めになることをお勧めします。macskaさんのファンも途中から(『恣意的』の使用について、詭弁を弄して切り抜けられたあたりから)お師匠様、アクロバットのやりすぎは危険やわ、とひやひやしながら見守ってると思いますよ。
>不快な事実や都合の悪い現実を受け入れることは苦痛ですが、それらから目をそらし逃れ続ける限り、精神を病んだ患者と同じなわけで、口から出てくるのは、ぶつぶつとうわごとのような恨み節の妄想だけだと思います。
私たちが共有できるのは「事実」だけであって、macskaさんのちゃちな倫理観なぞ共有したくもない人間は五万といるのです。その倫理観に基づく解釈が、共有すべき「事実」を蔑ろにしたうえでの善悪の判断だとすればなおのことです。「事実」を語るな、善悪(観念)を語れ。文芸批評か何かならmacskaさんがこう主張されても誰もかまやしないのですが、ことこの問題に関しては明らかに、間違いです。
どんな勝手な観念を抱こうが、歴史の事実の重みの前に吹っ飛ばされるだけで、その重みに耐えて主張できるものだけが現在私たちの共有できる「倫理」です。新石器時代の地層に縄文土器を埋め込むようなまねをしちゃいけませんし、嘘とごまかしと曲芸は、日本人と在日との間にまた新たな禍根を残すだけです。事実に嘘を塗りたくるから二度と信用されなくなるのです。


furukotobumi 2009/11/15 22:49
だから、言わんこっちゃない。活動家としての分野でなら自分の都合を通すために嘘やごまかしや強弁で対面の相手をいくらでも言いくるめられてこられたんでしょうが、その売り物の倫理(観念)を逆手にとられて、自分の観念(倫理)が相手の観念と五十歩百歩のものでしかないということをつきつけられるとこうして沈黙せざるをえないでしょう。観念同士の勝負なら、どちらが精緻な理屈を組み立てたかで勝敗が決まったりするんですが、こと、歴史的事実に関しては、どんな精緻(と勘違いできる)な理屈(倫理)を組み立ててみても勝ち目はありません。歴史的事実の重みや現実の重さの前に吹き飛ばされるだけです。
横槍さんがなさったように、倫理(観念)の理屈なんてさじ加減でどうとでもつくんです。昔、高名な批評家もおっしゃってましたね。「美しい花がある。花の美しさというものはない」と。結局、歴史を検証し判断するときには、現実以外は幻だという、そこまで事実につくほかになく、伸縮自在で融通無碍な倫理観なんてものを基準にしてそれこそ「恣意的に」歴史を切り刻んじゃいけないってことです。
活動家は(あなたが「恣意的」についてなさったように)口八丁で現実を解釈改変できると勘違いしてるようなんですが、彼らは徹底して自分の都合の悪い現実や事実を見ようとせず、勝手な言説を組みたてます。そして現実を突きつけられると途端に感情的な言葉を吐いて遁走して倫理の塔に立てこもるのです。活動家の間違いは、自分のつく嘘とごまかしが事態を一向に改善しないで、当事者をどんどん窮地に陥れるかもしれないことに無自覚であることです。第一、当人が嘘をついてるともごまかしているとも自覚してないでしょう。そりゃそうでしょう、倫理の塔のお姫様(お分かりでしょうが皮肉ですね)なんですからね。
もう一度書きます。私たちの共有できるのは「事実」だけです。日本人と在日(あるいは半島国家)との間に共有できるのも、「事実」だけです。どちらかがそこに嘘やごまかしを挟み込んだ場合、必ずしっぺ返しをくらいます。左翼活動家が戦後在日を利用して行ってきたデマゴギーが、本当に在日のためになったか、もう一度考え直されたらいいですよ。しばらくはだませるでしょう。ざまぁみろと優位に立った気になれるでしょう。しかし、その嘘やごまかしが暴かれたとき、いいですか、二度と信用されなくなります。横槍さんの書き方もちょっとファナティックに傾いてますが、ちゃちな倫理観を振りかざして事実や現実の力を舐めると、あんなふうに書かれても仕方がありません。
もう一度書きます。嘘とごまかしは、何の解決ももたらしません。可能な限り事実につき、原則論に戻らなければ、現在の在日の事態は、おそらく解決しません。その嘘とごまかしに謝罪だの賠償だのと余分なものを差し挟んだ場合、事態は今以上にややこしくなります。新たな禍根を残しながら、どうやって「平和」にやっていくのです。
一番最初に私の書いた「対人主権を主張した韓国の責任を在日がまず問う。それから付随する韓国国民としての様々の責任も(義務も権利も)、韓国と在日が話し合って在日自身が受け入れる。在日自身がそれだけの強さを持つ」。この選択を度外視して議論したところで、観念のお遊びにすぎません。ただの倫理ごっこ(いい人ごっこ)、ということですね。macskaさんの主張される倫理なんてものはその程度にちゃちいということです。そのちゃちな倫理観で、韓国と在日の責任を問うことを恥知らずだとなじられるのでしたら、倫理という信仰にとりつかれた物狂の女にすぎないということです。現実を見失った者は精神病者にすぎません。その一番の治療法は、見たくない現実や事実ををそのまま受け入れることです。

⑤サンフランシスコ講和条約は朝鮮人の日本国籍を喪失させられるのか

【2011年6月21日改】


■Gさんと▼Rさん中心のものではない別の面の議論を転載いたします。
(読みやすいようにコメント対象ごとに順序を整理しました)



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◎K 2010/01/04 23:44
Rさん
>無論、在日朝鮮人が事実“朝鮮に帰属しているなら”日本の対人主権は及ばないでしょう。

サンフランシスコ平和条約 第二条(a)日本国は、朝鮮の独立を承認して、斉州島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。

「朝鮮の独立」です。ではwikipediaより「独立」です。

『独立(どくりつ)とは、他者・他国家などによって支配され、従属的立場にあったものがその支配から離れ、1つの主体として成立することである。とりわけ従属的立場にあった民族が別個の国家を樹立する際に用いられる。』

つまり朝鮮に新国家を樹立することを承認するということですが、国家の三要素なんかを鑑みるに、「韓国籍」が朝鮮人に付与されることを自認しているあたり、朝鮮人が内地にいても韓国(朝鮮の新政府)の統治を受けるということを吐露されているのではないかと。

尚且つ、「従属的立場にあったものがその支配から離れ」るわけですから、日本国籍を付与したまま(対人主権を維持したまま)では独立を承認する旨に反すると考えます。

「朝鮮の独立を承認」という文言でも日本の対人主権の放棄が伺えると私は思いますけどね。



▼R 2010/01/05 00:04
「従属的立場にあったものがその支配から離れ」るというのは「朝鮮の国家の独立」を指すわけですが、サンフランシスコ平和条約には国籍条項がないので、領土権の放棄を規定した当該条項によって仮に日本が朝鮮に帰属する人に対する対人主権をも放棄すると考えられるにしても、日本が放棄する朝鮮の国家に帰属する人の中に在日朝鮮人が含まれるかどうかが明らかではない、ということです。平和条約にはどこまでの範囲の人が朝鮮に帰属する人なのかの明白な規定がないからです。



◎K 2010/01/05 00:55
>「従属的立場にあったものがその支配から離れ」るというのは「朝鮮の国家の独立」を指すわけですが、

先ほど国家の三要素をあげたわけなんですが、「朝鮮の国家の独立」というのは朝鮮の新政府が領域(領土主権)、国民(対人主権)、政府(統治権)をもって成立するということですから、条約自体に国籍条項がなくても、条約の承認による経過として当然の、独立国家(韓国)として対人主権の発揮による韓国国籍法による国籍付与でありますから、在日朝鮮人が韓国に帰属する国民として認定されることはなんらおかしなことではないと思います。

韓国政府も韓国領にいない者に国籍は付与しないという国籍法は採用していませんので、「日本が放棄する朝鮮の国家に帰属する人の中に在日朝鮮人が含まれるかどうかが明らかではない」とはいえません。むしろ韓国の国籍法により含まれています。

>平和条約にはどこまでの範囲の人が朝鮮に帰属する人なのかの明白な規定がないからです。

それをいうなら一般の日本人も同じなわけでして。どこまでの範囲の人が日本に帰属する人なのかの明白な規定がないですよ。

日本の独立をもって日本の対人主権が発揮され日本国籍が決まり、朝鮮の独立をもって韓国籍が決まる、という中で、日本は朝鮮の独立を承認するという条約から、在日、在外問わず朝鮮新政府により国籍を付与された者に対する日本国籍付与権利(対人主権)の消滅は妥当だと考えます。

>無論、在日朝鮮人が事実“朝鮮に帰属しているなら”日本の対人主権は及ばないでしょう。

独立の経過として在日朝鮮人は独立国家韓国の国内法により国民として扱われています。これは朝鮮に帰属していませんか?仰るように日本の対人主権は及ばないかと。



▼R 2010/01/08 22:44
>「朝鮮の国家の独立」というのは朝鮮の新政府が領域(領土主権)、国民(対人主権)、政府(統治権)をもって成立するということですから、条約自体に国籍条項がなくても、条約の承認による経過として当然の、独立国家(韓国)として対人主権の発揮による韓国国籍法による国籍付与でありますから、在日朝鮮人が韓国に帰属する国民として認定されることはなんらおかしなことではないと思います。

韓国や北朝鮮が自国民をどのように規定しようとも、在日朝鮮人日本国籍に影響を及ぼすことはできません。 日本国籍得喪は日本の内政問題ですから。 朝鮮の両国家がサンフランシスコ平和条約の締約国であったわけではなく、また、条約には在日朝鮮人の国籍についての規定もないので、条約だけで在日朝鮮人日本国籍を喪失させることは出来ません。 すでに述べましたが、当時、植民地独立の際、植民地出身者に居住地の国籍を認めるのが国際慣例化していましたので、新国家独立に際して必ずしも旧宗主国に在住する植民地出身者が自動的に旧宗主国の国籍を離脱するわけではなかったのです。

>それをいうなら一般の日本人も同じなわけでして。どこまでの範囲の人が日本に帰属する人なのかの明白な規定がないですよ。

「一般の日本人」とは「内地人」のことを指して仰っているでしょうが、日本は平和条約で朝鮮の権利だけを放棄するのであって、日本に帰属する権利を放棄するわけではありませんから、内地人が日本に帰属し続けることは明々白々です。 在日朝鮮人が日本に帰属するのか朝鮮に帰属するのかの明白な規定が、条約には無いということです。



◎K 2010/01/11 01:59
Rさん「無論、在日朝鮮人が事実“朝鮮に帰属しているなら”日本の対人主権は及ばないでしょう。」

私「在日朝鮮人の帰属先は、朝鮮の独立による韓国により韓国国民なので、Rさんの仰るように、在日朝鮮人は朝鮮に帰属しているので日本の対人主権は及ばないですよね?」

Rさん「韓国や北朝鮮が自国民をどのように規定しようとも、在日朝鮮人日本国籍に影響を及ぼすことはできません」

では前述された「無論、在日朝鮮人が事実“朝鮮に帰属しているなら”日本の対人主権は及ばないでしょう。」とは一体何なのでしょうか?

「韓国や北朝鮮が自国民を規定」=「在日朝鮮人は朝鮮に帰属」ではないんですかね?違いますかね?

「韓国や北朝鮮が自国民を規定しているなら、日本の対人主権は及ばないでしょう」ということではないのですか?

>条約には在日朝鮮人の国籍についての規定もないので、条約だけで在日朝鮮人日本国籍を喪失させることは出来ません。

「朝鮮の独立を承認」=「朝鮮の国家の独立を承認」から国家の三要素により領土、国民、政府が必要なのは前述しましたが、国民、政府は独立新国家の裁量によりますが、領土は条約に批准すべきものでしょうから、それを明文化したのがサンフランシスコ平和条約第二条であると考えます。

条約が示すものは領土だけとお考えでしょうか?領土だけが独立する、と。どの国家が統治をし、国民を規定するかの文言は「朝鮮の独立」にあると考えなければ「国家」の独立との整合性はとれないと考えます。

「朝鮮の独立を承認」とは「朝鮮支配の放棄」でもあります。朝鮮支配により朝鮮人日本国籍を付与されましたから、朝鮮人日本国籍を喪失させたことは「朝鮮の独立を承認」(=「朝鮮支配の放棄」)に適っていますので合理的かつ妥当だと考えます。



▼R 2010/01/14 22:12
>「無論、在日朝鮮人が事実“朝鮮に帰属しているなら”日本の対人主権は及ばないでしょう。」とは一体何なのでしょうか?

朝鮮の国家の正式な国民となり日本国籍を放棄すれば、という意味です。

>「朝鮮の独立を承認」とは「朝鮮支配の放棄」でもあります。朝鮮支配により朝鮮人日本国籍を付与されましたから、朝鮮人日本国籍を喪失させたことは「朝鮮の独立を承認」(=「朝鮮支配の放棄」)に適っていますので合理的かつ妥当だと考えます。

それが日本政府の最終的な条約解釈ですが、在日朝鮮人に対してそれを一律に当てはめることは誤りだと思います。 逆は必ずしも真ならずで、歴史は後戻りできないとはGさんへのレスにも書いたとおりです。 つまり、日本による朝鮮支配がなければ朝鮮に留まったはずの多数の朝鮮人が、日本国籍であるからこそ日本に移住し家庭をもって生活を営んできたのですから、これら日本に定住する人々の生活状況を無視して、まさしくその前提である日本国籍を本人の意思を問うことなく一方的に奪うことが、あなたが仰るように果たして本当に合理的で妥当なことでしょうか? そのような在日朝鮮人の日本在住の経緯や生活実態を考慮に入れるならば、当初日本政府が考えたように、本人の意思による日本国籍取得の道を開くことのほうがよほど合理的で妥当な判断だったといえるでしょう。

>条約が示すものは領土だけとお考えでしょうか?領土だけが独立する、と。

前述の日本政府の条約解釈を合理的と考えるのはあなたの自由ですが、ここでは「サンフランシスコ平和条約によって在日朝鮮人日本国籍が必然的に喪失されるべきなのか」を論じているのです。 もちろん、「朝鮮の独立を承認」することは朝鮮の新国家に帰属する人々への対人主権を放棄するとも考えられますし、その意味では朝鮮に居住する朝鮮人への対人主権を日本が放棄するのは(在朝鮮朝鮮人が朝鮮の国民になることが明らかですから)疑問の余地がないといえるのですが、旧宗主国の植民地出身者が居住地の国籍を選択する国際慣例があるので、平和条約に国籍についての具体的な規定が無い以上、条約の一義的な解釈として在日朝鮮人日本国籍の喪失を導き出せないということです



◎K 2010/01/17 03:26
>つまり、日本による朝鮮支配がなければ朝鮮に留まったはずの多数の朝鮮人が、日本国籍であるからこそ日本に移住し家庭をもって生活を営んできたのですから、これら日本に定住する人々の生活状況を無視して、まさしくその前提である日本国籍を本人の意思を問うことなく一方的に奪うことが、

日本国籍を得たから日本に移住したのではなく、日本国籍を得たことで外国人であるより容易になった移住を本人の意志でしたものだと考えています。前提は「日本国籍」+「外国人であるより容易になった移住」+「本人の移住意志」だと考えます。

朝鮮統治により日本国籍が付与され、移住ができても、仮に内地移住禁止であっても条約は独立の承認(統治の放棄)を明文化しているのですから、移住、定住は国籍喪失の障害にはならないと考えます。

サハリンの朝鮮人北朝鮮籍ソ連籍でなければ無国籍になったと思いますが、居住地がソ連領なのだからソ連籍を付与せよ、という主張に通じる印象を受けます。

>平和条約に国籍についての具体的な規定が無い以上、条約の一義的な解釈として在日朝鮮人日本国籍の喪失を導き出せないということです。

私としては「朝鮮の独立を承認」による必然的な帰結は一律喪失なので「条約締結時」に「選択制」自体が俎上に上がらないのですが、「日本に定住する人々の生活状況」と「本人の意思」を考慮するなら、「条約締結前」に韓国国籍法による韓国籍の離脱が可能であれば回避できたのではないかと考えています。

韓国としては条約締結まで在日朝鮮人二重国籍者でしょうから、韓国籍を離脱すれば朝鮮人日本国籍しかなくなります。そうなると在日朝鮮人人口や無国籍の回避から条約の締結をもってしても喪失はなかったのではないでしょうか?あくまで推測でカイロ宣言ポツダム宣言なんかもありますが。

調べ方が甘いのか、条約締結前に日本に帰化した朝鮮人韓国籍を離脱した朝鮮人の統計がみつかりませんので、認められていなかったのかもしれませんが。



▼R 2010/01/26 00:08
>日本国籍を得たから日本に移住したのではなく、日本国籍を得たことで外国人であるより容易になった移住を本人の意志でしたものだと考えています。

同じことじゃありませんか。 すなわち、「日本による朝鮮支配がなければ朝鮮に留まったはずの多数の朝鮮人が、日本国籍であるからこそ日本に移住し家庭をもって生活を営んできたのです」。

>私としては「朝鮮の独立を承認」による必然的な帰結は一律喪失なので「条約締結時」に「選択制」自体が俎上に上がらないのですが、「日本に定住する人々の生活状況」と「本人の意思」を考慮するなら、「条約締結前」に韓国国籍法による韓国籍の離脱が可能であれば回避できたのではないかと考えています。

あなたが条約をいかように解釈しようともあなたの勝手ですが、「平和条約に国籍についての具体的な規定が無い以上、条約の一義的な解釈として在日朝鮮人日本国籍の喪失を導き出せない」のです。 韓国籍を離脱するもなにも、韓国側の一方的な対人主権宣言だけで、在日朝鮮人が法的に韓国民になったわけではありませんよ。

>韓国としては条約締結まで在日朝鮮人二重国籍者でしょうから、韓国籍を離脱すれば朝鮮人日本国籍しかなくなります。そうなると在日朝鮮人人口や無国籍の回避から条約の締結をもってしても喪失はなかったのではないでしょうか?

いいえ、日韓の間で在日朝鮮人の国籍を規定する何らの条約も締結されませんでしたから、大韓民国がどのように宣言しようとも在日朝鮮人が正式に韓国民になったわけではなく、従って、日本国籍の喪失は在日朝鮮人が無国籍者に陥ることを意味したのです。 つまり、日本政府は、在日朝鮮人を無国籍者に貶めることになることを知りながら、日本国籍を剥奪したのです。

>調べ方が甘いのか、条約締結前に日本に帰化した朝鮮人韓国籍を離脱した朝鮮人の統計がみつかりませんので、認められていなかったのかもしれませんが。

あなたが歴史を知らないだけです。 「条約締結前に日本に帰化した朝鮮人」などいません。 条約締結前は(発効前も)、在日朝鮮人は全員日本国籍でしたから。



◎K 2010/01/27 23:39
>同じことじゃありませんか。 すなわち、「日本による朝鮮支配がなければ朝鮮に留まったはずの多数の朝鮮人が、日本国籍であるからこそ日本に移住し家庭をもって生活を営んできたのです」。

日本による朝鮮支配がなくても(日本国籍付与がなくても)移住要件や本人の意思により日本国内で生活することは可能ですから、国籍だけが前提になりません。外国人や植民地民の内地移住を禁止してしまえば国籍や本人の意思は関係ないのですから。もう少し冷静に判断していただきたいですね。

>「平和条約に国籍についての具体的な規定が無い以上、条約の一義的な解釈として在日朝鮮人日本国籍の喪失を導き出せない」のです。

ハーグ条約(重国籍条約、国籍法抵触条約)第2条により個人の国籍は当該国の法で決まるのですから、日本国との平和条約で独立する国が国籍の得失を規定すればいいだけの話なので、「平和条約」に「国籍についての具体的な規定」は必要ありません。ですから「国籍についての具体的な規定」は争点になりません。

前述したように「朝鮮の独立を承認」とは「朝鮮支配の放棄」ですから、その一義的な解釈は支配したものを放棄することです。内地に移住したから日本国籍を得たのではなく、併合による支配によって日本国籍を得たのですから、居住地は関係ありません。権利、権原の放棄に領土主権だけでなく対人主権が含まれているのは新国家独立(国家の三要素)を鑑みるに当然のことですしね。

韓国籍を離脱するもなにも、韓国側の一方的な対人主権宣言だけで、在日朝鮮人が法的に韓国民になったわけではありませんよ。

新独立国家韓国が規定する国民の要件はハーグ条約に抵触するものではないので、国際的に認められる国籍法であるのは明白です。

1948年7月17日 大韓民国憲法制定 『第3条 大韓民国の国民たる要件は、法律で定める』

1948年12月20日 韓国国籍法施行 『第1条 この法律は、大韓民国の国民となる要件を定めることを目的とする』

国籍法施行前は、1948年5月21日 国籍に関する臨時条例制定 『朝鮮人で日本の戸籍に入っている者は、そこから離脱しない限りは朝鮮の国籍を回復しない』を採用

韓国が血統主義を採用しているのは明らかで(韓国臨時政府は民族主義なんかも採用していましたが)、国籍に関する臨時条例制定でも戸籍で法的地位を確認しようとしていますね。これのどこが法的な韓国民ではないのでしょうか?北朝鮮のことですか?

大韓民国がどのように宣言しようとも在日朝鮮人が正式に韓国民になったわけではなく、従って、日本国籍の喪失は在日朝鮮人が無国籍者に陥ることを意味したのです。

韓国国籍法の適用を受けていて韓国民ではないのですか?北朝鮮のことですか?無国籍者に陥る?北朝鮮のことですか?正式な韓国民とは韓国に住む韓国人のことですか?ちょっと理解しにくいので説明願います。

>あなたが歴史を知らないだけです。 「条約締結前に日本に帰化した朝鮮人」などいません。 条約締結前は(発効前も)、在日朝鮮人は全員日本国籍でしたから。

戸籍を内地に移して国籍喪失を回避した朝鮮系日本人と混同していました。それは帰化じゃないですもんね。どう転んでも日本国籍は維持できなかったということが己の無知から改めて知ることができました(笑)
在日朝鮮人は全員日本国籍でしたから。」←日本にいながら手続きで韓国国籍は取得できなかったのですか?



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



○T 2010/01/09 01:46
Rさん
>>植民地独立の際に居住地に基づいて植民地出身者の国籍を認めることを、私が独自に主張しているのではなく、それが当時の国際慣例だったのです。

とすると、日本内地や朝鮮以外に居住していた朝鮮人たちは、朝鮮独立と同時に居住地の国籍を取得したと?そのソース出せます?



▼R 2010/01/14 21:56
>とすると、日本内地や朝鮮以外に居住していた朝鮮人たちは、朝鮮独立と同時に居住地の国籍を取得したと?そのソース出せます?

「日本内地や朝鮮以外に居住していた朝鮮人たち」については、よく知りませんが、滞在国の国内法に基づいて国籍等の法的地位が決められたのではないでしょうか。 私がいう「居住地の国籍」とは、旧宗主国(日本)と旧植民地(朝鮮)に居住する植民地出身者(朝鮮人)の国籍のことです。 また、誤解のないように言っておきますが、そのような国際慣例が世界中の植民地独立の際に例外なく踏襲されたなどと主張したわけでもありません。 日本と朝鮮に居住する朝鮮人日本国籍得喪について異なった取り扱いが可能であることの根拠として、日本政府がそのようなことを国際慣例と認識しその例に倣おうとしていたという歴史的事実を指し示したまでです。 サンフランシスコ平和条約には国籍に関する明白な規定がなかったことから、在日朝鮮人に対する日本国籍選択権の付与については日本政府の自由裁量に任された、というのが私の主張です。




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(お三人の議論はどうやらこれだけのようです。)

④在日の「参政権停止条項」の成立等についての議論

【2014年10月31日改】水野論文について追加


引き続いての議論を転載いたします。
(読みやすいようにコメント対象ごとに順序を若干整理しました)



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★F 2009/12/31 16:28
当時の朝鮮人参政権「停止」条項の成立について興味深い考察を見つけたので貼っておきます。
これなんか読むと、戦後の在日朝鮮人に対しての政策が、法的なものももちろんですが、当時の現実の政治的・治安対策的な意味も大きかったのだとわかります。法が法だけで成立するはずもなく、戦後の混乱と暴力(大陸半島も内地も含め)、共産主義の隆盛、日本共産党と在日とのかかわり等、現在では想像しがたいすべての要素を考えに入れておかないと、簡単に判断は下せないと思います。
また、Jさんのお書きの「手当て」にしても、現在の在日が本当に戦前からの滞在者なのか、戦後の朝鮮戦争やチェジュドウ虐殺からの難民なのか、あるいは様々の密入国者なのかで、一律には考えることはできないでしょう。いずれにしても個々の入国事実に基づかない限り、冷静な判断はできないし誰も納得しないでしょう。

http://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~mizna/sanseiken1.html
http://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~mizna/sanseiken2.html



◆M 2009/12/31 15:59
> これなんか読むと、戦後の在日朝鮮人に対しての政策が、法的なものももちろんですが、当時の現実の政治的・治安対策的な意味も大きかったのだとわかります。

言ってることの意味が分かっていますか?
あなたの言うとおりなら(この点に限ってはそのとおりだと思います)、朝鮮籍の人たちのさまざまな権利が奪われたのは、そういう政治的な状況を踏まえての日本政府による政治的判断であったということですよ。つまり、国際条約の制約によって日本政府には他の選択肢を取る余地がなかったという主張は明白に間違いであり、他の選択肢を取ることができたにも関わらず、日本政府が主体的にかれらの権利を奪う決定をくだした、ということになります。
日本政府の主体的な行為であり、従って日本政府の責任を問う意見が「成立する」というところまでは、これで納得していただけたでしょう。そのうえで、「日本政府の決定は正しかった」とあなたが主張するのは自由ですが、少なくともここで複数の論者が主張していたような、日本政府は国際条約に従っただけであってどのような形でも責任を問えないということは、間違いであることがはっきりしました。

議論終了ですね。みなさま、これまでご苦労様でした。


(注)上記の★Fと◆Mの発言時刻が前後しているのは、元ブログで◆Mがコメントした時刻には、★Fが一旦コメントしたものを訂正しようと削除中だったためです。



■G 2009/12/31 16:50
Mさん
> あなたの言うとおりなら(この点に限ってはそのとおりだと思います)、朝鮮籍の人たちのさまざまな権利が奪われたのは、そういう政治的な状況を踏まえての日本政府による政治的判断であったということですよ。

自分の都合のいい所しかご覧になっていらっしゃらないようですが、その資料の議論の中で清瀬が指摘しているように選挙権停止の大前提として降伏文書調印時点で朝鮮の分離が規定されている事をってのがあるんですよ。あと内務省の見解がひっくり返る原因となった清瀬の主張の1〜5と7もよく読んでみる事ですね。7なんかは、日本が引き続き朝鮮への支配欲をもっているとみられてはまずい、という、敗戦国ゆえの裁量のなさを露呈しているわけです。

なにより朝鮮人の選挙権停止の意向をGHQが明確に示したという事を示す

「外務省ノ曽根君ヨリ、マ司令部ニ於テ『朝鮮人及台湾人ニ就テ選挙権ヲ停止スル』トノ意向ヲ聞キ大臣ノトコロデ協議」

という「入江日記」の記述もね。
ともあれ国際法上日本に選択権がないことが十分説明されちゃってます。要は国際法上日本には朝鮮人を日本人とするための合理的根拠がないってことで終わってるんですが? なので

> 日本政府の主体的な行為であり、従って日本政府の責任を問う意見が「成立する」というところまでは、これで納得していただけたでしょう。

は全くもって間違いだという事が改めて確認されているわけです。
降伏文書調印が主体的行為であり、日本国滅亡まで戦うべきだ、とおっしゃるなら別ですが。



◆M 2009/12/31 17:41
 そういう意向があったという記述が一度あるだけで、そうした意向を含めて日本政府が政治的な判断を下したというように書いてあると思いますが。



■G 2009/12/31 19:18
その政治的な判断を下したというのはあくまでそのページの方の見解だと思いますよ。その人の見解とはいえ、閣議決定内務省の外地人への参政権を認める当初の方針が、戦時中の政策からの転換へのためらいというまさに政治的理由によるものと書かれているのも興味深いですね。
法的な関係の話は清瀬の主張1〜5で尽くされてしまっていることのほうが重要ですね。むしろ日本が政治的意向を反映するなら、1〜5を踏まえた上で、その法的な理屈を回避するために必要な例外規定を条約に盛り込む必要があったということです。しかも清瀬の7の主張の通り、敗戦国として政治的な判断を下すための自由度がないという指摘はMさんやRさんの見解とは矛盾するのではないでしょうかね。そこに駄目押しのGHQの意向ですし。
国籍選択の話も全くその通りで、最終的には帰化制度で対応出来る&基本条約交渉(ただし平和条約発効前)での大韓民国の選択制度の否定という結果で終わるわけです。事実関係や法的な理屈として私が従来主張している通りのものでしかありません。
私も政治的意図自体が全くないとまでは言う気はありませんが、仮に政治的意図があってもそれは法的な理屈と何ら矛盾するものではなかったという事でしかなく、それ以外の政治的意図があった場合に法的に相当の困難が予想されることがわかるページだと思いますが。


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【二つの水野論文について感想】

http://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~mizna/sanseiken1.html

http://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~mizna/sanseiken2.html

歴史研究者の存在意義のひとつはこの方のように埋もれていた歴史資料を発掘してきて光をあててくれるところにあるのだと思いますが、残念ながら往々にして、この方もやってらっしゃるように生の資料を表に出す際に「余計な」解釈をおつけになるのですね。たとえば入江日記の以下の部分でも、

【「外務省ノ曽根君ヨリ、マ司令部ニ於テ『朝鮮人及台湾人ニ就テ選挙権ヲ停止スル』トノ意向ヲ聞キ大臣ノトコロデ協議」(『偲ぶ』三九頁)。

  この文章は、入江がマッカーサー司令部に行ったところ、「外務省ノ曽根」に出会い、朝鮮人・台湾人の選挙権を停止するとの意見を外務省が持っていることを聞いた、というように読むこともできるが、素直に読めば、朝鮮人・台湾人の選挙権を停止する意向をマッカーサー司令部が持っているという話を「外務省ノ曽根」から聞き、急ぎ大臣らと協議した、という意味に取るのが妥当であろう。とすれば、朝鮮人・台湾人参政権の停止はGHQの意向によるものだったことになる。】

どうしたらそんなふうにこの日本語を解釈できるんだと思えるようなことを”わざわざ”「読むこともできる」という前振り電波を書き込んでからでないと発表したくない程度に"危険な誘惑"が働くわけです。最初から「素直に読」めばいいんですよね。で、この一文が日記に存在してしまったために、この方は、次節で必死にGHQの意思を否定しようとなさるわけですが、そこでも

『曽禰が入江に伝えたのは、この条約局第二課作成の文書にもとづく外務省の見解ではなかっただろうか。文書そのものを渡したかどうかはわからないが、文書の大まかな内容を伝えたのではないか。曽禰はその際、GHQも外務省の見解に同意していることを示唆したのではないだろうか。そして入江はそれを「マ司令部」の「意向」と受け取ったのではないか。これらはあくまで推測でしかないが、可能性としてあり得ることである。』

というふうに推測に推測を重ねた末に「推測の王国の住人」として「可能性としてあり得る」と、結論なさるわけです。入江の一文を否定せんがために、実証できないものは推測と解釈で一旦「突破」しておく。それがあたかも事実であるかのようにその後は自分に都合のいい解釈を重ねていく。

余計な推測や解釈はいらないから、生の資料をそのままぜぇ〜んぶ公開してくださったほうがどれほどありがたいか、と。。。。。

その点、「日韓市民でつくる 日韓会談文書・全面公開を求める会」( http://www7b.biglobe.ne.jp/~nikkan/ )は、立派ですよね。あ、水野さんもここの呼びかけ人の一人でしたね。。。










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●J 2009/12/26 12:02
どう考えても、戦後、在日朝鮮人日本国籍が消失するのは当然ではありませんか?日本国籍の法的根拠が完全に失われたわけですから。
問題は日本国籍喪失ではなく、喪失と平行して、あるいは喪失の後に、日本政府が在日朝鮮人に対してどういう手当をしたかでしょう。それが何もなかったという点を捉えて、国籍の消失を「国籍の一方的剥奪」と呼ぶのなら、レトリックとしては理解できますが、在日の日本国籍は本来維持されるべきであったという立場から「国籍の一方的剥奪」と呼ぶとすれば暴論です。
戦後ドイツの在独オーストリア人に対する当初の扱いは間違っていました。ドイツの降伏と併合地域に対する主権放棄、そしてその後のオーストリア政府樹立をまって、在独オーストリア人はオーストリア国籍を回復(ドイツ国籍は消失)するのが筋でした。ところがドイツは在独オーストリア人を依然としてドイツ人として扱った。抗議を受けてはじめてドイツは彼らのドイツ国籍消失を確認することになりました。その上で国籍選択権(本人の意思表示により失ったドイツ国籍を回復することができる)が付与されたわけです。
戦後ドイツの事例に倣うとしても、在日朝鮮人日本国籍消失は理の当然だと思います。問題は上述の通り、それに伴う日本政府及び韓国政府の措置であり、何よりも、今、何をすべきかでしょう(これについては既に書いたので繰り返しません)。



▼R 2009/12/28 22:50
>どう考えても、戦後、在日朝鮮人日本国籍が消失するのは当然ではありませんか?

どう考えても当然ではありませんね。 日本国籍者であるからこそ日本に渡ってきて生活している人々の日本国籍を、本人に何の責任もないのに、意思確認をすることなく喪失させることがなぜ当然なんですか?

>日本国籍の法的根拠が完全に失われたわけですから。

むしろ在日朝鮮人日本国籍の喪失を規定した国際法も国内法も存在しないのです。日本国内の日本国籍者に対する統治権サンフランシスコ平和条約で日本は放棄したわけではないのですよ。日本国籍得喪は日本の国内管轄事項ですが、あなたは日本が主権国家であることを否定するつもりですか?

>問題は日本国籍喪失ではなく、喪失と平行して、あるいは喪失の後に、日本政府が在日朝鮮人に対してどういう手当をしたかでしょう。

日本政府に対する私の批判は、以前ここで、「日本の咎が「国籍一律喪失」そのものにあるではなく、在日朝鮮人に日本人と同等の権利を保障しなかったことにあるのです。 「国籍選択権」は保障すべき権利の中に含まれる」、と述べたとおりです。

>それが何もなかったという点を捉えて、国籍の消失を「国籍の一方的剥奪」と呼ぶのなら、レトリックとしては理解できますが、在日の日本国籍は本来維持されるべきであったという立場から「国籍の一方的剥奪」と呼ぶとすれば暴論です。

「在日の日本国籍」として十把一絡げに論じること自体がそもそもの誤りであり暴論です。 個々人の意思や事情の差異を考慮せずに一律に国籍を喪失させたのですから、まさしく「国籍の一方的剥奪」と呼ぶのがふさわしいでしょう。 国籍の得喪だけを問題とするなら、それこそ国籍選択権を付与すべきとの見解が妥当性を持つのです。

>戦後ドイツの事例に倣うとしても、在日朝鮮人日本国籍消失は理の当然だと思います。問題は上述の通り、それに伴う日本政府及び韓国政府の措置であり、何よりも、今、何をすべきかでしょう(これについては既に書いたので繰り返しません)。

在日朝鮮人を無国籍者に貶めて何の手当てもしなかった歴史的事実を省みない、不公平極まりない発言というほかありませんね。 少なくとも国籍選択権の付与が伴わないかぎり許容できない発言です。 あなたのそのような発言は、在日の人権を無視した日本政府の非道の責任を薄めようとする意図が見え見えです。



●J 2009/12/30 21:22
>むしろ在日朝鮮人日本国籍の喪失を規定した国際法も国内法も存在しないのです。

直接「日本国籍の喪失を規定」する法律が無くても、日本国籍の法的根拠が無くなれば、喪失するのが当然でしょう。既に述べたように、問題は、その後に、あるいはそれと平行して必要な手当をすることです。どのような手当が必要であったか、必要でなかったか、また可能であったか、可能でなかったかを論じる方が良いと思います。
Rさんはその手当として「在日朝鮮人に日本人と同等の権利を保障」することが必要かつ可能であったとし、その中に「国籍選択権」が含まれるという考え方ですね?その考え方は尊重しますが(「同等の権利」で言わんとすることはまだよく分かりませんが)、Gさんと議論する中で、日本国籍喪失そのものの妥当性を否定する方向に進み自家撞着に陥っているように見えたのでコメントした次第です。

>あなたのそのような発言は、在日の人権を無視した日本政府の非道の責任を薄めようとする意図が見え見えです。

「日本政府の非道」を無謬の前提とすればそう見えるでしょう。しかし私はそれを前提としていないのですよ。共有されていない前提でもって相手を非難するのは恫喝にはなっても議論にはなりません。
歴史をめぐる議論はできるだけ先入見を排して徹底的にやればよい。その結果、日本政府の非道ぶりが炙り出されてくるなら、それは受け入れなければならない。しかし非道であったにせよ、そうではなかったにせよ、その結論が明瞭になるまで(あるいは一方が他方を力で押しつぶすまで)現状に手が打てないとなったら愚かな話です。だから私は自分がよく知らない過去の話よりも現在どうすべきかに力点を置きたいと思っています。



▼R 2010/01/05 00:05
>直接「日本国籍の喪失を規定」する法律が無くても、日本国籍の法的根拠が無くなれば、喪失するのが当然でしょう。

日本国籍の法的根拠が無くな」ってるとあなたが勝手に思ってるだけじゃないですか。日本国籍が法的に喪失されなければ、日本国籍は法的に保持されたままである。こんな簡単な理屈が、なぜあなたには理解できないのですか?

>Gさんと議論する中で、日本国籍喪失そのものの妥当性を否定する方向に進み自家撞着に陥っているように見えた

Gさんとは「日本国籍喪失そのものの妥当性」を議論しているのではなく、サンフランシスコ平和条約によって在日朝鮮人日本国籍が必然的に喪失されるべきなのかを議論しているのであって、ただあなたが論点を見誤っているだけです。

>「日本政府の非道」を無謬の前提とすればそう見えるでしょう。しかし私はそれを前提としていないのですよ。共有されていない前提でもって相手を非難するのは恫喝にはなっても議論にはなりません。

私が自分の意見を表明するのがなぜ「恫喝」になるのか理解に苦しみますが、それ以上に、「日本政府の非道」を前提としないというなら、あなたの在日朝鮮人に対する人権意識の欠如を疑うしかありませんね。

>歴史をめぐる議論はできるだけ先入見を排して徹底的にやればよい。その結果、日本政府の非道ぶりが炙り出されてくるなら、それは受け入れなければならない。しかし非道であったにせよ、そうではなかったにせよ、その結論が明瞭になるまで

何を能天気なことを言ってるんですか。 結論はとうの昔に出ているのです。 日本政府は在日の日本国籍を剥奪して無国籍者に貶めた上で社会保障制度等から排除するなど日本人が享受する権利を認めなかった。 日本の自己都合で無理やり朝鮮人を日本人にしておきながら、挙句の果てに自らの政策責任を省みずに彼らを無権利状態に貶めたのですから、これを「非道」といわずして何というのですか?

>だから私は自分がよく知らない過去の話よりも現在どうすべきかに力点を置きたいと思っています。

過去をよく知ろうとしないで、現在あるいは将来の問題に適切に対処できるとでも思っているのですか? というか、私にはあなたのそのような発言が、過去の「日本政府の非道」の責任を帳消しにしようとする意図としか思えないのですが?



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■G 2009/12/29 03:55
Rさん
> 在日朝鮮人日本国籍の喪失を規定した国際法も国内法も存在しないのです。

散々言ってるように、すべての権原・権利・請求権を放棄したのだから、権原に基づく諸規定も失効する、それだけのことです。念のため言っておきますが、平和条約は昭和27年条約第5号として国内法としても公布されていますので、条約の規定は国内法としても有効です。さらに条約は国籍法等の一般国内法に優先するので、国籍法等も条約の定める範囲でのみ有効になるのは当たり前の話です。日本の主権の及ぶ範囲を定めるのは平和条約です。条約が定める範囲で国内法が有効なわけです。内地という領域での統治権が認められている以上、日本が行使出来るのは内地への対地主権とその領域に帰属する(≠居住する)人への対人主権、自主組織権です。朝鮮での統治権、すなわち朝鮮への対地主権と朝鮮に帰属する人への対人主権、朝鮮での自主組織権は放棄です。
あなたは朝鮮での日本の対人主権が維持されるから内地人は日本人なのだ、と言いました。しかし、日本は朝鮮という領域での対人主権を放棄したはずです。なぜ内地人だけ朝鮮という領域での対人主権が維持出来るのですか?あなたの在日朝鮮人での理屈に従えば、在日朝鮮人は内地という領域にいると内地の統治を受けるんでしょ?だったら内地人は朝鮮という領域に居ると朝鮮の統治を受けなくてはなりません。であれば、朝鮮に居た内地人は国籍喪失しなくてはおかしいです。あなたの理屈に従う限り、内地人だからといって朝鮮で日本の対人主権が維持出来る根拠がありません。

国籍に関する規定がないというRさんの主張は
 私の家族(朝鮮)の全財産を没収する(すべての権原を喪失)という規定には
 私の銀行預金(朝鮮人の国籍)のことが書かれていない。
 だから私の銀行預金(朝鮮人の国籍)を没収するのは不当だ!
ってのと同じなんです。家族といってもすでに結婚し、別の場所に住み生計を別にして独立している(他国の国籍を取得済み)等の事情があれば別でしょう。ただ、それは客観的な判断によるものであり、没収される側の本人の意思で家族に含まれるかどうかは没収規定の中に例外として盛り込まれないと意味がないことはお分かりでしょう?

> 日本国籍得喪は日本の国内管轄事項ですが、あなたは日本が主権国家であることを否定するつもりですか?

条約に関するウィーン条約(条約法条約)27条をご存知ですか?そこには、条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない、という規定があります。国内専管事項だと主張されても、それを根拠に条約の不履行を正当化出来ません。それに平和条約は日本国の主権に関する包括的な規定ですから、その中に具体的な項目が規定されてないのを主張しても意味がありません。包括的な規定に対する例外規定(国籍選択制の規定等)もないのですから、Rさんには不本意でしょうが国内専管事項の国籍の方で平和条約の規定と整合性が取られなくてはなりません。
Rさんも認められているように、在日朝鮮人の国籍の根拠が、朝鮮併合で獲得した日本の朝鮮における統治権の一部である対人主権の行使の結果です。実態としても、朝鮮人が世界のどこに居ようとも、朝鮮総督府の命令に基づいてのみ日本人と確認出来ることからも判ります。内地に問い合わせても根拠法もなければ証明に必要な資料もありません。朝鮮総督府がすべて管掌しているわけです。
朝鮮人が内地に居ても同じ事です。内地でも朝鮮総督府の出した朝鮮戸籍令等の適用を受けていて、内地の戸籍法や国籍法の適用は受けていません。内地法では日本人としての地位を認めておらず、法律上の人としての地位が朝鮮統治に基づいているからです。
内地では内地の統治を受けている、というのなら、内地では国籍法や戸籍法他内地人と全く同じ扱いを受けているはずです。ただ単に朝鮮人が内地に寄留しているだけ、という状態だから内地の国籍法や戸籍法が適用されていないんです。日本に住んでいるだけでは話にならない、っていうのは、法律上の人間としての確認をするという対人主権の根幹部分が朝鮮統治に依存し続けていたからなんですよ。
大元の統治権が放棄された時点で、朝鮮での統治権に基づいて認められた朝鮮人の国籍が一律かつ自動的に喪失するのは自明です。統治権がない=対人主権は当然失われるのだから。
そろそろ私の言っている事に対して具体的に問題点を指摘してください。
私の解釈がおかしいなら、朝鮮人以外の例でいろいろ問題が発生するはずです。私はあなたの解釈で発生する実際の問題についてきちんと指摘しています。その指摘のどこがどのように間違っているのかを教えていただければ結構です。
まずは、朝鮮での対人主権は失われたのに、在朝鮮朝鮮人への対人主権は喪失する一方在朝鮮日本人への対人主権は維持出来る理由、またその理由に基づいて在日朝鮮人への日本の対人主権が維持出来る理由を教えてください。



▼R 2009/12/30 01:11
>まずは、朝鮮での対人主権は失われたのに、在朝鮮朝鮮人への対人主権は喪失する一方在朝鮮日本人への対人主権は維持出来る理由

「朝鮮での対人主権は失われた」とは言ってませんよ。 実際は、「日本は対人主権を持」つが「日本の統治権は(朝鮮にまで)及ばない」と言ったのですが、その意味は、在外邦人に対する対人主権が滞在国の領土主権の制限を受けても、日本の日本人への対人主権が失われるわけではないということです。 他方、「在朝鮮朝鮮人への対人主権」が喪失する(と考えられる)のは、サンフランシスコ平和条約によって日本が「朝鮮に対する全ての権利」を放棄したからです。

>またその理由に基づいて在日朝鮮人への日本の対人主権が維持出来る理由を教えてください。

何度も書きましたが、サンフランシスコ平和条約の第2条(a)の条文の一義的な解釈として在日朝鮮人日本国籍喪失を導き出すことができないからです。 条約は朝鮮の領土権に関する規定があるのみで、国籍に関する規定がないため、仮に「朝鮮に対する全ての権利」の中に国籍が含まれるとしても、どこまでの範囲の人がそれに含まれるかが明白ではありません。 当時、植民地独立の際、旧植民地出身者に居住地の国籍を認めるのが国際慣例化していました。 日本政府もそのような世界の先例に倣おうとしていたのは以下の発言からも明らかです:

<堀内内相>45年12月5日、衆議院選挙法改正委員会
  「内地に在留する朝鮮人に対しては、日本の国籍を選択しうることになるのが、これまでの例であり、今度もおそらくそうなると考えています」
<川村外務政務次官>49年12月21日、衆議院外務委員会
  「(国籍選択については)だいたい本人の希望次第決定される、ことになるという見通しをもっている」
(以上、半月城通信 No.25より抜粋:http://www.han.org/a/half-moon/hm025.html#No.199

結局、サンフランシスコ平和条約に国籍に関する明確な規定が無いので、当該条項によって在日朝鮮人日本国籍が喪失したのかどうかが明らかではないわけです。 つまり、「在日朝鮮人への日本の対人主権が維持出来る」のは、在日朝鮮人日本国籍の喪失を規定した国際法も国内法も存在しないし、朝鮮の国家との間に国籍に関する条約も存在しなかったからです。



■G 2009/12/30 02:44
> 「朝鮮での対人主権は失われた」とは言ってませんよ。 実際は、「日本は対人主権を持」つが「日本の統治権は(朝鮮にまで)及ばない」と言ったのですが、その意味は、在外邦人に対する対人主権が滞在国の領土主権の制限を受けても、日本の日本人への対人主権が失われるわけではないということです。他方、「在朝鮮朝鮮人への対人主権」が喪失する(と考えられる)のは、サンフランシスコ平和条約によって日本が「朝鮮に対する全ての権利」を放棄したからです。

この主張を見れば判るように、Rさんは対人主権の基準点でダブルスタンダードを取ってるんです。
1) 内地人の基準は帰属している場所(内地に住んでいなくても内地に帰属していれば日本の対人主権が及ぶ)
2) 在日朝鮮人の基準は住所(内地に住んでいれば朝鮮に帰属していても日本の対人主権が及ぶ)
という判断基準だから、在日朝鮮人は国籍離脱しないという結論になるんです。

1)の基準でいえば、帰属が問題ですから、
在朝鮮内地人の場合:「内地に住んでいない&内地に帰属している→日本の対人主権が及ぶ」
在朝鮮朝鮮人の場合:「内地に住んでいない&朝鮮に帰属している→日本の対人主権が及ばない」
であり、帰属を基準にする限り
在日朝鮮人の場合 :「内地に住んでいる&朝鮮に帰属している→日本の対人主権が及ばない」
としか言いようがありません。しかし、これでは期待した結論がでて来ないので、在日の場合だけ2)となるわけですね。

2)の基準でいえば、住んでいる場所が問題ですから、
在日朝鮮人の場合 :「内地に住んでいる&朝鮮に帰属している→日本の対人主権が及ぶ」
在朝鮮朝鮮人の場合:「内地に住んでいない&朝鮮に帰属している→日本の対人主権が及ばない」
となるものの
在朝鮮内地人の場合:「内地に住んでいない&内地に帰属している→日本の対人主権が及ばない」
とならなくてはなりません。Rさんの主張がどうおかしいか判ってもらえましたか?

対人主権の放棄が朝鮮という領域内に限られたものだというのであれば、朝鮮内での内地人に対する対人主権も放棄されねばなりません。領域内で放棄したんだから、領域の中に居る日本の対人主権下にあるものは等しく国籍を喪失しないとおかしい。そうじゃなくて領土に帰属する者について放棄したのであれば、内地に帰属する内地人の対人主権は維持出来ますが朝鮮に帰属する在朝鮮朝鮮人在日朝鮮人への対人主権が放棄されることになるわけです。

それから、前にも書きましたが
<堀内内相>45年12月5日、衆議院選挙法改正委員会
<川村外務政務次官>49年12月21日、衆議院外務委員会
などは、「国籍選択制度を設定するかどうか」の可能性についての議論であって、この議論の結果必要ということになれば「特別の条件を平和条約に設ける(西村条約局長の答弁)」という事になったわけですが。
西村条約局長は「特に日本人としていたいとの希望を持っておられる諸君のために、特別の条件を平和条約に設けることの可否という問題になるわけです。」という内容の発言をしているのか、西ドイツの裁判所が在独オーストリア人にドイツ国籍を認めた事がなぜ国際問題化したかを良く踏まえながら考えれば容易に理解出来る事です。
少なくとも当時の常識として、領土がある国から分離するならそこに「属する」者の国籍も喪失するのが当然だったわけです。だから独立に際して国籍に関してあれこれ規定していたり、西ドイツの裁判所のように条約の定めもないまま分離した領土に帰属している者に従前の国籍存在を確認してしまうと対人主権の侵害となって国際問題化するわけです。その結果「特別の条件を平和条約に設けることの可否」をドイツ・オーストリアが議論した結果の国籍選択制度です。同様の議論は日韓国交回復の交渉過程でも存在し、それを韓国が大統領裁定で拒否したという記録が少なくとも1951年末〜1952年春にかけての公開文書にあります。



▼R 2010/01/04 23:32
>この主張を見れば判るように、Rさんは対人主権の基準点でダブルスタンダードを取ってるんです。

あなたが私の発言を誤解した上で曲解されているだけなんですが。あまりに自分の考えに固執されるから、他人のコメントを正しく理解できないのでしょうね。 それにしてもあなたのコメントには独り善がりな自己解釈が目立ちます。

>2) 在日朝鮮人の基準は住所(内地に住んでいれば朝鮮に帰属していても日本の対人主権が及ぶ)

「朝鮮に帰属していても」なんてどこにも書いてませんよ。 あなたが他人が言ってもないことを手前勝手な解釈で決め付けて書いているだけなんです。 無論、在日朝鮮人が事実“朝鮮に帰属しているなら”日本の対人主権は及ばないでしょう。 しかし、何度も書いたように、サンフランシスコ平和条約には国籍に関する規定がなく、従って、どこまでの範囲の人が朝鮮に帰属するかが明白ではないので、在日朝鮮人日本国籍が条約によって喪失されるかどうかが分からないと言ってるのです。 つまり、平和条約だけでは在日朝鮮人日本国籍は喪失され得ないということです。(在朝鮮朝鮮人の国籍についても規定が条約にないという点では同じですが、少なくとも彼らが朝鮮の国籍を正式に得た時点で、日本国籍を喪失することに疑問余地がないでしょ?)

>在朝鮮内地人の場合:「内地に住んでいない&内地に帰属している→日本の対人主権が及ばない」とならなくてはなりません。Rさんの主張がどうおかしいか判ってもらえましたか?

あなたの誤解に基づく曲解がいかに突飛な解釈を生んでしまうかがよく判るだけなんですが。

>西村条約局長は「特に日本人としていたいとの希望を持っておられる諸君のために、特別の条件を平和条約に設けることの可否という問題になるわけです。」という内容の発言をしているのか、西ドイツの裁判所が在独オーストリア人にドイツ国籍を認めた事がなぜ国際問題化したかを良く踏まえながら考えれば容易に理解出来る事です。

西村条約局長の発言は西ドイツの件とは関係がありません。 あなたは度々それを引っ張り出しては自論に援用されますが、その件は在独オーストリア人に国籍選択権を付与しないでドイツ国籍を強制したことが問題となったのであって、国籍選択権の付与が「国際問題化した」わけではありません。 結局、在独オーストリア人に国籍選択権を付与することで決着が付いたのですから、むしろ国籍選択権を付与しなかったことが問題となった例なのです。
日本をみれば、事実は、以下に引用した当時の日本当局者の発言の中に、仰るようなドイツ国籍問題や大韓民国在日朝鮮人への対人主権宣言に対する懸念を表明するような内容は一言半句もないわけです。 あなたの意に反して、日本国内の少数民族問題を懸念する吉田首相の発言のみが唯一日本が国籍選択権の付与をを躊躇する理由としてみられるだけですから、国籍選択権を付与しないとの決定はあくまで日本の国内問題として検討され判断されていたことが分かるというものです。 ちなみに、左記の吉田首相の「国籍選択問題については慎重に考えるべき」との発言はサンフランシスコ平和条約締結後のものですから、条約に国籍条項が設けられなかったということは在日の日本国籍得喪が日本政府の自由裁量に任されたことを意味する、ということの証明にもなっていますね。 「条約に特段の規定がないまま国籍選択制度を国内法で制定する事が条約に反する」とのあなたの主張は、明らかに誤りだということです。

(以下、半月城通信 No.25より抜粋)
  さて、日本では「国籍選択」はどのように扱われたのでしょうか。関係者の発言は次の通りです。
<堀内内相>45年12月5日、衆議院選挙法改正委員会
  「内地に在留する朝鮮人に対しては、日本の国籍を選択しうることになるのが、これまでの例であり、今度もおそらくそうなると考えています」
<川村外務政務次官>49年12月21日、衆議院外務委員会
  「(国籍選択については)だいたい本人の希望次第決定される、ことになるという見通しをもっている」
吉田茂首相>51年10月29日、衆議院平和条約特別委員会
  「(朝鮮人の)名前まで改めさせるなど、日本化に力を入れた結果、朝鮮人として日本に長く『土着』した人もいれば、また、日本人になりきった人もいる。同時にまた何か騒動が起きると必ずその手先になって、地方の騒擾その他に参加する者も少なくない。いいのと悪いのと両方あるので、その選択は非常に・・・、選択して国籍を与えるわけではありませんけれども、朝鮮人に禍を受ける半面もあり、またいい面もある。・・・特に、朝鮮人日本国籍を与えるについても、よほど考えねばならないことは、あなた(曾根議員)の言われるような少数民族問題が起こって、随分他国では困難をきたしている例も少なくないので、この問題については慎重に考えたいと思います」
<西村条約局長>51年11月5日、同上
  「かって独立国であったものが、合併によって日本の領土の一部になった。その朝鮮が独立を回復する場合には、朝鮮人であったものは当然従前持っていた朝鮮の国籍を回復すると考えるのが通念でございます。ですから、この(平和条約)第2条(A)には国籍関係は全然入っていないわけであります。日本に相当数の朝鮮人諸君が住んでおられます。これらの諸君のために、特に日本人としていたいとの希望を持っておられる諸君のために、特別の条件を平和条約に設けることの可否という問題になるわけです。その点を研究しました結果、今日の国籍法による帰化の方式によって、在留朝鮮人諸君の希望を満足できるとの結論に達しましたので、特に国籍選択というような条項を設けることを(連合国側に)要請しないことにしたわけです」
http://www.han.org/a/half-moon/hm025.html#No.199



■G 2010/01/05 02:13
あなたが「帰属」を基準とされているのは

> しかし、何度も書いたように、サンフランシスコ平和条約には国籍に関する規定がなく、従って、どこまでの範囲の人が朝鮮に帰属するかが明白ではないので、在日朝鮮人日本国籍が条約によって喪失されるかどうかが分からないと言ってるのです。

というあなたの文章ではっきりしましたね?であれば、帰属を定める基準と、在日朝鮮人と在鮮内地人の帰属がどうなるかを示さねばなりません。私の帰属の基準は極めて簡単で、日本(あるいは他国)の統治下にあるという正当性がどこにあるか?だけです。
・「内地への帰属」…内地の先占と平穏な統治を権原に国民とされた者
・「朝鮮への帰属」…韓国併合を権原として国民とされた者(併合がなければ大韓帝国民)
です。朝鮮人と言われる人たちには、もし自分あるいは夫の先祖が大韓帝国臣民であり、「大韓帝国韓国併合による日本人化」がなければ自分が現在日本人であると言えない人たちです。台湾人は割譲による日本人化が根拠の人たち、内地人はそのような権原に関係なく日本人であると言える人たちです。このようにはっきりと区別されており、

> どこまでの範囲の人が朝鮮に帰属するかが明白ではない

等という事はありません。Rさんが「帰属」の基準を明らかにされれば済む話ですが、その基準が在日の場合だけ居住地になってるんですよね。なぜ在日朝鮮人が「内地に居れば帰属が朝鮮でない可能性があるのか?」という理由を説明されないからおかしくなるのです。今住んでいる場所を日本が支配していれば日本に帰属する、っていうんであれば、それは帰属と称しながらただの住所による区別を主張しているだけですね。

> (在朝鮮朝鮮人の国籍についても規定が条約にないという点では同じですが、少なくとも彼らが朝鮮の国籍を正式に得た時点で、日本国籍を喪失することに疑問余地がないでしょ?)

そんなことはありません。そこが勘違いです。単に他国が対人主権を宣言するだけでは日本の対人主権が侵される理由がありませんよ?単に日本と朝鮮の政府の間で紛争状態が発生するだけです。
日本の対人主権の主張が否定されるのは、日本のすべての権原・権利・請求権放棄を規定している平和条約があるからです。だから条約発効までは「どこにいようとも」日本国籍が維持されていたという見解が取られており、内地でも朝鮮人日本国籍であるとされていたわけです。

> その件は在独オーストリア人に国籍選択権を付与しないでドイツ国籍を強制したことが問題となったのであって、国籍選択権の付与が「国際問題化した」わけではありません。

繰り返しておきますが、ドイツ国籍を主張出来る正当性がないのにドイツ国籍の選択は出来ません。オーストリアがドイツへの帰属を望む者がドイツの主権下に入る事を認めているからこそ国籍選択制度が導入出来るんです。このオーストリアの同意がない限り、通常の帰化による手続きとなってしまいます。

> 国籍選択権を付与しないとの決定はあくまで日本の国内問題として検討され判断されていたことが分かる

とおっしゃいますが、そりゃ日本側だって考えますよ。清瀬の主張7) の懸念の通り日本の朝鮮支配への意欲ありと取られるのはまずいわけですし、清瀬に始まり西村局長の指摘する通り、条約に必要な例外規定を盛り込まないと実現出来ませんから。
しかし、そもそも朝鮮側が同意していない事を無視されるのはどうしてですか?その証拠の一例として1951〜1952年に掛けての日韓交渉での韓国側からの国籍選択制度の否定の説明の記録を挙げているわけですが?たとえば先に出した昭和27年2月の「国籍処遇問題に関する日韓非公式会談」の記録の
・韓国内で年長者中心の理想論的な血統主義派と若手中心の実利的な国籍選択権派で意見が分かれている
・大統領裁定で国籍選択権を認めないと決めた
・しかしながら在日保護が薄いという在日からの韓国政府への非難が少なくなるので国籍選択権を与える方がいいという意見もまだくすぶっていて困っている
というような内容です。このように平和条約発効以前に韓国側が大統領裁定で国籍選択制度を否定していますので、日本で一方的に行うことは出来ません。ドイツの国籍選択制に当てはめれば、オーストリア側が選択制度を否定してしまった状態にあったわけですね。ということで、双方の合意があったドイツでの国籍選択を、少なくとも朝鮮側が反対している在日朝鮮人に当てはめるのは適切ではありません。

それから横レスですが
> 「日本国籍の法的根拠が無くな」ってるとあなたが勝手に思ってるだけじゃないですか。日本国籍が法的に喪失されなければ、日本国籍は法的に保持されたままである。

朝鮮人日本国籍は朝鮮戸籍令という法令で定められていましたが、その法令自体が条約発効で完全に効力を失いました。ですので、法的に喪失どころか、その法令自体が無効になっちゃってます。「俺は日本人だ!」「根拠法は?」「朝鮮戸籍令だ!」「そんな法令もうないよ」で終わりってことです。



▼R 2010/01/08 22:52
>「大韓帝国韓国併合による日本人化」がなければ自分が現在日本人であると言えない人たちです。

歴史的事実に反する仮定の議論は全く意味がありませんね。 「大韓帝国韓国併合による日本人化」がなければ現在の在日朝鮮人の存在もなかったのですから。 実際に「大韓帝国韓国併合による日本人化」があったからこそ彼らが日本に住んでいるのであって、歴史の後戻りは出来ませんよ。 36年間の植民地統治の間に、併合がなければ朝鮮半島に留まったはずの人々が多数国外に移住し、結婚をして家庭をもち、子どもをもうけて生活を重ねてきたのです。 さらに、大韓帝国には国外移住者や国外で出生した者の国籍に関する法規定がなかったので、もはや韓国併合後に出生して国外に居住している人々を含めて誰が朝鮮に帰属するかを決めることなど不可能なことです。

>その基準が在日の場合だけ居住地になってるんですよね。なぜ在日朝鮮人が「内地に居れば帰属が朝鮮でない可能性があるのか?」という理由を説明されないからおかしくなるのです。

要約すれば、植民地独立の際は居住地の国籍を認めることが国際慣例になっていたので、国籍条項のないサンフランシスコ平和条約では在日朝鮮人日本国籍を喪失させることが出来ないのです。 と、何度か説明しているのですが、意図的か無意識なのか、あなたは理解しようとしませんね。

>今住んでいる場所を日本が支配していれば日本に帰属する、っていうんであれば、それは帰属と称しながらただの住所による区別を主張しているだけですね。

植民地独立の際に居住地に基づいて植民地出身者の国籍を認めることを、私が独自に主張しているのではなく、それが当時の国際慣例だったのです。 また、日本政府当局者も同様の認識をもっていたわけです。 あなたの主張は、そのような歴史的事実に反するものです。

>> 国籍選択権を付与しないとの決定はあくまで日本の国内問題として検討され判断されていたことが分かる
>とおっしゃいますが、そりゃ日本側だって考えますよ。清瀬の主張7) の懸念の通り日本の朝鮮支配への意欲ありと取られるのはまずいわけですし、清瀬に始まり西村局長の指摘する通り、条約に必要な例外規定を盛り込まないと実現出来ませんから。

天皇制に反対する植民地出身者の参政権を阻止するための清瀬の詭弁と、例によって木に竹を接ぐかのようなあなたの作り話ですね。 国籍選択権の付与が「条約に必要な例外規定を盛り込まないと実現出来ません」というのは嘘ですから。 

以下、前回の私のコメントを引用します:
ちなみに、左記の吉田首相の「国籍選択問題については慎重に考えるべき」との発言はサンフランシスコ平和条約締結後のものですから、条約に国籍条項が設けられなかったということは在日の日本国籍得喪が日本政府の自由裁量に任されたことを意味する、ということの証明にもなっていますね。 「条約に特段の規定がないまま国籍選択制度を国内法で制定する事が条約に反する」とのあなたの主張は、明らかに誤りだということです。
つまり、あなたが仰るように平和条約に「特段の規定がないまま国籍選択制度を国内法で制定する事が条約に反する」のなら、もはや国籍選択制度を考える余地などないのです。 日本が条約締結後に国籍選択権の付与について議論する必要など全くないわけです。 にもかかわらず、吉田首相が「この問題については慎重に考えたいと思います」と述べたのは、実は平和条約だけでは在日朝鮮人日本国籍の喪失にならない、国籍選択権の付与が日本の自由裁量に任された、ということの証明だということです。 吉田首相ほか日本の政治家、および日本政府当局者が、揃いも揃って国際条約に疎い大ばか者でなければね。 もう、これであなたとの議論は終わっていると思うのですが、まだ意地張りますか?

>しかし、そもそも朝鮮側が同意していない事を無視されるのはどうしてですか?

日本の国内法に対して、外国の意思が何らの法的拘束力もありませんから。

>このように平和条約発効以前に韓国側が大統領裁定で国籍選択制度を否定していますので、日本で一方的に行うことは出来ません。

二国間で国籍についての正式な条約を結んでない以上、そのような主張は明らかな嘘です。 あなたが日本を主権国家と認めないというなら話は別ですが。

>それから横レスですが、朝鮮人日本国籍は朝鮮戸籍令という法令で定められていましたが、その法令自体が条約発効で完全に効力を失いました。ですので、法的に喪失どころか、その法令自体が無効になっちゃってます。「俺は日本人だ!」「根拠法は?」「朝鮮戸籍令だ!」「そんな法令もうないよ」で終わりってことです。

まったく誤りです。「朝鮮戸籍」は日本の国内制度であって大韓帝国の制度ではありませんよ。サンフランシスコ平和条約が、朝鮮に帰属する権利を放棄することを求めても、日本に帰属するものを放棄することを求めていませんが? すなわち、「朝鮮戸籍」は、日本が日本国籍者である朝鮮人を血統的に差別するために創設した日本の制度であって、それが敗戦によって時代にそぐわなくなったのであれば、日本が自主的に改正すれば済む話なのです。 韓国と日本とでは戸籍の運用が異なるので、日本固有の旧習の家制度に基づく「朝鮮戸籍」でもって朝鮮の新国家に帰属する者を決めるのは無理というものです。 結局、「日本国籍が法的に喪失されなければ、日本国籍は法的に保持されたままである。」ということにならざるを得ないわけです。



■G 2010/01/09 02:12
> 歴史的事実に反する仮定の議論は全く意味がありませんね。

いえいえ、なぜ日本が朝鮮人を支配してよかったのか?という理由を確認してるだけです。韓国併合がなければ日本に支配される言われのなかった人たちが朝鮮人です。韓国併合がなければ内地で暮らすこともできなかった人たちなわけです。Rさんの主張を取れば、多くの帝国主義を取っていた国々は植民地支配の権益を失う必要はなかったでしょうね。

> 要約すれば、植民地独立の際は居住地の国籍を認めることが国際慣例になっていたので

なっていないからこそ、Rさんが何度も例示されている在独オーストリア人の国籍選択なんて話が出て来たんじゃないですか?そもそもの発端は西ドイツの裁判所が在独オーストリア人にドイツ国籍を認めた事であり、それがオーストリアの対人主権侵害であるとして国際問題化し、結果「一旦在独オーストリア人がドイツ国籍を喪失した事を確認した上で」国籍選択制を導入するという結果になったんじゃないですか?

国際慣例に従うなら
・西ドイツの裁判所の判決は何ら問題はない
オーストリア側には対人主権を主唱する正当性はない
ドイツ国籍の一斉喪失規定は国際慣例に反する行為
であり、Rさんの立場からはこんな風に国際慣例に反した在独オーストリア人の国籍選択制度を真似するわけにはいきませんね?住んでいる所がドイツであった在独オーストリア人は国際慣習上ドイツ国籍でなくてはならない、ということになるわけですから。

> 左記の吉田首相の「国籍選択問題については慎重に考えるべき」との発言はサンフランシスコ平和条約締結後のものですから、条条約に国籍条項が設けられなかったということは在日の日本国籍得喪が日本政府の自由裁量に任されたことを意味する、ということの証明にもなっていますね。

在独オーストリア人の国籍選択制度の実現の例を当てはめてみれば分かる話です。締結後でも日本と韓国の間でドイツとオーストリア同様に国籍選択に関する合意が出来ていれば問題ありません。しかし、この吉田首相の発言の後の51年冬〜52年春の日韓の交渉過程で韓国側から「大統領裁定で国籍選択制度を認めないこととなった」と伝えられているのですよ。なので、残念ながらドイツとオーストリアのような選択制度の導入は、少なくとも韓国側の反対で否定されている、というのが歴史的事実です。
繰り返しておきますが、私は平和条約後に「特段の規定」を日韓の合意のもとに制定したのであれば、国籍選択制をとることは何ら問題ないと考えていますよ。実際は少なくとも韓国は反対していますから、現時点で合意が成立する見込みはないでしょうけどね。ともあれ、そのような国際法上の特段の規定を日韓の間で定めない限り、従来の平和条約が有効です。ですので、国籍選択制度を日本が勝手に国内法で制定して実施する事はできないと言っているだけです。
ですから、韓国政府に国籍選択制を提案するよう働きかけてはどうですか?と言っているのです。在日朝鮮人に対する対人主権を実際に宣言しているのは(日本が認める朝鮮半島唯一の合法政府としては)韓国なのですから。

> 「朝鮮戸籍」は日本の国内制度であって大韓帝国の制度ではありませんよ。 

私は朝鮮戸籍の話なんかしてませんよ?朝鮮戸籍「令」という法令の話ですよ。ここに内地の戸籍法にはなかった「日本人の子は日本人である」というような条文があり、実はこれ以外に朝鮮人を日本人とする明文規定はなかったんです。朝鮮戸籍「令」は日本が朝鮮半島統治権に基づき朝鮮で公布した朝鮮人の服するべき命令であり、この命令に服従させられていた者はまさに「朝鮮統治」を受けているわけです。で、その命令の中に「日本人の子は日本人である」という規定があったおかげで、併合で日本人となった朝鮮人の子孫たちも「俺たちも日本人だ」と堂々と言えたわけです。朝鮮戸籍に登載されているかどうかとは直接関係ありません。もちろん命令を忠実に守っていれば、命令の通り朝鮮戸籍にも登載されているはずですが、登載されていなくても命令に従うべき者なら、この朝鮮戸籍令の規定を根拠に日本人と言えるのですよ。
しかし、朝鮮統治が終わったら朝鮮統治に基づく命令は効力を失います。すると朝鮮戸籍「令」に含まれていた、朝鮮人が日本人と言える明文規定も失効してしまいますので、朝鮮人の子孫たちが日本人だと言い張る法的根拠が無くなります。法的根拠がない以上、法律上日本人とは言えませんから国籍を認めることはできないのです。
よく朝鮮戸籍に載っているかどうかで判断されたと誤解されている方がいますが、最高裁の判決などをちゃんと読めば判るように「朝鮮戸籍に登載されるべき者」という表現を使っています。載っているかどうかではなく、朝鮮統治に基づく命令に従う事を義務づけられて居る者は例外なく朝鮮戸籍に登載することが義務づけられていた、という事を利用しているに過ぎません。
本質は朝鮮統治に基づく命令に従う義務があったかどうかで、義務があったのは韓国併合で日本人となった者あるいはその子孫、そしてそれらの者と結婚したり養子になったりした者であったわけです。日本とこれらの者は世界中どこに居ようと「朝鮮統治」で結びついていたわけです。しかし日本はその朝鮮統治を終了したわけです(もちろん平和条約が発効したからです)。そうなるとこれらの者と日本を結びつけるものは何も無くなり、日本の対人主権から離脱することになります。



▼R 2010/01/14 22:05
>> 要約すれば、植民地独立の際は居住地の国籍を認めることが国際慣例になっていたので
>なっていないからこそ、Rさんが何度も例示されている在独オーストリア人の国籍選択なんて話が出て来たんじゃないですか?

西ドイツは、日本のように植民地出身者の国籍を一方的に剥奪するのではなく、在独オーストリア人に居住地の国籍を保障しようとしたわけですが、そのことが国際慣例と合致しているのです。 つまり、私が述べているのは、当時世界で植民地独立の際に旧宗主国が必ずしも国内に在住する植民地出身者の国籍を喪失させようとしたのではなく、むしろ国内法によって居住地の国籍を保障する努力をしてきたということです。 旧支配国がそのような国際慣行を積み重ねる中、日本政府も在日朝鮮人国籍選択の自由を認めることを国際慣例と認識し、それに倣おうとしていたということが以下の発言で分かります。
<堀内内相>45年12月5日、衆議院選挙法改正委員会
  「内地に在留する朝鮮人に対しては、日本の国籍を選択しうることになるのが、これまでの例であり、今度もおそらくそうなると考えています」
<川村外務政務次官>49年12月21日、衆議院外務委員会
  「(国籍選択については)だいたい本人の希望次第決定される、ことになるという見通しをもっている」

>Rさんの立場からはこんな風に国際慣例に反した在独オーストリア人の国籍選択制度を真似するわけにはいきませんね?住んでいる所がドイツであった在独オーストリア人は国際慣習上ドイツ国籍でなくてはならない、ということになるわけですから。

ずっと以前から在日朝鮮人には国籍選択権が保障されるべきだと主張しているのですが。

>>左記の吉田首相の「国籍選択問題については慎重に考えるべき」との発言はサンフランシスコ平和条約締結後のものですから、条約に国籍条項が設けられなかったということは在日の日本国籍得喪が日本政府の自由裁量に任されたことを意味する、ということの証明にもなっていますね。
>吉田首相の発言の後の51年冬〜52年春の日韓の交渉過程で韓国側から「大統領裁定で国籍選択制度を認めないこととなった」と伝えられているのですよ。

「伝えられている」とは、ただの風聞をあなたは自論に援用しようとされるのでしょうか? 残念ながら私は未だそのような話を信じるに足る記録に接していませんので、確かなソースを示していただければ有難いです。

>残念ながらドイツとオーストリアのような選択制度の導入は、少なくとも韓国側の反対で否定されている、というのが歴史的事実です。

Mさんのエントリによれば、大韓民国在日韓国人への対人主権宣言をマッカーサー連合国司令長官に送ったのが1949年10月7日ですが、その約2ヵ月半後の1949年12月21日に、日本の川村外務政務次官衆議院外務委員会で、「(国籍選択については)だいたい本人の希望次第決定される、ことになるという見通しをもっている」と述べています。 これが正に歴史的事実なのです。
大韓民国の宣言による「国籍選択権の否定」にもかかわらず、日本がこのような発言ができたということは、国籍選択権の付与が韓国側の反対では否定され得ないことの一つの証左といえますね。 在日朝鮮人に対する国籍選択権に関する立法は日本の国内法ですから、当然といえば当然の話なのですが。 当時日本は連合国の意向の範囲内で国内政治を行っていましたので、そのような国籍選択権の付与は、GHQの指導もしくは承認の上で行われようとしていたのは明らかです。

>私は平和条約後に「特段の規定」を日韓の合意のもとに制定したのであれば、国籍選択制をとることは何ら問題ないと考えていますよ。

「何ら問題ない」とは法的なことを仰っているのでしょうか? いずれにせよ、国籍の得喪は国内管轄事項というのが国際法の原則ですから、在日朝鮮人の国籍に関する国際条約が締結されていない以上、他国がとやかく言えませんね。 前述のとおり、日本の国内法に対して他国の意思が何らの法的拘束力もありませんから。 サンフランシスコ平和条約に国籍条項が存在せず、韓国や北朝鮮が平和条約の当事者でもないので、条約だけで在日朝鮮人日本国籍を喪失させることは無理なのです。 だからこそ、吉田首相以下日本の政治家および政府当局者が、平和条約締結後にもかかわらず、平和条約特別委員会なるものを開いて国会で在日朝鮮人日本国籍得喪についてどう対処すべきかを議論していたわけです。 すなわち、それが、在日朝鮮人日本国籍得喪が日本政府の自由裁量に任されていたことの証明なのです。

>>「朝鮮戸籍」は日本の国内制度であって大韓帝国の制度ではありませんよ。
>私は朝鮮戸籍の話なんかしてませんよ?朝鮮戸籍「令」という法令の話ですよ。

『朝鮮戸籍「令」』は日本の国内政治のための法令であって大韓民国の法令ではありませんよ。 サンフランシスコ平和条約が、朝鮮に帰属する権利を放棄することを求めても、日本に帰属するものを放棄することを求めていませんが? すなわち、『朝鮮戸籍「令」』は、日本が日本国籍者である朝鮮人を血統的に差別する制度を創設するために出した法令であって、もしその法令による制度が敗戦によって時代にそぐわなくなったのであれば、日本が自主的に改正するか、新たな法律を作るなどして対応すれば済む話です。



■G 2010/01/15 02:09
> つまり、私が述べているのは、当時世界で植民地独立の際に旧宗主国が必ずしも国内に在住する植民地出身者の国籍を喪失させようとしたのではなく、むしろ国内法によって居住地の国籍を保障する努力をしてきたということです。

その努力こそが当時の常識としてもおかしいからこそ、オーストリアの対人主権を侵害したとして国際問題化したわけですよね?つまりRさんの主張は、同様の国際問題を起こせ、と言ってらっしゃるわけですね。しかもドイツが国内法(判決)によって認定したはずの国籍はさかのぼって喪失したものとされ、改めてドイツとオーストリアの間での合意に基づく国籍選択制度が作られたのですよね?Rさんとしては、ドイツとオーストリアの例は参考にしてはいけない国際慣例に反する解決だと言う事ですね。

> 残念ながら私は未だそのような話を信じるに足る記録に接していませんので、確かなソースを示していただければ有難いです。

例えば昭和27年2月15日の国籍処遇問題に関する日韓非公式会談議事録です。これは日韓の公開文書として公開されています(外務省からも公開されています)し、このような会談議事録は条約等の解釈における根拠と出来るものであることがパリ条約(国際条約に関する条約)に規定されています。

> 日本がこのような発言ができたということは、国籍選択権の付与が韓国側の反対では否定され得ないことの一つの証左といえますね。 

ちょっと待ってください。西村局長が選択制を行う上での国際法上の問題点を指摘してるじゃないですか。過去の発言はそこらへんに言及していないだけで、仮に行われる場合は必要な法的整備をした上で選択制度が行われるなんてのは当たり前の事です。

> 当時日本は連合国の意向の範囲内で国内政治を行っていましたので、そのような国籍選択権の付与は、GHQの指導もしくは承認の上で行われようとしていたのは明らかです。

GHQは解放国民として…の路線を変えた事はありませんので、離脱は離脱として粛々と勧められていましたね?というか、各国会の発言は見通しを述べているだけですけど。どうやら、GHQが国籍問題に関して日韓双方に斡旋案を出していた事はご存じないようですね。昭和26年11月26日にGHQが出した国籍問題に関する斡旋案は

・条約発効の時点で在日朝鮮人をあらゆる点で一般の外国人として扱う事
・ただし過去に日本人であった経緯を考慮し、永住権、日本人にのみ認められる占有権等の維持に関する配慮、帰国時の個人資産に関する配慮をするべき
というものでしたから、国籍選択権に関してはなんら考慮していない事は明白ですね。これも公開文書として公開済みです。

>国籍の得喪は国内管轄事項というのが国際法の原則ですから、

繰り返しておきますが、他の国際法に反しない範囲において、ですよ。国内管轄事項ってのは主権の認められる範囲でしか行使出来ませんが、在日朝鮮人にはその対人主権が及んでいないわけですから。

> 『朝鮮戸籍「令」』は日本の国内政治のための法令であって大韓民国の法令ではありませんよ。 

その通り。日本の朝鮮統治のための法令だから大事なんです。朝鮮戸籍令は日本の朝鮮統治の実体なんですよ。だから、朝鮮統治の終了とは、具体的にはこのような法令の失効や正当性の喪失を意味するんです。とすると、この法律を根拠とするあらゆるものが正当性を失ってしまうんですよ。そうしろ、ということが条約で規定されているわけだから、日本が国内法で国籍を自由に決めていい、なんて話は実際問題としても成立していないんです。国籍を決めるためにつくっていた法律が、国際条約による朝鮮統治の終了という包括的な表現で効力を否定されちゃってるんですから。



▼R 2010/01/26 00:02
>その努力こそが当時の常識としてもおかしいからこそ、オーストリアの対人主権を侵害したとして国際問題化したわけですよね?

旧宗主国の国籍を強制したことが個別の二国間で問題になっただけのことですよ。 それを特殊な事例にこじつけたところで、当時の常識がひっくり返るわけもありません。 領土変更時は居住地の国籍を認めるというのが当時の国際慣例であり、西ドイツはそれを踏襲しただけのことであって、最初から在独オーストリア人の自由意思を認めていれば何の問題も生じなかったのです。

>つまりRさんの主張は、同様の国際問題を起こせ、と言ってらっしゃるわけですね。

いいえ。というよりむしろ、大韓民国の対人主権宣言の後にもかかわらず、日本政府当局者が「(国籍選択については)だいたい本人の希望次第決定される」との見通しを表明することができたのは、まさしく日本政府自身が、国籍選択権の付与が国際紛争になるなどと考えもしない、あるいは、そのようなことを全く問題視していなかったことの何よりの証拠です。 そもそも日本政府が考えていたのは日本国籍の強制ではなく国籍選択権の付与であって、そのような国際慣例に沿った行為が問題になるなどと考える必要がなかったのです。

>ドイツとオーストリアの例は参考にしてはいけない国際慣例に反する解決だと言う事ですね。

あなたは視点を全く見誤っていますね。 西ドイツは、在日から一方的に日本国籍を剥奪して無国籍者に貶めた日本と違って、ドイツ国籍を喪失させながらも在独オーストリア人に「居住地の国籍を保障」しようとしました。 そのような西ドイツの努力を、国際慣例に合致すると私は主張しているのです。 国籍の取得については個人の自由意思が尊重されるべきであって、国籍選択権の付与がどのような形で行われるかを問題にしているわけではないのです。 戦後の日本当局者の「内地に在留する朝鮮人に対しては、日本の国籍を選択しうることになるのが、これまでの例であり」「「(国籍選択については)だいたい本人の希望次第決定される」という発言から、日本政府自身が個人の意思に基づく日本国籍の取得を国際慣例と認識していたことは明らかです。

>>残念ながら私は未だそのような話を信じるに足る記録に接していませんので、確かなソースを示していただければ有難いです。
>例えば昭和27年2月15日の国籍処遇問題に関する日韓非公式会談議事録です。

ですから、前々回のコメントであなたは「吉田首相の発言の後の51年冬〜52年春の日韓の交渉過程で韓国側から『大統領裁定で国籍選択制度を認めないこととなった』」と述べられたのですが、それを証明する議事録を出していただきたいのです。 「例えば・・・日韓非公式会談議事録です」というような曖昧な回答ではなく、具体的にあなたの発言を証明する部分を示して欲しいのですが?

>>日本がこのような発言ができたということは、国籍選択権の付与が韓国側の反対では否定され得ないことの一つの証左といえますね。
>ちょっと待ってください。西村局長が選択制を行う上での国際法上の問題点を指摘してるじゃないですか。過去の発言はそこらへんに言及していないだけで、

ちょっと待ってください。 「過去の発言」が「そこらへんに言及していない」ことをよいことに、またあなたの勝手な想像(あなたの場合は“創造”?)による架空の作り話で反論するつもりですか? 西村条約局長は、「選択制を行う上での国際法上の問題点」など一切指摘していませんよ。 在日朝鮮人日本国籍を喪失させることの根拠として、サンフランシスコ平和条約の日本政府の独自解釈を述べただけです。 彼の発言には韓国の対人主権宣言を懸念するような内容が微塵もなく、また「過去の発言」も「そこらへんに言及してい」ませんね。 それはなぜかというと、日本が国内問題の観点において日本の意思として国籍選択制を採らないことに方向転換したからです。 連合国や韓国の意思ではなく、日本の意思だったからこそ、「そこらへんに言及」する必要がなかったわけです。
当初国際慣例にならって国籍選択制を採用するつもりだった日本も、吉田茂首相ほかそれに反対する政治家の影響を受けて、選択制を採らない方向に政策転換していきました。 平和条約締結後の衆議院平和条約特別委員会における以下の発言が、如実にその事実を物語っています。

吉田茂首相>51年10月29日、衆議院平和条約特別委員会
  「(朝鮮人の)名前まで改めさせるなど、日本化に力を入れた結果、朝鮮人として日本に長く『土着』した人もいれば、また、日本人になりきった人もいる。同時にまた何か騒動が起きると必ずその手先になって、地方の騒擾その他に参加する者も少なくない。いいのと悪いのと両方あるので、その選択は非常に・・・、選択して国籍を与えるわけではありませんけれども、朝鮮人に禍を受ける半面もあり、またいい面もある。・・・特に、朝鮮人日本国籍を与えるについても、よほど考えねばならないことは、あなた(曾根議員)の言われるような少数民族問題が起こって、随分他国では困難をきたしている例も少なくないので、この問題については慎重に考えたいと思います」
<西村条約局長>51年11月5日、同上
  「かって独立国であったものが、合併によって日本の領土の一部になった。その朝鮮が独立を回復する場合には、朝鮮人であったものは当然従前持っていた朝鮮の国籍を回復すると考えるのが通念でございます。ですから、この(平和条約)第2条(A)には国籍関係は全然入っていないわけであります。日本に相当数の朝鮮人諸君が住んでおられます。これらの諸君のために、特に日本人としていたいとの希望を持っておられる諸君のために、特別の条件を平和条約に設けることの可否という問題になるわけです。その点を研究しました結果、今日の国籍法による帰化の方式によって、在留朝鮮人諸君の希望を満足できるとの結論に達しましたので、特に国籍選択というような条項を設けることを(連合国側に)要請しないことにしたわけです」
http://www.han.org/a/half-moon/hm025.html#No.199より抜粋)

上記、吉田茂首相の「選択して国籍を与えるわけではありませんけれども」との発言は、帰化制度を示唆し、「朝鮮人日本国籍を与えるについても、よほど考えねばならないことは、・・・少数民族問題が起こって、随分他国では困難をきたしている」との発言は、国内に少数民族問題が起こることを懸念して国籍選択権の付与に難色を示したものです。 一週間後の西村条約局長の発言は、まさにこの吉田茂の意向に沿ったものです。 そうするために西村条約局長は、在日朝鮮人日本国籍喪失を合理化する条約解釈をする必要がありました。 また、国籍の保障という観点において帰化制度が国籍選択制とはまるで意味合いが異なるにもかかわらず、「日本人としていたいとの希望を持っておられる諸君のために、・・・国籍法による帰化の方式によって、在留朝鮮人諸君の希望を満足できるとの結論に達しました」と言いつくろって、国籍選択制を採らないように強引に合理化しました。
前述のとおり、日本政府は国籍選択権の付与に関して大韓民国の対人主権宣言を一向に気にしていませんでした。 また、以前にも指摘しましたが、平和条約の締結は1951年9月8日であり、条約締結後に日本は上記のとおり平和条約特別委員会を開いて在日朝鮮人日本国籍をどうするかについて検討したわけですが、それはつまり、国籍条項のない平和条約だけでは在日朝鮮人の国籍が決められなかったからなのです。 領土変更時は居住地国籍推定の原則があるため、在日朝鮮人国籍選択権を付与するかどうかを決める必要があったわけです。 すなわち、在日の日本国籍得喪が日本の自由裁量に委ねられたということです。

>仮に行われる場合は必要な法的整備をした上で選択制度が行われるなんてのは当たり前の事です。

もちろん、そうですよ。 しかし、韓国の意向を斟酌する必要などありません。 上述のとおり、日本政府自ら国籍選択制を採らないことを決定してしまったのです。 以後、日韓交渉においては、その決定に沿って日本側から国籍選択制を提示することは一切なく、日本政府代表者は韓国政府代表者に対して、一方的に、在日朝鮮人日本国籍の喪失および韓国籍の取得を認めさせることに専念したのです。 むしろ、韓国側から「国際慣例により在日には国籍選択権が与えられる」との主張がなされましたが、日本政府はそれを受け付けませんでした。 つまり、在日朝鮮人日本国籍剥奪は、連合国の意思でもなく、韓国の意思でもなく、日本の意思によって行われたということです。

>GHQは解放国民として…の路線を変えた事はありませんので、離脱は離脱として粛々と勧められていましたね?

また嘘ですね。 GHQは1946年末に、朝鮮に引き揚げを拒否する在日朝鮮人は日本人と同一に扱うよう日本政府に指示しています。 また、南朝鮮軍政庁に勤務するアメリカ人、エドワード・W・ワグナーは、1951年に、「現下の事情を実際的に考慮したうえで、事情が許せば、朝鮮人は日本または朝鮮のいずれの市民権を選ぶかの明確な選択権を与えられるであろうし、かつ、日本人側が従来のように差別的慣行をつづけることや、朝鮮人が、日本・朝鮮の二重国籍を利用することを防ぐために、できる限りの保証規定が設けられるであろう」と当時の状況を自らの著書に述べています。

>昭和26年11月26日にGHQが出した国籍問題に関する斡旋案は・・・・・というものでしたから、国籍選択権に関してはなんら考慮していない事は明白ですね。

当たり前じゃないですか。 サンフランシスコ平和条約締結後に、日本が自らの意思で国籍選択制を採らないと決めた後ですから。 国籍の得喪は国家の国内管轄事項ですから、条約に国籍条項が無い以上、もはや連合国といえども他国に強制ができないのです。

>>『朝鮮戸籍「令」』は日本の国内政治のための法令であって大韓民国の法令ではありませんよ。
>その通り。日本の朝鮮統治のための法令だから大事なんです。朝鮮戸籍令は日本の朝鮮統治の実体なんですよ。だから、朝鮮統治の終了とは、具体的にはこのような法令の失効や正当性の喪失を意味するんです。とすると、この法律を根拠とするあらゆるものが正当性を失ってしまうんですよ。そうしろ、ということが条約で規定されているわけだから

相変わらずの独自解釈ですね。 サンフランシスコ平和条約が朝鮮に帰属する権利を放棄することを求めても、日本に帰属するものを放棄することを求めていませんよ。 そもそも朝鮮戸籍令が大韓帝国人を日本人にしたわけではないのですから、朝鮮統治が終わって昔の法令が時代にそぐわなくなれば、改正するなり、実状に則した法律を新たに作ればよいだけのことです。 現に日本国憲法と国籍法の作成によって日本国民たる要件が規定できたではありませんか。 このように、日本国籍得喪は国内法の問題に過ぎないのであって、平和条約は朝鮮の独立を承認して日本に朝鮮領域の主権を放棄させただけであって、日本領域における日本の主権を放棄させたわけではありません。



■G 2010/01/26 04:14
> 領土変更時は居住地の国籍を認めるというのが当時の国際慣例であり、

だったらドイツには在独オーストリア人に対して潜在的ドイツ国籍があると主張出来る権利があり、ドイツが「旧宗主国の国籍を強制したこと」が個別の二国間で問題になる理由がありませんね?国籍に不服であれば強制された在独オーストリア人がドイツ国籍を離脱すればいいのですから。それとも在独オーストリア人はドイツ国籍を離脱する事を禁じられていたのですか?

> 西ドイツは、在日から一方的に日本国籍を剥奪して無国籍者に貶めた日本と違って、ドイツ国籍を喪失させながらも在独オーストリア人に「居住地の国籍を保障」しようとしました。 

事実関係に余計な脚色をされる必要はありませんよ。だいたい、在日朝鮮人は無国籍じゃないですよ?韓国政府が韓国国籍を宣言してし、必要な国内法を整備していますから。そして韓国が自国の法令に基づき在日朝鮮人に国民登録を要請しているのに、その手続きを踏まない人がいるというのが朝鮮籍問題です。日本政府は韓国政府が韓国国籍を認める事に同意していますから、あとはご本人が手続きをなされればいいのですよ。ちょうど日本人の子として生まれながらも、手続きをとらないがために無戸籍状態になっている人たちと同じですね。彼等は無戸籍なだけでちゃんと日本国籍はあります。麻生前総理が外務大臣時代にパスポートの緊急発券したこともありましたよね?
さて、在独オーストリア人にドイツ国籍を持つ正当性があれば、ドイツ国籍を継続して維持出来たはずであり、少なくとも二重国籍状態であったと認められるはずです。正当性がないからこそドイツの国籍の主張が取り消され、一旦遡って喪失する事になった。その上でオーストリアとの間の合意に基づく国籍選択制の導入が行われてるわけです。

1) ドイツ国籍をさかのぼって喪失…潜在的ドイツ国籍の否定
2) 改めてオーストリアとの間での国籍選択制の導入…二国間の同意による国籍選択
ということですから、在日朝鮮人の場合2)が成立していませんから、1)の効力のみが残ってしまうわけですね。日本の場合朝鮮の帰属を含む日本の主権の範囲自体が最終的に確定したのが平和条約ですから、その時点で日本の対人主権から離脱した在日朝鮮人には1)の効力しか及ばないわけですね。
もともと、ドイツとオーストリア国籍選択制は在日朝鮮人国籍選択の理論的援用として用いられて来たものなんですが、これが特殊事例で参考に出来ない、とRさんがおっしゃっている

> 前々回のコメントであなたは「吉田首相の発言の後の51年冬〜52年春の日韓の交渉過程で韓国側から『大統領裁定で国籍選択制度を認めないこととなった』」と述べられたのですが、それを証明する議事録を出していただきたいのです。

どう示せば「出した」事になるのか判りませんので何とも言えませんが、既にその公開資料の公開されているサイトを紹介していますよ?そこをご覧になりましたか?色んな資料がありますよ。前に紹介した日韓会談文書・全面公開を求める会のサイト(アドレスはhttp://www7b.biglobe.ne.jp/~nikkan/)の日本側公開文書をご覧になれば結構かと。
それを読んでもらえば判りますが、もともと、韓国側はポツダム宣言受諾を以て日本国籍を喪失し、韓国政府の樹立と韓国の国籍に関する法律の制定をもって在日朝鮮人の韓国国籍は確立したとの主張です。いずれにせよ日本国籍を喪失する事には異論がないという原則を確認した上で経過措置などの扱いの議論に入る、という事で始まったのですが、突如韓国から国籍選択制が持ち出され、それが再び引っ込められる、という事態になったのです。

たとえば、第四次公開分の「在日朝鮮人の国籍及び処遇問題に関する総司令部の斡旋」という文書の9ページ目には、在日朝鮮人日本国籍を喪失するべき事自体では双方が一致したので、原則論はさておき実質的な経過措置に関する話し合いに入ることになったことやその際の共同声明文が、18ページから韓国と日本との間での国籍喪失に関する意見の相違やSCAPの政策との整合性の取り方についての合意、また第五次公開分の「日韓会談記録(国籍処遇問題)(その3)」の6ページから12ページまでに韓国側の在日朝鮮人の国籍と法的地位に関する見解や要求、また「日韓会談記録(国籍処遇問題)(その5)」の49ページには、韓国代表が説明した突然の国籍選択制の提案から最終的な大統領裁定に至るまでの韓国政府内部の意思決定の混乱の様子なども書かれていますね。

> GHQは1946年末に、朝鮮に引き揚げを拒否する在日朝鮮人は日本人と同一に扱うよう日本政府に指示しています。

そりゃそうでしょう。帰属が定まるまでの暫定的な措置ですから。暫定的な措置と言い切れるのも、同時期に出されているGHQ総司令官への初期指令(外務省サイトにありますからご覧下さい)には、朝鮮人を解放国民として扱え、という指令がでていますし、他にも例えば上記サイトの資料のサリバンによる在日朝鮮人の国籍問題に関する斡旋案にあるように、条約発効で一般外国人とするという方針が示されているわけですし。

> 事情が許せば、朝鮮人は日本または朝鮮のいずれの市民権を選ぶかの明確な選択権を与えられるであろうし、

でしょうね。でも、それは日本を占領しているGHQの見解ではないですよね?当のGHQのサリバンの斡旋案や総司令官への指令などで明らかなように、GHQはそのような方針ではなかったわけですが。韓国政府も日本政府もGHQもそのような事情を認めなかったということでしょうね。

> サンフランシスコ平和条約が朝鮮に帰属する権利を放棄することを求めても、日本に帰属するものを放棄することを求めていませんよ。

では、一体いつの時点でどういう根拠で朝鮮人が日本に帰属することとなったのでしょうか?日韓併合条約の定めているのは、朝鮮の統治権を獲得した日本によって朝鮮が統治されることであって、朝鮮に帰属する者の身分関係には何ら変動がありませんが?朝鮮に帰属したままの朝鮮人が日本が朝鮮での統治権に基づいて出す命令に従っており、その命令が日本国籍や内地への移動や寄留を認めていただけでしょ?それが朝鮮統治の実体ですよね?朝鮮に帰属する者にも日本国籍を認める、という以上の規定はありませんよ?
だからこそ朝鮮統治が終了した時点で朝鮮人の国籍離脱が自動的に成立してしまいます。日韓双方の食い違いはその朝鮮統治の終了がいつなのか(日本は平和条約発効、韓国はポツダム宣言受諾)であって、朝鮮統治終了により朝鮮に帰属している者は自動的に日本国籍を離脱する点ではどちらも一致してるんですけど?「日韓会談記録(国籍処遇問題)(その3)」の6ページにもあるように、あなたの主張は朝鮮の合法政府である韓国政府によっても否定されています。

> 現に日本国憲法と国籍法の作成によって日本国民たる要件が規定できたではありませんか。 

日本の占領時を含め、内地人に対する日本の主権が一度たりとも否定された事はありませんから。日本政府の立場からすれば平和条約の発効によって日本の主権が朝鮮とそこに帰属する者に及ばなくなるわけであり、韓国政府の主張を借りれば「ポツダム宣言の受諾で日本の覇縛を離脱した」のであり、「これは国内にいる韓国人にしろ日本にいる韓国人にしろ何らの差異がない」上に、「UN総会の決議によって承認され大多数の民主国家によって個別に承認された独立」なのですから。

だいたい、
> 朝鮮統治が終わって昔の法令が時代にそぐわなくなれば、改正するなり、実状に則した法律を新たに作ればよいだけのことです。 

という主張自体が破綻しています。朝鮮人は内地にあっても朝鮮で施行された命令によって日本人と規定されていたんで、朝鮮統治が終わった時点で日本の命令が朝鮮人に及ばないんですってば。

天皇→(朝鮮統治の権利)→朝鮮総督府→(天皇の命令に基づく実務遂行)→朝鮮人

という支配構造で、その朝鮮人が内地での居住を認められていただけなんですよ。朝鮮統治自体が否定されている以上、その下にある朝鮮総督府は当然消滅しますし、同時に朝鮮人と日本の間の統治関係が消滅するわけです。統治関係が消滅してしまう以上、自国の主権が及ぶという主張は認められませんから、幾ら国内法を制定したって西ドイツの例を引くまでもなく国籍を喪失するのは必然です。
そのような在日朝鮮人に日本の主権が及び、日本の国内法だけで国籍を与えられるなどという主張は日本の帝国主義の存続を支持してるようなもんです。



(この議論は以下に続きます。)
「⑥日韓会談文書を中心に

③朝鮮に「帰属」する者の「国籍選択権」は可能であったかについての議論

【2011年6月21日改】


Q&A式に変更整理せず、議論をほぼそのままの形で抽出して転載します。



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■G 2009/12/10 12:29
サンフランシスコ平和条約の権原喪失により日本の自由裁量によらない朝鮮人の国籍離脱が起きたからといって、日本が国籍選択制を行う道義的責任を負っているわけではありません。選択制を提供しなかった事で新たな責任が発生するというのなら、別の問題として主張していただく必要がありますね。
そもそも、諸国の合意に基づいて朝鮮に関する日本の支配を徹底的に排除したのに、その結果支配を回復させる道義的責任が日本に発生するという事自体こじつけが過ぎます。
日本政府に対する批判とは、条約発効という日本の裁量を超えた形で行われた朝鮮人の国籍離脱の道義的責任を根拠に、日本の裁量で国籍選択制をとらないことが批判されているのです。言ってみれば、私がこれから自分の意見を述べようとしているとき、お前にはお前の親のやった事の道義的責任があるんだからこういう発言をしなくてはならない、と言われている状態ですよね?



◆M 2009/12/10 13:33
> 条約の権原喪失により日本の自由裁量によらない国籍離脱が起きたからといって、日本が選択制を行う道義的責任を負っているわけではありません。

条約締結は、日本が自由裁量において合意したからでしょう?

> そもそも、諸国の合意に基づいて朝鮮に関する日本の支配を徹底的に排除したのに、

だったら戦後すぐ、どうして国民としての権利を剥奪しながら、「国民の義務」は押し付けていたのでしょうか。もし日本の支配を排除することが目的であれば、逆に義務から解放しつつ権利だけは当面保護する、というのが当たり前のやり方だと思うのですが、日本はその逆を行ったのですよ。それをわたしは問題であると批判しています。



■G 2009/12/10 14:22
> 条約締結は、日本が自由裁量において合意したからでしょう?

条約締結に合意するまで連合国により日本の主権が制限されていたんで、その自由裁量が存在しないんですけど?

> 戦後すぐ、どうして国民としての権利を剥奪しながら、「国民の義務」は押し付けていたのでしょうか。

国民の間の扱いに差があってはいけない、という根拠はどこにあるのでしょうか?
世界的に見ても国籍と市民権は一致してませんね。英国国籍を持っている海外邦人が本土に住む際に帰化を求めるような英国の例もありますし。



▼R 2009/12/10 17:37
>条約締結に合意するまで連合国により日本の主権が制限されていたんで、その自由裁量が存在しないんですけど?

サンフランシスコ条約国籍選択権に関する条項を設けることを要請しないとの判断は、日本政府の自由裁量においてなされましたね。 日本政府が、自らの判断で、在日朝鮮人日本国籍選択権を付与しないことを決めたのですが。



■G 2009/12/10 19:33
>サンフランシスコ条約国籍選択権に関する条項を設けることを要請しないとの判断は、日本政府の自由裁量においてなされましたね。日本政府が、自らの判断で、在日朝鮮人日本国籍選択権を付与しないことを決めたのですが。

そもそも「自由」裁量ではありませんね。その「裁量」自体が連合国の指導と承認に基づいたものです。GHQ最高司令官は天皇や政府の上位であり、彼や連合国の承認なしには裁量が行使出来ないのですから。



◆M 2009/12/11 01:37
>条約締結に合意するまで連合国により日本の主権が制限されていたんで、その自由裁量が存在しないんですけど?

制限は受けていたでしょう。しかしその制限の中で、朝鮮半島出身者の権利を守るために出来る限りのことをやっていたのですか? 逆に、出来ることすらやっていなかったのでしょう?
もし仮に、出来る限りのことをやったうえで、どうしても連合国の押し付けによりこれとこれはできませんでした、ということなら、まったくちがった話になります。でも現実には、明らかに日本政府自身が積極的に権利消滅に向けて動いています。

> 国民の間の扱いに差があってはいけない、という根拠はどこにあるのでしょうか?

日本国憲法に、国民は平等だと定めてありますが。

> 国籍は一国の一存で決められるという自らの主張を否定していますよね

していません。もし外国が日本に「国籍をよこせ」と押し付けてくるのであればおかしいですが、一個人が「国籍を与えるべきである」と主張することは、国家主権の侵害ではないですよ。



■G 2009/12/11 03:30
> しかしその制限の中で、朝鮮半島出身者の権利を守るために出来る限りのことをやっていたのですか? 逆に、出来ることすらやっていなかったのでしょう?

おっしゃっているのは「併合により強制的に日本人とされた朝鮮半島出身者が日本人として生きて行く権利」ですよね?それは日本の主権を制限していた側によって「隷属」「奴隷状態」と否定されているものですよ。なので、GHQは占領直後から在日朝鮮人を「解放国民」と規定し、朝鮮人の権利を回復するために日本の統治からの離脱(=外国人化)を進めていたのです。

> 日本国憲法に、国民は平等だと定めてありますが。

現行憲法憲法制定権力はいわゆる「内地人」ですので、朝鮮人日本国憲法の規定する国民とするには憲法10条に基づく法の規定によらないといけません。しかしその国籍法は内地人のみを対象としていますので、いずれにせよ朝鮮人を新憲法の規定する国民というのは無理があります。この間GHQにより朝鮮人の日本統治からの離脱に関する施策が継続している事もお忘れなく。

> 一個人が「国籍を与えるべきである」と主張することは、国家主権の侵害ではないですよ。

主張されてること自体は認めてるじゃないですか。ただし、主張の内容が筋が通ってないですね、と言ってるんですよ。
日本が選択制を導入しない事によるあらたな不利が発生しているわけじゃないですね? 他の外国人と同じ地位であるわけですから。Mさんは「条約発効による国籍離脱によって発生した」と称する不利を、届出だけの国籍選択制で「回復」しないことを「道義的責任」という言葉で主張されているのですよね?
結局、「日本の国籍に関する裁量というのは、別の事柄である条約による国籍離脱に由来する道義的責任によって制限されるべきだ」と、ある個人が主張されているという話ですよね?

> 「剥奪」という言葉が最も現実に即している

いいえ、日本が日本国籍を認めるための根拠を喪失した、というのが現実です。
なぜ朝鮮人が日本人と言えるのか?と尋ねられたとき、条約発効前であれば「韓国併合により、朝鮮統治の権利を保有しているから」と主張出来ます。これが朝鮮人を日本人とする「権原」です。実際当時の大韓帝国に居住していない大韓帝国民も日本国籍となりましたので、この併合や統治の譲渡という権原をもとにして大韓帝国に帰属する者を日本人と宣言しているわけです。
幸か不幸か、朝鮮半島では内地法に基づく統治をしていませんので、すべての法が韓国併合と朝鮮統治という権原に由来しています。朝鮮半島樺太のように内地に編入されていれば、在日朝鮮人が引き続き日本国籍を主張する事は十分可能だったでしょう。有り体に言えば植民地としての統治であることがバレバレなので、簡単に植民地支配されてる人を見分けられる状態だったというわけです。植民地の定義については様々な議論があるので置いておきますが、要は統治の根拠が内地や内地人とは全く違っているままで統治を続けていたという事です。それを司法では「異法地」という言葉を使っていますが。
こう考えれば判りやすいでしょう。パナソニックが三洋を買収しましたね?三洋社員はパナソニックグループの社員と言えるでしょう。他の子会社同様、パナソニックの制服を着てパナソニックの一員として活動する事もできるでしょう。それでもパナソニックと三洋は別会社として区別され、三洋社員とパナソニック社員では異なった雇用関係が適用されたままです。三洋社員がパナソニック社員のための雇用規則で権利を主張出来ませんし、その逆も然りです。名実共に三洋社員をパナソニック社員と呼ぶには、三洋との雇用関係を解消してパナソニックとの雇用関係に切り替えなくてはなりませんね?これと同じ事ですよ。
なので、グループとしては大日本帝国であっても、内部的には朝鮮と内地は全く別物のままなのです。朝鮮を併合している事実がなくなる、あるいは帰属が朝鮮ではなくなると、朝鮮に帰属する人たちは居場所に関わらず日本人ではなくなるわけです。
で、実際、条約で「韓国併合」「朝鮮統治」という権原は放棄しなくてはならなくなり、実際に条約が発効したので放棄されました。もはや日本が「韓国併合により朝鮮統治の権利を保有しているから」とは言えなくなったのです。よって、日本人と言えなくなりました。
どこに「剥奪」なるものが起きているのでしょうか?剥奪、というからには、在日朝鮮人日本国籍を維持する正当性を明示してもらわないと困りますね。
むしろ、剥奪されたのは日本ですよ。日本が持っていた朝鮮に関する一切の権利・権原を剥奪されたんです。



▼R 2009/12/11 22:59
>そもそも「自由」裁量ではありませんね。その「裁量」自体が連合国の指導と承認に基づいたものです。GHQ最高司令官は天皇や政府の上位であり、彼や連合国の承認なしには裁量が行使出来ないのですから。

あなたは都合が悪くなると、微妙に論点をすりかえたり、恣意的な解釈を施すなどして議論をごまかそうとする癖がありますね。 サンフランシスコ平和条約国籍選択権に関する条項を設けることを、「要請するかしないかの判断」を私は言ったのですよ。 「特に国籍選択というような条項を設けることを(連合国側に)要請しない」との判断は、日本政府の自由裁量においてなされました。 で、結果的にサ条約には在日朝鮮人に対する国籍条項が設けられなかったので、日本政府の自由裁量が認められた形になりました。
さらに、すでに何度も述べたとおり、国籍の得喪は国内管轄事項であり、且つサ条約を含め何らの国籍条約も存在しなかったという事実から、在日朝鮮人に対する日本国籍得喪については日本政府の自由裁量に任されたわけです。 そのような状況の下、日本政府は、サ条約発効直前に一官吏の一片の通達によって、法律によらず、“恣意的に”在日朝鮮人日本国籍を剥奪したのです。



■G 2009/12/13 00:04
> 「要請するかしないかの判断」を私は言ったのですよ。

その「裁量」自体が連合国の指導と承認に基づいたものですから。GHQが適正でないと判断したら当然要請するよう指導される状態だったわけですが?
ということで、自由裁量にはあたりません。

> 国籍の得喪は国内管轄事項であり、

関連する国際条約の規定が優先する、と言ってるわけですが。

> 日本政府は、サ条約発効直前に一官吏の一片の通達によって、法律によらず、“恣意的に”在日朝鮮人日本国籍を剥奪したのです。

これはMさんに対する説明で書いたように、日本が持っていた朝鮮人に対する日本国籍主張の根拠が、条約によって喪失したから「言えなくなった」のですよ。通達は、言えなくなっちゃうので、その扱いを間違えないように、という確認をしてるに過ぎません。だいたい、通達の最初を見れば通達自体が国籍離脱が起きる事への「対応」の指示であることは明白なんですけどね。



▼R 2009/12/14 23:30
>>「要請するかしないかの判断」を私は言ったのですよ。
>その「裁量」自体が連合国の指導と承認に基づいたものですから。GHQが適正でないと判断したら当然要請するよう指導される状態だったわけですが? ということで、自由裁量にはあたりません。

悪あがきも程々にしてほしいものです。 まじめに応えるのが嫌になります。仮に「国籍条項を要請しないように」との連合国の指導があったなら、日本政府に「裁量」する余地などないということではありませんか。 その場合、もはや日本政府が「要請するかしないかの判断」が出来るはずもありません。 そもそも自由裁量というのは法的拘束の下で行われる判断なのであって、GHQの拘束があるから自由裁量がない、という理屈にはならないのです。
むしろ、サンフランシスコ平和条約発効前までの当時の状況をみると、日本政府当局者が最後まで国籍選択権の付与を検討していたことや、吉田茂首相がそれに関して(韓国政府の国籍についての主張やGHQの政策ではなく)日本の内政問題の観点で慎重論を述べていたことからも、在日朝鮮人に対する日本国籍選択権の付与はサ条約に抵触しない、完全に日本の自由裁量に任されていたことがうかがわれますね。(当然でしょ。 国籍の得喪は国内管轄事項なんですから。)

>> 国籍の得喪は国内管轄事項であり、

>関連する国際条約の規定が優先する、と言ってるわけですが。

「国籍の得喪は国内管轄事項であり、」のあとに、「且つサ条約を含め何らの国籍条約も存在しなかった」と私は続けたのですが、その部分をあなたは意図的に省いていますね? ちなみに、サ条約には領土条項があるだけで、在日朝鮮人についての国籍条項はありませんので。 あと、サ条約の領土条項に関する解釈はしてくれなくて結構です。 あなたの恣意的な解釈にはうんざりしていますから。

>>日本政府は、サ条約発効直前に一官吏の一片の通達によって、法律によらず、“恣意的に”在日朝鮮人日本国籍を剥奪したのです。

>これはMさんに対する説明で書いたように、日本が持っていた朝鮮人に対する日本国籍主張の根拠が、条約によって喪失したから「言えなくなった」のですよ。

サ条約には在日朝鮮人の国籍についての条項がなく、その条約の一義的な解釈として在日朝鮮人日本国籍喪失という結論を導くことはできません。 日本国憲法第10条は日本国籍得喪を法律によって行うことを求めており、また国籍法は本人の意思によらない国籍喪失を想定していません。 言うまでもなく官吏による通達には法的効力がないのであって、従って日本政府は、法律によらず、違法に在日朝鮮人日本国籍を剥奪したということです。



■G 2009/12/15 15:46
> 仮に「国籍条項を要請しないように」との連合国の指導があったなら、日本政府に「裁量」する余地などないということではありませんか。

その通りですよ。そもそも平時に結ばれた条約ではなく、戦争状態を終結させるための占領している側と占領されている側との間で結ぶ条約ですから対等な関係にありません、ってずいぶん前から言ってるんですが。基本的に戦勝国が敗戦国に対して自分たちの意向をそのまま押し付けてるだけですよ。

> GHQの拘束があるから自由裁量がない、という理屈にはならないのです。

意味不明ですね。裁量の行使に制約があるのに「自由」裁量ですか?その主張が成立するなら、戦前の日本は国民主権の民主国家であったと言えますね。繰り返しますが、主権が承認されるまでは連合国の承認の範囲で日本国政府の裁量が認められてるんです。


(無年金問題の話題のあと〜)

>日本は世界人権規約、難民条約等の国際条約批准国ですから、社会保障については内外人平等です。また、日本国憲法は外国人に対しても基本的人権を保障することを求めています。

しかし面白いですね。難民条約のような場合には国際条約が前面に出てくるのに、国籍喪失の場合は国際条約を無視して国内法で対処していい、ですか。



▼R 2009/12/15 20:20
>しかし面白いですね。難民条約のような場合には国際条約が前面に出てくるのに、国籍喪失の場合は国際条約を無視して国内法で対処していい、ですか。

在日朝鮮人の国籍に関する国際条約が存在しないのですから、国内法で対処するのが当然じゃないですか。 国籍の得喪は国内管轄事項なんですから。 何度言ったら分かるの!? サンフランシスコ平和条約には在日朝鮮人に対する国籍について何の規定もありません。 サ条約の一義的な解釈として在日朝鮮人日本国籍喪失という結論を導くことはできない、と書いたでしょ。「国際条約を無視」って、あなた、私のコメント読んでないの?



■G 2009/12/16 01:10
> 在日朝鮮人の国籍に関する国際条約が存在しない

残念でした。日本が「すべての権原・権利・請求権」を放棄したので、自国民と規定する根拠(権原)も放棄してることになるわけです。判りやすい例えをすると「全財産を没収する」という規定があったとして、「そこには銀行預金をどうするとは書いてないから、銀行預金は没収されない」と主張出来るか?って話です。
国籍だけを抜き出して規定するのも結構な話ですが、そもそも日本が朝鮮人日本国籍とした根拠が併合条約に求められているわけです。併合がもはや無効、といわれたら、併合を根拠とした朝鮮人日本国籍には根拠がなくなるわけです。併合によらない日本国籍の正当性はどこにあるんですか?日本に長年住んでいるから?それなら他の外国人も一律日本国籍ですね?
あなたこそ、サンフランシスコ条約が朝鮮の日本の統治からの離脱のための包括的な規定であることを十分理解出来ていないようですね。



▼R 2009/12/16 23:00
>残念でした。日本が「すべての権原・権利・請求権」を放棄したので、自国民と規定する根拠(権原)も放棄してることになるわけです。

サンフランシスコ平和条約( http://www004.upp.so-net.ne.jp/teikoku-denmo/no_frame/history/kaisetsu/other/tpj.html )の第二章は領域(TERRITORY)に関してであり、その第二条(a)は、「日本国は、朝鮮の独立を承認して、斉州島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。」となっています。 その条項は、日本が放棄すべき「領土」についての取り決めをしているのであって、朝鮮人の国籍についての取り決めをしているわけではありません。 百歩譲って、仮に「朝鮮に対するすべての権利、権原」に朝鮮人の国籍が含まれると解釈しても、それが領土条項である以上、朝鮮に居住する朝鮮人が含まれても、朝鮮領域外に居住する在日朝鮮人の国籍が含まれると解釈することは困難です。 従って、条約の一義的な解釈として在日朝鮮人日本国籍喪失という結論を導くことはできないのです。

>併合がもはや無効、といわれたら、併合を根拠とした朝鮮人日本国籍には根拠がなくなるわけです。併合によらない日本国籍の正当性はどこにあるんですか?

韓国併合朝鮮人日本国籍を得ることになった原因にすぎません。 日本国籍の正当性は、在日朝鮮人の国籍に関する国際条約が存在しない以上、日本の法律によって担保されるのが当然じゃないですか。

>あなたこそ、サンフランシスコ条約が朝鮮の日本の統治からの離脱のための包括的な規定であることを十分理解出来ていないようですね。

あなたの恣意的な解釈が条約の規定を逸脱しているだけなんですがね。 むしろ、終戦後からサンフランシスコ平和条約発効前までの日本政府当局者たちの言動は、在日朝鮮人の国籍に対するあなたのこれまでの主張や条約解釈と明らかに矛盾しています。
すなわち、日本政府が最後まで国籍選択権の付与を検討していたことや、吉田茂首相がそれに関して(韓国政府の国籍についての主張やGHQの政策ではなく)日本の内政問題の観点で慎重論を述べていたことから、在日朝鮮人に対する日本国籍選択権の付与は、サ条約に抵触しない、完全に日本の自由裁量に任されていたことがうかがわれます。



■G 2009/12/17 03:21
> その条項は、日本が放棄すべき「領土」についての取り決めをしているのであって、朝鮮人の国籍についての取り決めをしているわけではありません。

なのに

> 領土条項である以上、朝鮮に居住する朝鮮人が含まれても、

と言うのはおかしいですね。あくまで領土条項であると主張するなら、あくまで朝鮮人は朝鮮という日本の支配から離脱した領土に居住する日本人である、という立場でないとおかしいはずです。Rさんは知らぬ間に帰属という概念を利用されているんですよ。領土に帰属する人はその領土の帰属する国の国籍を持つべき、という立場では関係諸国と同じですが、帰属を居住で定める、という立場なのでしょうね。
居住場所の変更がおいそれと認められない時代であれば問題ないでしょうが、居住場所が変更出来る時代になるといつから居住していれば帰属していると看做せるのか?という問題が発生します。それは明治時代にすでに実務的にも問題が顕著になっており、大正時代に入ってすぐ寄留法という法律で居所と本来の住所(本籍)という概念が成立しています。ということで、実際の居住場所で帰属を決めるというのは、当時ですら時代遅れの発想だったと言えるわけです。

> 日本国籍の正当性は、在日朝鮮人の国籍に関する国際条約が存在しない以上、日本の法律によって担保されるのが当然じゃないですか。

その朝鮮人日本国籍を規定するのは、併合条約で獲得した朝鮮の統治権に基づいて公布された朝鮮戸籍令の中の一条文です。併合条約にも「韓人」に関する扱いが規定されており、そこには併合によって「韓人」の帰属が内地になるという規定もありません。あくまで「韓人」であり、帰属は朝鮮なんです。余談ですが、明治43年勅令第318号は、併合後にも関わらず韓国の「国号」を朝鮮とするというものでした。日本の朝鮮の位置づけは、ちょうどソ連邦ウクライナ共和国やバルト三国のように、大日本帝国という連邦国の一構成国家であるかのように想定されていたのかもしれません。朝鮮総督府天皇直轄の機関であり、組織上内地の内閣と対等な関係にあったことからも推察出来ますね。
ともあれ、日本人は各地域に帰属し、その地域の法体系の適用を受ける、というのがその後の共通法でも定められているところです。内地にいる朝鮮人は、そのような特段の定めがない限り内地法の適用対象外ですから、朝鮮で施行される命令によらなければ日本人である事を確定出来ません。だから、そもそも在日朝鮮人を日本人と呼ぶためには、在日朝鮮人が朝鮮に帰属する必要があったわけです。
以上を踏まえれば、現在内地にいる在日朝鮮人日本国籍を認めるには、朝鮮で引き続き日本の出した命令が朝鮮に帰属する者に対して有効であるとする、あるいはRさん自身が引用されている西村条約局長の発言にあるように、別途国際条約による帰属を変更する規定を作成するしかありません。
平和条約2条a項の発効により日本の朝鮮統治が終了していますので、朝鮮統治に基づいて出されたすべての命令が効力を失っていますし、在日朝鮮人の帰属を朝鮮から日本に変更するという国際条約も存在しません。よって国内法では、併合以来朝鮮に帰属したことを根拠に日本国籍となっていた朝鮮人に対し、あらためて日本国籍を確認する手段がありません、というのが結論です。
Rさんにとっては、日本が終戦近くになって検討を始めていた内鮮一体の制度が実現されていれば、というところでしょうね。樺太は一足先に内地化しました(共通法1条)から、樺太という内地の一部の地域が統治から離脱しても、内地に帰属する樺太の住民は日本国籍を維持出来たわけです。
終戦後は在日朝鮮人を解放国民と規定したGHQの方針が絶対です。GHQGHQから委任された者の職権による判断は、日本の国家機関および国民に対し最終的権威を持っていたんです(降伏文書の第5項および連合国最高司令官指令2号4項)。日本の憲法以下のすべての法令を含め、日本そのものがあくまでGHQが認めた範囲の裁量で施行・行動しているに過ぎません。このように国籍離脱は最終的権威に基づく決定ですので、実際そのような内鮮一体の法令自体が成立していないわけです

> 終戦後からサンフランシスコ平和条約発効前までの日本政府当局者たちの言動は、在日朝鮮人の国籍に対するあなたのこれまでの主張や条約解釈と明らかに矛盾しています。

矛盾しているように見えるのは、GHQの指示指導の元で一貫して進められている国籍離脱と、離脱確定時の国籍選択の可能性の検討を混同して考えているからでしょう。あくまで離脱時の手続きに国籍選択を含める可能性を検討してるだけで、国籍が喪失する事は既定路線です。占領直後にすでに「解放国民」と規定されていますからね、在日朝鮮人は。
もちろん内部で検討するのは自由ですし、朝鮮人による犯罪の問題が深刻であったという主権回復前後の国会審議の記録もありますから、朝鮮人を日本人にしたくない、という意図を持つ人も多かったでしょう。が、それを実際に条約で要求するには連合国側の指導と承認が必要なことには変わりありません。対等な関係で条約を結んでいるわけではないんで。



■G 2009/12/20 04:38
昭和26年12月23日の朝日新聞に「講和発効時に日本国籍喪失 在留朝鮮人」という記事が載ったそうです。そこでは同年同月22日の日韓間の協議で「終戦前から日本に引続き在留する朝鮮人は対日講和条約発効と同時に日本国籍を失う」という点で一致した事が書かれています。その他、朝鮮への引き上げ時の送金や携行品、永住許可、強制退去、朝鮮人国籍喪失に伴う国籍制限のある既得権の扱いなどの合意事項があったそうです。
私はその新聞記事そのものを見たわけではないのでこれの真偽を確認出来ませんが、この話が事実であれば、条約発効に伴う在日朝鮮人国籍喪失は条約発効前に日韓双方の事前了解済みとなるため、通達で日本政府により一方的に剥奪されたという主張は事実に反する根拠のない主張と結論づけられそうですね。
また、もう少し調べてみた所、昭和27年4月28日に「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律」というものが公布されており、この中で「日本国との平和條約の規定に基き同條約の最初の効力発生の日において日本の国籍を離脱する者」という記述がありますので、法律上にも条約発効で国籍離脱することは一応明示されていることになりますね。
通達一つで剥奪された、という主張は、これらの事実関係を踏まえたものなのでしょうか?



▼R 2009/12/20 21:52
>>日本は朝鮮に対するすべての権利を放棄したのだから、朝鮮に居住する朝鮮人に対する支配権を失ったことに疑問の余地がありません。
>疑問が大有りです。Rさんの主張では、朝鮮に居住する内地人の扱いはどうなるんですか?台湾人は?その他の外国人は?

「朝鮮に居住する朝鮮人」と書いているじゃありませんか。 「内地人の扱い」って、日本政府が日本人に対する対人主権まで放棄したわけではないでしょ? 日本と朝鮮との間の話に、台湾人やその他外国人がいったい何の関係があるのですか??

>だいたい領土条項と主張されるんであれば、その条項は領土にのみ適用されるはずで、単純にそこに居住している人間には適用出来ませんよ。

「朝鮮の独立を承認して、斉州島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」ということは、朝鮮領域に対する領土主権を放棄することです。 領土主権には、領土だけでなく、領土内の人と物も含まれます。 従って、日本が「朝鮮に居住する朝鮮人に対する支配権を失ったことに疑問の余地が」ないのです。

>どこの領土に居住するかで国籍が決まるなら、・・・。(途中、省略。) これを正当だというのは、植民地の解放独立という当時の国際社会の建前から考えてもかなり無理があるでしょうね。

そんなことを私はどこにも書いてませんよ。 あなたが勝手に錯覚して延々と独り善がりな解釈をしているだけじゃないですか。 サンフランシスコ平和条約の第二条(a)には日本が放棄する朝鮮領に関することしか規定されていない、ただそれだけです。

>>「在日朝鮮人国籍選択権を付与することは条約に明確に違反する」とあなたは主張されています。
>現行条約が有効である限り国籍選択制度を導入できる根拠がありません、

根拠がない、条約に明確に違反する、ということは、検討する余地がないということですよ。 吉田茂首相は国際条約に無知なよっぽど間抜けな政治家だったのですね!?

>というか、後で述べるように解放国民と宣言し、その地位を確定させようとしてきた連合国としては日本国籍を維持することは認められないでしょう?だからいずれにせよ、一旦は朝鮮人日本国籍を喪失するんです。

その連合国の最終結論が、国籍についての条項が無いサンフランシスコ平和条約ですよ。 条約の一義的な解釈として在日朝鮮人日本国籍喪失という結論を導くことはできません。

>これを在日朝鮮人に当てはめると、日本が在日朝鮮人日本国籍を認めた事に対し、朝鮮半島の合法政府が対人主権の侵害であるとし国際問題化した、ってことです。ますます日本国籍を認めるにあたっての国際法上の根拠というのが重要になるわけです。

当時日本が韓国や北朝鮮と国籍に関する条約を結んでいない以上、日本国籍得喪という日本の内政問題が、いずれの政府の主張にも拘束される必要がありません。 また、両国が自国民の国籍をどのように規定しようとも、朝鮮領域外に居住する在日朝鮮人には効力が及びません。

>で、西村条約局長は、その国籍選択制度を実現可能にする条項の要不要を検討した結果、それがなくても帰化制度が実質的な選択制度として機能するので、特段の措置は不要との結論に達したと言っているだけです。

だから、要不要が検討できるということは、「在日朝鮮人国籍選択権を付与することは条約に明確に違反する」とのあなたの主張が誤りだということです。 平和条約に国籍選択権に関する条項がないのは、それが条約に違反するからではなく、帰化制度で対応するとの判断を日本政府が下したからですよ。 つまり、在日朝鮮人日本国籍得喪が日本政府の自由裁量に任された、ということにほかならないのです。 結局、日本政府は、法律によらず、違法に在日朝鮮人日本国籍を剥奪したわけです。

>日本の立場は離脱後も帰化による日本国籍取得が出来れば選択制度と同じ結果になるから問題ない

というのは建前であって、本音はあくまで在日朝鮮人国籍選択権を与えたくないということですね。 なぜなら、帰化制度と国籍選択制度は全く異なる制度であり、「帰化制度が実質的な選択制度として機能する」ことなどないからです。 つまり、帰化制度では日本にとって都合の良い在日朝鮮人を選別できるのに対して、国籍選択制度では日本の選り好みが許されず、希望者全員に日本国籍を付与する必要があるからです。

>昭和26年12月23日の朝日新聞に「講和発効時に日本国籍喪失 在留朝鮮人」という記事が載ったそうです。そこでは同年同月22日の日韓間の協議で「終戦前から日本に引続き在留する朝鮮人は対日講和条約発効と同時に日本国籍を失う」という点で一致した事が書かれています。その他、朝鮮への引き上げ時の送金や携行品、永住許可、強制退去、朝鮮人国籍喪失に伴う国籍制限のある既得権の扱いなどの合意事項があったそうです。
そのときに二国間で正式に合意文書が取り交わされたのでしょうか? 1951年10月から始まった日韓交渉は、なかなか意見の一致を見ず、何度も決裂を繰り返しながら14年もの年月を経てようやく1965年に日韓条約が締結された、というのが私の認識なんですが。

>私はその新聞記事そのものを見たわけではないのでこれの真偽を確認出来ませんが、

どうもガセネタの臭いがしますね。 現実にそのような報道がなされていたとしても、戦時中はどの新聞も政府当局の御用新聞に成り下がっていましたからね。

>この話が事実であれば、条約発効に伴う在日朝鮮人国籍喪失は条約発効前に日韓双方の事前了解済みとなるため、通達で日本政府により一方的に剥奪されたという主張は事実に反する根拠のない主張と結論づけられそうですね。

残念ながら「この話が事実」だと仮定しても、在日朝鮮人が本人の意思を問われることなく通達で日本政府により一方的に日本国籍を剥奪された、という事実は変わりませんよ。

>また、もう少し調べてみた所、昭和27年4月28日に「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律」というものが公布されており、この中で「日本国との平和條約の規定に基き同條約の最初の効力発生の日において日本の国籍を離脱する者」という記述がありますので、法律上にも条約発効で国籍離脱することは一応明示されていることになりますね。

まさかこの法律が在日朝鮮人日本国籍を喪失させたと仰るのではないでしょうね? 条文を見ると、該当する部分が(出入国管理令の一部改正に伴う経過規定)となっているのですが。 「一応明示されている」って、だから何なんですか?



■G 2009/12/21 07:04
自分でおっしゃっている事を良く理解されていないのではありませんか?

> 「内地人の扱い」って、日本政府が日本人に対する対人主権まで放棄したわけではないでしょ?…(A)

と、おっしゃる一方、

> 領土主権には、領土だけでなく、領土内の人と物も含まれます。…(B)

と、全く持って矛盾する事をおっしゃっているのですが。

(A)なら、条約上日本人(=内地人+朝鮮人+台湾人)への対人主権は放棄していないことになるので、朝鮮半島朝鮮人日本国籍を喪失出来ません。しかし、(B)の領土内の人に対する対人主権が喪失するとの主張ですから、領土内に存在する内地人や台湾人への対人主権は当然放棄ですよね?領土内の人や物と言う以上、朝鮮内に居住する他の外国人の国籍も喪失しないとおかしいですね?
さらに、海外在住の朝鮮人についても

> サンフランシスコ平和条約の第二条(a)には日本が放棄する朝鮮領に関することしか規定されていない、ただそれだけです。…(C)

とすると、朝鮮半島外の第三国に居住していた朝鮮人は、併合で日本人になったにもかかわらず、併合の効力が喪失した条約発効後も日本国籍を離脱出来ないことになります。領土「外」の人ですから。

しかし、Rさんのおっしゃるような矛盾は「帰属」という概念を用いればすっきりと解消出来ます。内地人は内地に帰属する、朝鮮人は朝鮮に帰属する、また、帰属する領土の分割や併合に伴って国籍も変わるという考えです。これであれば、朝鮮半島という領土の分割に伴っても朝鮮半島に住む内地人は日本国籍を維持する一方、半島に住む朝鮮人日本国籍を喪失するということが矛盾なく行えるのです。また朝鮮に帰属する者であればどこに住んでいようが併合前の状態に戻ることができ、在日朝鮮人も朝鮮に帰属する以上、帰属している領土が日本ではなくなるので国籍離脱する、という理屈なわけです。
私はそれを対人主権という言葉で細かく説明したに過ぎません。領土の併合を根拠に朝鮮統治の一環として朝鮮に帰属する者への対人主権が発生しており、これに基づいて日本は朝鮮人を日本人だと主張し、朝鮮人に内地での居住を許可しても居るわけです。しかし、併合の解消とともに併合を権原とするその対人主権が効力を喪失するのは当たり前で(根拠がなくなったから)、そもそもの朝鮮人を日本人と主張する根拠自体が喪失した以上、内地にいたとしても朝鮮人を日本人と呼べなくなるわけです。

> 要不要が検討できるということは、「在日朝鮮人国籍選択権を付与することは条約に明確に違反する」とのあなたの主張が誤りだということです。

現行条約にはそのような規定はありませんので、国籍選択権を付与する事は現行条約に違反します。ですので、現行の平和条約以降にあらたに韓国との間で国籍選択権に関する条約を結ぶ必要がある、といっているのですが。
国籍選択制度については、実は日韓交渉の中でも取り上げられていたようですね。例えば、昭和27年2月の「国籍処遇問題に関する日韓非公式会談」の記録には、以下のような韓国側の説明が書かれています。
・韓国内で年長者中心の理想論的な血統主義派と若手中心の実利的な国籍選択権派で意見が分かれている

・大統領裁定で国籍選択権を認めないと決めた
・しかしながら在日保護が薄いという在日からの韓国政府への非難が少なくなるので国籍選択権を与える方がいいという意見もまだくすぶっていて困っている

というような内容です。やはり韓国側の事情として国籍選択権を認めていないわけです。
これは日本政府から機密指定解除で公開された文書の中の一つで、「日韓会談文書・全面公開を求める会」というサイトで公開文書が大量に掲載されています。その努力には全く頭が下がります。朝日新聞の記事に相当する会談の前後の記録もあり、そこには朝日新聞の記事と矛盾しない内容が掲載されています。ですので、朝日新聞の記事として紹介されている内容は事実でしょう。

> まさかこの法律が在日朝鮮人日本国籍を喪失させたと仰るのではないでしょうね? 条文を見ると、該当する部分が(出入国管理令の一部改正に伴う経過規定)となっているのですが。 「一応明示されている」って、だから何なんですか?

実際に条文を読まれたのなら話は早いです。通達同様に法律でもそのような事態が起きる事を予定しているわけです。その法律で国籍離脱を規定しているのではありません。通達の「国籍離脱することとなるから」という前書きと同じで、法律内で条約によってそのような国籍離脱が起きる事を確認しているに過ぎません。条約の効力の解釈が法令上に明記されているというわけです。



▼R 2009/12/23 00:40
>>「内地人の扱い」って、日本政府が日本人に対する対人主権まで放棄したわけではないでしょ?…(A)
>>領土主権には、領土だけでなく、領土内の人と物も含まれます。…(B)

>と、全く持って矛盾する事をおっしゃっているのですが。

(A)と(B)は矛盾しません:

(A)で述べた「日本人」とは(=内地人)のことです。 「内地人の扱い」を訊かれたので内地人のことを答えたのです。 文脈を見れば「条約上日本人(=内地人+朝鮮人+台湾人)」なんてことを言っていないと判るはずなんですが、曲解されては困りますね。
(B)は「朝鮮に居住する朝鮮人」も含まれるということを言っているのです。(人には当然外国人も含まれます。) ここでいう朝鮮人とは朝鮮の国家の国籍規定に基づく国民を意味します。 サンフランシスコ平和条約によって日本が「朝鮮に居住する朝鮮人に対する支配権を失ったことに疑問の余地が」ありますか? 「挑戦内に居住する他の外国人の国籍も喪失しないとおかしいですね?」って、領土主権だけで国籍を喪失させられるんですか? 外国人が滞在国の政治的支配を受けるのは間違いないですが。

>> サンフランシスコ平和条約の第二条(a)には日本が放棄する朝鮮領に関することしか規定されていない、ただそれだけです。…(C)

>とすると、朝鮮半島外の第三国に居住していた朝鮮人は、併合で日本人になったにもかかわらず、併合の効力が喪失した条約発効後も日本国籍を離脱出来ないことになります。領土「外」の人ですから。

そんなことはありません。 日本国籍を放棄すれば済む話ですから。 日本国憲法第22条は日本人に「国籍を離脱する自由」を認めていますよ。 いずれにせよ、領土「外」の人に関しては在日朝鮮人を含め条約に何らの規定も無いということです。 理解されたでしょうか?

>「帰属」という概念を用いればすっきりと解消出来ます。内地人は内地に帰属する、朝鮮人は朝鮮に帰属する、また、帰属する領土の分割や併合に伴って国籍も変わるという考えです。(途中、省略。) しかし、併合の解消とともに併合を権原とするその対人主権が効力を喪失するのは当たり前で(根拠がなくなったから)、そもそもの朝鮮人を日本人と主張する根拠自体が喪失した以上、内地にいたとしても朝鮮人を日本人と呼べなくなるわけです。

所詮あなたの独自解釈に過ぎないのです。 サンフランシスコ平和条約の当該条文からはそのような解釈を一義的に導き出すことはできません。 条約はそこまで述べていないのです。 条約に在日朝鮮人の国籍に関する条項がない以上、当該条文だけでは在日朝鮮人日本国籍を喪失させることができないわけです。

>>要不要が検討できるということは、「在日朝鮮人国籍選択権を付与することは条約に明確に違反する」とのあなたの主張が誤りだということです。
>現行条約にはそのような規定はありませんので、国籍選択権を付与する事は現行条約に違反します。ですので、現行の平和条約以降にあらたに韓国との間で国籍選択権に関する条約を結ぶ必要がある、といっているのですが。

西村条約局長は、1951年11月5日、衆議院平和条約特別委員会で、「特に日本人としていたいとの希望を持っておられる諸君のために、特別の条件を平和条約に設けることの可否という問題になるわけです。その点を研究しました結果、今日の国籍法による帰化の方式によって、在留朝鮮人諸君の希望を満足できるとの結論に達しましたので、特に国籍選択というような条項を設けることを(連合国側に)要請しないことにしたわけです」と答弁しています。 すなわち、「特別の条件を平和条約に設けることの可否という問題」に対して、国籍選択条項を設けることを、「帰化制度で対応できるから要請しない」とはっきり言っています。 「条約に違反するから要請しない」などとは言っていないのです。
以上をみれば、日本政府が、条約に違反するからではなく、自らの考えで国籍選択条項を要請しないとの判断を下したことが分かります。 しかしながら、条約にそのような規定がなくても、依然として国籍選択権を付与することはできます。 なぜなら、条約には在日朝鮮人の国籍に関する規定がないからです。 もし条約に国籍に関する条項があれば日本政府はそれに従う義務がありますが、そのような条項が設けられなかったということは、在日朝鮮人の国籍の得喪については日本政府の自由裁量に任されたということです。
当時の吉田茂首相の「・・、選択して国籍を与えるわけではありませんけれども、・・・特に、朝鮮人日本国籍を与えるについても、・・・、この問題については慎重に考えたいと思います」との同平和条約特別委員会における答弁は、まさにそれを踏まえた発言です。 あなたが仰るように「国籍選択権が条約に違反」することが本当なら、もはや考える余地などありませんね。 「慎重に考えたい」と思っても無意味です。 いくらなんでも吉田茂がそこまで間抜けな首相ではなかったでしょう。



■G 2009/12/23 02:45
> (A)で述べた「日本人」とは(=内地人)のことです。 

内地に居住する朝鮮人は、内地に居住するのにどうして日本国籍を失うわけ?というのがRさんの主張だったはずでは?
この理屈をそのまま当てはめたら、朝鮮に居住する内地人は居住する朝鮮が日本ではなくなったのだから、当然国籍喪失しなくてはなりませんね?朝鮮に居る内地人には帰属を基準にする一方、内地に居る朝鮮人には居住地を基準にし、日本人(=内地人+朝鮮人+台湾人)という枠組みを維持出来るという主張をされているわけで、明らかに矛盾していますよね?
朝鮮半島にすむ朝鮮人と内地人は条約発効までどちらも日本人でした。なのに、なぜ条約発効と同時に朝鮮人だけが国籍を離脱し、内地人は日本国籍を維持出来るとおっしゃるのですか?条約には領土の規定しかないとおっしゃっていたはずですから、領土とそこに居住することだけで説明してもらえると期待します。是非回答よろしくお願いします。同じ朝鮮に居住しているのに内地人と朝鮮人で国籍で異なる扱いを認めるなら、内地に住んでいても内地人と朝鮮人で国籍で異なる扱いになる事は何らおかしくないですよね?

> 「特別の条件を平和条約に設けることの可否という問題」に対して、国籍選択条項を設けることを、「帰化制度で対応できるから要請しない」とはっきり言っています。「条約に違反するから要請しない」などとは言っていないのです。

当たり前ですよ。発効前の条約に違反するから同じ条約に条項を盛り込まない、なんて意味不明な事言うわけないじゃないですか。必要なら例外規定として盛り込めばいいのです。しかし、朝鮮と朝鮮人民の日本からの独立の回復、また大韓民国在日朝鮮人への対人主権宣言などの趣旨から、そのような規定を盛り込む事を必要としないというのが関係諸国の一致した見解となっており(これらも件の公開文書の中の占領軍担当官による仲裁の記録などに書かれている事です)、その流れを受けての条約局長の発言ですから。
で、繰り返しておきますが、私が言ってるのは、条約に特段の規定がないまま国籍選択制度を国内法で制定する事が条約に反する、ってことですよ?だから今の条約によらないで別途国籍選択制度に関する条約を結んだ上であれば何ら問題ない、って何度も言ってるんですけど?



■G 2009/12/23 15:22
> 「内地人の扱い」って、日本政府が日本人に対する対人主権まで放棄したわけではないでしょ?

と、日本政府の対人主権が日本の領土を超えて朝鮮の領土内にも及ぶのだ、と主張していたはずなのに、

> ここでいう朝鮮人とは朝鮮の国家の国籍規定に基づく国民を意味します。

と、朝鮮の国家の対人主権は朝鮮という領土の内部にしか及ばない、というのは明らかに矛盾しますね?
従来、日本は朝鮮人(世界中のどこに居るかを問わない)への対人主権の根拠として韓国併合を使ってきました。「併合してるから朝鮮人も日本人扱いだ!」と言って来たわけですよ。しかし、条約で併合状態を終了したわけですから、条約発効後日本が朝鮮人(世界中のどこに居るかを問わない)に対して対人主権を行使する事は国際法上根拠のない不当なものとなります。「『併合してるから』って言ってきたんだから、当然併合終わったら朝鮮人は日本人扱い出来ないよね?」って話になるのは当たり前の事ですよね?実際、日本は併合状態の解消を規定する条約を根拠に、発効以降対人主権はおよばないとしている(国籍離脱を確認している)わけです。
大韓民国は「在日韓国人の法的地位に関する見解」(ここのページの一番最初に書かれていますね)の中で

 1948年大韓民国政府の樹立と同時に当然の事ながら在日大韓国民は母国の国籍を創設的ではなく、宣言的に回復し、国連からの承認も国際公法上確認され、日本国籍は解放と同時に完全に離脱されたのである

と在日に対する一律の対人主権の宣言をしています。これが「朝鮮の国家の国籍規定」ではありませんか?この宣言を根拠に韓国によって定められた在日に対する国民登録手続きがあるわけで、あとは在日自身によってそれが行われるかどうかだけの話ですね?ここまでくれば、単に親の不作為で出生届の出ていない子供の国籍の問題と同じですね。



▼R 2009/12/25 00:51
>朝鮮半島にすむ朝鮮人と内地人は条約発効までどちらも日本人でした。なのに、なぜ条約発効と同時に朝鮮人だけが国籍を離脱し、内地人は日本国籍を維持出来るとおっしゃるのですか?

朝鮮の国家の国民の規定が朝鮮人にしか適用されないからです。

>内地に住んでいても内地人と朝鮮人で国籍で異なる扱いになる事は何らおかしくないですよね?

おかしいです。 朝鮮の国家が自国民をどのように規定しようとも、その効力は国外には及ばないので、内地に住む朝鮮人日本国籍は内地人の日本国籍同様に維持されたままです。

>しかし、条約で併合状態を終了したわけですから、条約発効後日本が朝鮮人(世界中のどこに居るかを問わない)に対して対人主権を行使する事は国際法上根拠のない不当なものとなります。「『併合してるから』って言ってきたんだから、当然併合終わったら朝鮮人は日本人扱い出来ないよね?」って話になるのは当たり前の事ですよね?

一概に当たり前とは言えません。 条約で日本は朝鮮領域のすべての権利を放棄しましたが、日本領域の権利を放棄したわけではありませんから。

>しかし、朝鮮と朝鮮人民の日本からの独立の回復、また大韓民国在日朝鮮人への対人主権宣言などの趣旨から、そのような規定を盛り込む事を必要としないというのが関係諸国の一致した見解となっており(これらも件の公開文書の中の占領軍担当官による仲裁の記録などに書かれている事です)、その流れを受けての条約局長の発言ですから。

大韓民国の対人主権宣言も「関係諸国の一致した見解」も(そんなものが本当にあったとしても)、日本に対する法的拘束力はありませんね? 国際的に法的拘束力を持つのはサンフランシスコ平和条約だけですから。 仮にどのような流れがあったとしても、国籍選択制度を要請しないで帰化方式で対応すると決断した責任が日本政府にあるのは明らかです。 国籍選択制度が必要かどうかの判断責任を日本政府が負うべきなのは言うまでもないことです。 行き着くところは日本の国内政治の問題ですから。 先述の衆議院平和条約特別委員会における吉田茂首相の内政問題の観点に基づく発言が如実にそれを表していますね。 結局、条約に朝鮮人の国籍に関する規定が存在しないのですから、在日朝鮮人日本国籍を剥奪した責任が日本政府にあるということです。



■G 2009/12/25 05:43
> 朝鮮の国家の国民の規定が朝鮮人にしか適用されないからです。

ですよね?我々日本人が海外に在住していても日本の国籍法に基づいて日本国籍が確認されるように、内地に居ようがどこにいようが朝鮮人には朝鮮の国家の命令が適用されて当然です。ところがこの主張は

> 朝鮮の国家が自国民をどのように規定しようとも、その効力は国外には及ばないので、内地に住む朝鮮人日本国籍は内地人の日本国籍同様に維持されたままです。

という主張とは矛盾しますね?「その効力は国外には及ばない」以上、例えば朝鮮にいる内地人には日本が規定する自国民規定の効力が及ばないことになりますね?それのみならず、この原則に従えば、私たちが外国に行った場合、私たちの国籍は日本の国内法の規定に依らないということになってしまいます。かといって他国は外国人の国籍を規定する権利を持ちませんから、私たちは国内法の効力の及ばない外国では無国籍者になる、とでもいうのでしょうか?
Rさん自身は朝鮮人の事ばかり考えていてお気付きになっていませんが、「その効力は国外には及ばない」のですから、例えば当時日本軍が占領していた南方に居た日本人のように、第三国にいる内地人・朝鮮人・台湾人に対しても効力が及ばないはずですね?であれば、彼等は当然日本国籍を喪失するとおっしゃるのでしょうか?ちなみに日本は南方での権原・権利・請求権をすべて放棄しています(第2条(d)(f))。
いつも思うのですが、Rさんの主張では、そもそもの朝鮮人が「日本国籍」であるという根拠が示されていないんですよね。もしかして単に内地に居るだけで国籍が維持出来る、位にしか考えていないのではないですか?
朝鮮人が内地にいたとして、日本は一体何を根拠に朝鮮人を統治しているのですか?単に実態として支配していても、それが正当でなければ効力を持ちません。侵略や拉致が否定されるのと同じです。「もともとうちの領土・人民なのだ」という主張が侵略や拉致の正当性の根拠にされているわけですから、単に朝鮮人を「以前から日本人なのだ」と内地に住まわせているだけでは何ら正当性がありません。
国籍は対人主権の及ぶ範囲を示しているのですから、主権の行使が正当であるという根拠が必要です。で、内地の統治については、長期間平穏に統治を続けていることや周辺国との国境線の画定などの協定が根拠となっており、他国も内地人に対する日本の対人主権の主張に異議を唱えていません。一方、朝鮮の統治については「韓国併合」ということを正当性の根拠としており、それを諸外国が承認している事が根拠です。その「韓国併合」を根拠に朝鮮に帰属する者(国内外を問わない)に対して朝鮮戸籍令を施行し、その中の条文の「日本人の子は日本人」とする条項を根拠として朝鮮人を日本人扱いしています。
当時の国籍法は朝鮮では施行されず、また朝鮮人には適用されていません。これは満州で土地を所有し米作などを行っていた朝鮮人の土地所有の正当性が失われる事、中国国籍法との兼ね合いからの法的地位の問題があるためです。リットン調査団の報告書の中にも

 ---日本の国籍法は未だ嘗て朝鮮人がその日本国籍を喪失することを認めず。而して1924年の改正国籍法は『自己の志望によりて外国の国籍を取得したる者は日本の国籍を失う』との趣旨の条項を有すれども未だ右一般的法律を朝鮮に適用すべき旨の勅令の発布を見ず。---

と記されています。つまり、自発的意志により国籍の離脱をみとめる日本の国籍法が朝鮮で施行されていないことを根拠に、朝鮮人国籍喪失ができない、と主張していたというのです。
だから、朝鮮人は朝鮮の内外に関わらず日本の国籍法で定める日本人ではなく、別の規定によっているわけです。内地の国籍法を根拠に出来ない以上、朝鮮人日本国籍である根拠がどこにあるのかは非常に重要で、これが見つからなければ日本が朝鮮人を日本人扱いしていた事自体が不当とされてしまいます。で、その根拠が先に書いている朝鮮統治と朝鮮統治に基づく朝鮮戸籍令の規定だったわけです。
しかし、1945年9月9日の降伏文書調印で朝鮮総督府は解体し、アメリカ軍政庁による統治が開始されていますので、命令を発布した官庁が存在しません。根拠法であった朝鮮総督府官制(明治43年勅令第354号)も日本国との平和条約(昭和27年条約第5号)により昭和27年4月28日をもって失効しましたので、朝鮮総督府官制第4条に根拠を持つ朝鮮総督府令(朝鮮戸籍令など)は失効しています。
ということで、朝鮮戸籍令によっていた朝鮮人日本国籍の確認も出来ず、また朝鮮人への対人主権の根拠であった

「朝鮮は日本が併合している→朝鮮に帰属する朝鮮人へ対人主権が及ぶ→朝鮮人は日本人と言える」

という理屈も、最初の部分の「朝鮮は日本が併合している」が言えなくなっているわけですから、当然不成立です。このように、朝鮮人日本国籍を認めるための理屈がすべて否定されちゃうわけです。
Rさんはきっとここで「朝鮮帰属ではなく日本帰属なのだ!」とおっしゃるのでしょうが、日本人という法的地位や身分関係を規定しているのは、領土の併合を規定する国際条約である韓国併合条約を根拠にした朝鮮で有効な朝鮮総督府令の一連の命令(朝鮮戸籍令や朝鮮民事令)である事から、朝鮮に帰属していることが本質であり、またそのことが明白なわけです。そこを見て見ぬ振りをするのはどうしてですか?いつこの仕組みが変わったというのですか?これは平和条約発効まで一貫して維持されていた仕組みですよ?
日本国民として扱うための法的根拠がすべて失われたわけですが、これは別に特殊な状態でもなんでもなく、一般の外国人が日本国内に居るときの状態そのものです。この状態であれば帰属国が宣言する対人主権が日本国内の外国人に及んで外国籍になるのです。日本国民として扱うための法的根拠がすべて失われた状態であれば、朝鮮の合法政府である韓国は対人主権の宣言が有効となります。しかし、日本は自国以外のどの国の主権が有効かを決める立場にありませんから、日本国籍ではないことを確認すれば、あとは大韓民国他の決定にゆだねるしかありません。



▼R 2009/12/26 00:53
私の主張を矛盾と感じるのは、あなたがあまりに自分の考えに凝り固まった議論をするからです。 頭の中に出来上がった固定観念に囚われているから、他人の主張が捻じ曲がって聞こえるのでしょうね。 突飛な解釈をしてしまうのも無理のないことかもしれません。

>内地に居ようがどこにいようが朝鮮人には朝鮮の国家の命令が適用されて当然です。

朝鮮の国家の国内法の効力が外国にまで及ばないのは自明です。 国内法ですから。 外国の住民である在日朝鮮人に朝鮮の国家の国内法は適用され得ません。つまり、在日朝鮮人が正式に朝鮮の国家の国民になろうとしないかぎり、日本国籍を維持するのです。法的に朝鮮人にならないかぎり、法的に日本人だということです。

>例えば朝鮮にいる内地人には日本が規定する自国民規定の効力が及ばないことになりますね?

日本の統治権は及ばないでしょう。しかし、内地人は日本国籍取得済みですので(既に法的に日本人なので)、日本は対人主権を持ちます。

>この原則に従えば、私たちが外国に行った場合、私たちの国籍は日本の国内法の規定に依らないということになってしまいます。かといって他国は外国人の国籍を規定する権利を持ちませんから、私たちは国内法の効力の及ばない外国では無国籍者になる、とでもいうのでしょうか?

ね? Gさんは時にとても突飛な解釈をされるでしょ? いくら私が法律のど素人だからって、こんな非常識な主張をするはずがありません。 これじゃあ、うかうか海外旅行もしてられませんね。 せっかく苦労して取った日本籍がパーになります。 まあ、私の説明が相当悪かったのでしょうが。 (でも、よくよくあなたの解釈を読んでみれば、在日朝鮮人が貶められた境遇にそっくりですね。 彼らが外国に行ったわけでもないのに、ある日突然、日本国籍を剥奪されて無国籍の外国人にされてしまった。 日本政府がかなり非常識なことをしたことが分かります。)

>Rさん自身は朝鮮人の事ばかり考えていて

子どもの頃は想像するのもイヤでしたね。

>いつも思うのですが、Rさんの主張では、そもそもの朝鮮人が「日本国籍」であるという根拠が示されていないんですよね。もしかして単に内地に居るだけで国籍が維持出来る、位にしか考えていないのではないですか?

まさか! そもそもの日本国籍の根拠が韓国併合だとは、あなたが厭というほど述べられているではありませんか。 もう、耳にたこが5,6個できてます。

>朝鮮人が内地にいたとして、日本は一体何を根拠に朝鮮人を統治しているのですか? (途中省略) しかし、日本は自国以外のどの国の主権が有効かを決める立場にありませんから、日本国籍ではないことを確認すれば、あとは大韓民国他の決定にゆだねるしかありません。

所詮あなたの独自解釈に過ぎないのです。 私が言ってるのは、「そんなこと条約に書かれていないでしょ?」ってことです。 日本の国内制度をクドクドと解説されたところで、国際条約の知ったことじゃありません。 あなたのご立派なお説も、私にとっては「馬の耳に念仏」なんですよ。 あなたは「日本国民として扱うための法的根拠がすべて失われた」と仰るけれど、サンフランシスコ平和条約で日本が放棄したのは朝鮮領域の権利だけであって、日本領域の権利をすべて放棄したわけではないのです。 従って、在日朝鮮人日本国籍の取り扱いをどうするかは、平和条約に朝鮮人の国籍についての規定がなく朝鮮のいずれの国家とも国籍に関する条約を結ばない以上、日本の国内管轄事項というのが国際法の原則です。 
日本国内に存在する日本国籍を左右できるのは日本の法律しかありません。 日本国憲法第10条は「日本国民たる要件は、法律でこれを定める」と規定しています。 既存の制度が時代遅れになって現状にそぐわなくなれば作り変えればよいのだし、想定外の状況に適切に対応するために新しい制度が必要というなら立法措置を講ずれば済む話です。 いずれにせよ、憲法は法律によらず解釈のみで日本国籍を喪失させるというような行為を禁止しています。 日本政府はそれを知りながら意図的かつ恣意的にやったのです。 日本は在日朝鮮人日本国籍を、本人の意思を確かめることもなく、違法に剥奪したのです。



■G 2009/12/26 03:38
> 朝鮮の国家の国内法の効力が外国にまで及ばないのは自明です。 

この主張は早速問題ありなんですが、判りますか?
「日本人の子は日本人」とする国籍法は国内法であり、Rさんの主張では日本国内でしか有効ではありません。ですので海外では日本の国籍法が有効ではありません。とすると、海外で生まれた日本人の子は日本国籍となる根拠がありませんね?せいぜい慣習上治外法権が認められているとされる在外公館内でしか有効ではありませんから、どんなにひいき目で見ても在外公館に出生届を出すまでは日本国籍ではない、ということになっちゃいますね。
しかも、生まれた国が出生地主義で国籍を決める国だったら、話はもっとややこしい方向に。日本人の子として生まれても、滞在国では日本の国籍法は有効ではないため日本国籍とは言えません。一方、現地で施行されている法律は有効ですから、そのまま現地の国籍が確定してしまいます。現地の国籍を持つものが日本の公館に出生届を出す理由がありませんね。現地では日本の国内法は有効じゃない、というRさんの主張に基づけば、そもそも出生届を出せる根拠すらありません。
ところが、現実には届が出ていなくても日本国籍を取得します。出生届の出ていない無戸籍児であっても日本人の子という要件を満たしている限り当たり前のように日本国籍を確認され、日本のパスポートをもらえるのと同じ理屈ですね。
このように国籍は要件を満たせば自動的に持つものであり、要件を満たさなくなれば手続きしていなくても勝手に失うものです。国籍はどの国の主権が及んでいるかを示すものですから、手続きで主権が及ぶかどうかが変わることもありますし、手続きがなくても国際法の規定で勝手に主権の及ぶ範囲が変わることもあるわけです。たとえば日本には領土の分離や併合に関する国内法はありませんが、国際法の規定で領土を増やしたり減らしたりしていますね?これと同じ事が人に対しても起きているだけですよ。

> 日本の統治権は及ばないでしょう。 しかし、内地人は日本国籍取得済みですので(既に法的に日本人なので)、日本は対人主権を持ちます。

あの、統治権ってのは「対地主権(領土高権)」「対人主権(対人高権)」「自主組織権」という三つの主権からなるものなんですが?なので、「日本の統治権は及ばないが対人主権を持つ」っていわれても、何を言っているのかそもそも意味不明なんです。
「対人主権」とは人に及ぶものであって、その人がどこに居るかに関係しない主権です。だから海外では日本の「対地主権」が制限され、自国民に対する「対人主権」が効力を持つのですよ。そして国籍法は対人主権を根拠に制定されているのです。これが海外で生まれた日本人の子に対しても国内法の国籍法で日本国籍を認められる根拠になります。

> ね? Gさんは時にとても突飛な解釈をされるでしょ? いくら私が法律のど素人だからって、こんな非常識な主張をするはずがありません。 これじゃあ、うかうか海外旅行もしてられませんね。 

申し訳ありませんが、あなたの主張をその通りに追いかけて行くとどうなるかの話をして、ほらこんなに奇妙な話になるでしょ?と言っているだけなんです。突飛だとか非常識だとか思われるなら、それくらいあなたの主張が突飛だったり非常識だってことなんですよ。

> サンフランシスコ平和条約で日本が放棄したのは朝鮮領域の権利だけであって、日本領域の権利をすべて放棄したわけではないのです。

繰り返しておきますが、すべての権原・権利・請求権を放棄してるんです。その権原・権利・請求権の中の一つに統治権があるわけですが。統治権には「対地主権(土地に対する主権)」「対人主権(朝鮮人に対する主権)」「自主組織権(朝鮮内での法令の決定施行)」の三つが包含されていて、朝鮮人はこの対人主権に基づいて支配されていたに過ぎません。内地だろうが満州だろうがシンガポールだろうがドイツだろうが、とにかくどこに居ても日本が行う朝鮮統治の対地主権の下にあったのです。となると、条約発効で統治権が消滅したら、日本が在日朝鮮人に対人主権を宣言出来る根拠がありませんね?朝鮮人に対する対人主権は放棄していない、と主張するのが無理なのは判りますね?対人主権は領域に関係ない主権ですから、対人主権を放棄していないとすると半島に居る朝鮮人日本国籍を離脱出来ません。
Rさんは

> まさか! そもそもの日本国籍の根拠が韓国併合だとは、あなたが厭というほど述べられているではありませんか。もう、耳にたこが5,6個できてます。

とおっしゃる通り、併合という朝鮮地域における権原で朝鮮人日本国籍を主張しているわけです。その権原が失効してしまうのですから、主張の正当性が無くなり、不当な主張とされてしまうのです。国籍は既得権でもなんでもありません。ちょうど

  今まで借用書(併合)を口実に債権(国籍)を主張して取り立てていた人が、
  借用証(併合)の無効が確認された後も
  「借用証は無効でも、俺の言う通りに金を持ってくる(内地にいて暮らしている)から」
  と言って債権(国籍)を持っていると主張出来る

という位奇妙な話です。
どの国の対人主権が及ぶかどうかを示しているものですから、併合を根拠に支配していた人たちは、併合が根拠に出来なくなれば当然支配から離脱することになる。日本が支配する正当性が無くなった人に、自国の国籍を認める事自体が不可能でしょう。それやっちゃうと侵略や拉致とおなじですよ。



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■Gさんと▼Rさんの議論は以下のエントリーに続きます。
「④在日朝鮮人の「参政権停止条項」の成立などについての議論」
http://d.hatena.ne.jp/furukotobumi/20100130/p1

②在日の無年金問題についての議論

【2011年6月21日改】


在日の無年金問題についての特別エントリーです。
Q&A式に変更整理せず、議論をほぼそのままの形で抽出して転載しました。

なおこの議論の過程において「在日高齢者が1982年から6年間の特例期間に加入して掛け金を払えば年金加入が認められることとなっており」という事実はないということが判明しました。



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●B 2009/12/10 14:55
日本の新聞には「剥奪論」はほとんど載っていませんよ。それだけ、関心の薄い話題なんですね。そこにもってきて、本当に剥奪なのかという日本のナショナリズムも含めた厳しい吟味がなされることが、予想されます。それには、よほど皆がなるほど剥奪だと思うような事実を示すかしなきゃいけない。それが、何ですか。Mさんは「小学生のころ日本国籍じゃないと分かって泣いた」というだけの一韓国系日本人の話だけ引いてきて、それの上に話を組み上げているわけですよ。いかに被害の深刻性が薄いか。泣かない在日だっていたんですよ。そんな話で迫害だ剥奪だなんだ言われたんじゃたまったものじゃありません。在日の人たちは外国人の権利とはいえ、生活上必要な経済的な権利や自由権を保障されてきたんです。




▼R 2009/12/10 18:22
>いかに被害の深刻性が薄いか。泣かない在日だっていたんですよ。

あなた自身が自らの責によらず社会保障制度から締め出されても、別に大した問題ではないとお考えでしょうか? 例えば、在日高齢者の無年金問題は、現在深刻な問題として日本各地で訴訟が起こされています。 それも一部の裕福な人なら自力で何とでもできるかもしれませんが、貧しい人々が社会福祉制度から除外されることは、彼らの生存権に関わってくる問題です。 長年の朝鮮人差別・就職差別によって比較的貧困層に属する人が多い在日にとって、そのような被害の深刻性が、増すことがあっても、決して「深刻性が薄い」などといえるものではないでしょう。




■G 2009/12/10 19:33
> 在日高齢者の無年金問題

1982年から6年間の特例期間に加入して掛け金を払えば年金加入が認められることとなっており、その通知はすべての対象者に対してなされています。また帰属国である韓国も1986年から年金制度を始めていて、10年以上掛け金を払えば韓国の年金を受給することができます。

ですので、現時点で無年金問題を抱えている人たちのほとんどが

・日本の年金の特例期間に加入を怠った
・韓国の年金に加入をしていなかった
・日韓いずれかの年金に加入していても掛け金を払っていなかった

に該当する人たちではありませんか?




◎K 2009/12/10 19:58
在日の無年金問題の裁判は敗訴してますよ。払ってない人たちに何故払わないといけないのですか?
しかも年金の国籍条項撤廃後に6年間に特例期間がありその間に加入し掛け金を全部払うと貰えました。日本人の場合は合計で25年以上払わないと受給資格がありません。
また日本だけでなく韓国でも年金制度があり最低10年払うと貰えます。実際在日の方でも年金を貰っている人はいますよ。
ですので払ってこない人たちを担ぎ出すのはきちんと払ってきた在日の方々に失礼なんじゃないかと思いますよ



▼R 2009/12/11 13:46
>1982年から6年間の特例期間に加入して掛け金を払えば年金加入が認められることとなっており、その通知はすべての対象者に対してなされています。

ソースをお願いします。



◎K 2009/12/11 19:26
http://nplll.com/mutter/archives/2007/02/post_359.php



▼R 2009/12/11 20:23
個人のブログではなく、公的なソースがありませんか?



▼R 2009/12/11 22:59

>在日高齢者の無年金問題

残念ながら「1982年から6年間の特例期間」などというものは存在しません。 桜井氏率いるレイシスト集団・在特会在日朝鮮人を貶めるために捏造した嘘です。 つまり、あなたはガセネタを基に主張されたわけです。 また、「韓国も1986年から年金制度を始め」たとのことですが、そもそも社会保障制度は居住要件が基本にあるので、日本の国民年金制度と同様、在外国民には加入資格がありませんでした。 つまり、当該在日高齢者は、「自分の意思によらず」無年金状態に陥っている人々だということです。


■G 2009/12/13 00:04
>在日高齢者の無年金問題

確かに6年間という話は正式な文書には見当たりませんね。ということで、6年間については一旦撤回します。

しかし同様の無年金問題は日本人でも発生していますし、定住外国人にも他の日本人同様昭和36年以降は加入合算期間とする事が認められていますよ。

http://www.city.yokohama.jp/me/kenkou/nenkin/7-0gaikoku.html
ttp://www.sia.go.jp/topics/2009/pdf/n0514.pdf

在日のみなさんの年金相談を受け付けてる人のサイトなどでは、いずれ帰国するから払わない、とか、どうせ大した金額がもらえないと言われたから払わなかったんだが…という方が多いので、そうならないよう年金掛け金を払うべき、という事をおっしゃっている方もいらっしゃいますね。

そもそも韓国が主権を主張する人たちの生活保障の問題ですから第一義には帰属国である韓国政府が責任を持つべき所ですし、韓国政府の年金政策の不備について日本政府が直接口を出す理由はありません。ましてや、日本に暮らしている外国人なのですから、日本政府に救済の義務もありませんね。たとえば、少数とはいえ日本国籍のまま韓国に残留日本人がいたわけですが、その人たちの年金を韓国政府が補償しないといけないのでしょうか?普通、帰属国である日本が責任を問われますよね?



▼R 2009/12/14 23:30
>>在日高齢者の無年金問題

>同様の無年金問題は日本人でも発生していますし、定住外国人にも他の日本人同様昭和36年以降は加入合算期間とする事が認められていますよ。

日本人の無年金者は加入資格があるのに掛け金を払わないで(自分の意思で)無年金になっている人々です。 問題となっている在日高齢者は、1986年の国民年金法改正時に満60歳を超える在日外国人で、合算対象期間(カラ期間)を足しても受給資格を満たすことができないために加入資格が得られず(自らの意思によらないで)国民年金制度から除外された人々です。

過去に日本人の中にも受給資格を満たすことができない人がいなかったわけではありません。 それは、1959年に国民年金が初めて施行されたときに高年齢に達していた日本人、沖縄・小笠原諸島返還時の各地域在住の日本人、帰国した中国残留日本人、拉致被害者です。 これら日本人に対して日本政府は、その都度、無拠出制の老齢福祉年金(日本人高齢者対象で、掛け金を払わないで受給できる年金)を設けたり、受給資格年限を短縮し、保険料が追納できる特例措置を採るなどして、無年金者を出さないように様々な救済措置を施してきました。 しかし、1982年に国民年金制度から国籍条項が撤廃されて外国人にも加入資格が認められたときには、在日高齢者・障害者に対して日本政府は何らの救済措置も採らなかったので、多数の在日高齢者が無年金状態に陥ってしまったのです。

>在日のみなさんの年金相談を受け付けてる人のサイトなどでは、いずれ帰国するから払わない、とか、・・・・・、そうならないよう年金掛け金を払うべき、という事をおっしゃっている方もいらっしゃいますね。

前述のとおり、加入資格を得ながら掛け金を払わないで無年金者になっている在日外国人の年金保障をいってるのではありません。 あなたがたネットウヨが低レベルなのは、その辺の見分けもできないで難癖つけようとするところです。 だから、捏造を疑うこともなく安易に信じてしまうのです。

>日本に暮らしている外国人なのですから、日本政府に救済の義務もありませんね。

日本は世界人権規約、難民条約等の国際条約批准国ですから、社会保障については内外人平等です。 また、日本国憲法は外国人に対しても基本的人権を保障することを求めています。

>たとえば、少数とはいえ日本国籍のまま韓国に残留日本人がいたわけですが、その人たちの年金を韓国政府が補償しないといけないのでしょうか?普通、帰属国である日本が責任を問われますよね?

補償ではなく、保障ですね。 日本の国民年金法第7条は、被保険者の資格要件として「日本国内に住所を有する」者として居住要件を設けています。 つまり、在外邦人の社会保障に対して国籍国である日本は責任を持たないということです。 実際、社会保障については滞在国の責任というのが国際慣例です。



■G 2009/12/15 15:46
年金の問題は海外在留日本人なども同様な制度の狭間に置かれていたわけですが、基本的に自国民として制度の不都合に対する「補償」が行われて当然です。

> 1982年に国民年金制度から国籍条項が撤廃されて外国人にも加入資格が認められたときには、在日高齢者・障害者に対して日本政府は何らの救済措置も採らなかったので、多数の在日高齢者が無年金状態に陥ってしまったのです。

当たり前の話です。難民条約等に批准したからこそ、その内容に基づいた国籍条項撤廃が行われたんですから。批准以降の扱いで差があるというのならこちらが聞きたいですね。批准以降ですから批准以前にさかのぼって救済せよ、なんてのは論外です。批准していない国で勝手に居住ベースの社会保障を期待する方が変です。

> 日本の国民年金法第7条は、被保険者の資格要件として「日本国内に住所を有する」者として居住要件を設けています。 

それは「強制加入」の要件ですよ。国民年金は海外邦人に対しても一号被保険者としての任意加入を認めています。日本国内に過去に住所を持った事があれば最後に住所を持った社会保険事務所が、一度も住所を持った事がない場合は千代田社会保険事務所が管轄です。

韓国政府がそのような制度を用意していないからといって、それを日本政府の責任というのは全く筋が通りませんね。

大前提の話ですが、在日韓国・朝鮮人の帰属は大韓民国なのですから(大韓民国の定める手続きをせずに朝鮮籍でいるのは本人の問題です)、もし日本の措置が不十分だというのなら、そこから先は大韓民国による救済を求めてください。

実際韓国は昭和40年の日韓法的地位協定によって在日韓国人に対する国民健康保険の加入や生活保護の適用を認めるよう要請し、日本側がそのような措置をとったわけです。このような要請自体が帰属国としての自国民庇護の一例ですね。国民年金加入が必要であれば同様の取り極めがなされれば良かっただけの事です。むしろ年金問題が大事だというなら、なぜ大韓民国はそのような要請をしなかったんでしょうね?それは大韓民国とそこに帰属する皆さんの間の問題ですから、日本に責任を求める事自体がとんだとばっちりです。





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(参考)
韓国の年金制度
・1960年に公務員年金が最初に導入された。
国民年金制度がスタートしたのは、1988年。
・支給開始は60歳。
・受給資格は、加入期間20年以上。
 老齢年金の満額受給者は2008年に初めて現れる。
・平均受給額は、日本円で29,300円。



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【兵庫】 外国籍の「無年金高齢者」への給付金を引き上げ 〜日本人の老齢年金と同等の支給額に [03/31] <兵庫県>外国籍高齢者給付金、老齢年金と同等に

 【兵庫】兵庫県は在日外国籍の無年金高齢者への福祉給付金1万5700円(月額)に1200円上乗せし、
1万6900円とした10年度予算案を18日、本会議で可決した。この結果、県内各市の実施額と合わせた支給額は3万3800円となり、初めて日本人に支給されている老齢福祉年金と同等の支給額となった。
 県が市と共同して外国籍無年金高齢者への福祉給付金を日本人の老齢福祉年金並みに引き上げるための
制度を新設したのは98年度だった。この間、各市が相次いで2分の1相当の水準を実現してきたのに対し、県だけは予算措置が遅れていた。市民団体と連携しながら県と市に完全実施を求めてきた民団兵庫本部(車得龍団長)は、この兵庫方式が全国に広がっていくことを期待している。

◆重度障害者はいまだに格差

 老齢福祉年金は61年の国民年金発足当時、すでに高齢で拠出年金を受けるための受給資格期間を満たせない日本人に支給されている。金額は年間40万 5800円。民団では長らく「せめて老齢福祉年金並みに」と訴えてきた経緯がある。
 一方、重度障害者では10年度から月額給付金を2400円引き上げて3万3800円としたが、各市が支給している障害基礎年金1級の2分の1相当額を加算しても、日本人の障害者福祉給付金8万2518円にはわずかに及ばない。
(2010.3.31 民団新聞)
http://www.mindan.org/shinbun/news_bk_view.php?page=1&subpage=3757&corner=2

①在日朝鮮人の国籍と権利をめぐる25のQ&A

【2011年6月21日改】
macskaさんのブログで10月中旬より白熱した有意義な議論が展開されました。
http://d.hatena.ne.jp/macska/20090508/p1#c1254076937
中でもgiroroさんの回答はコメント欄で他のコメントにうずもれさせておくのはもったいないくらいのものですので、文意を変えない程度において一部文章を整理変更し、Q&A式で、転載させていただきます。giroroさんとともに、Qとして一部引用したコメント欄の参加者にも感謝いたします。



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(前提)
日本は敗戦し1952年までGHQの占領下で国家としての独立を失っていた。一方、朝鮮半島では1948年に相次いで大韓民国朝鮮民主主義人民共和国が樹立、50年には朝鮮戦争が始まった。その前年の1949年10月7日、駐日大韓民国代表部はマッカーサー連合国司令官に「 在日韓国人の法的地位に関する見解 」を伝え、在日大韓民国国民の国籍は母国の韓国であり、日本国籍は完全に離脱したと宣言したのだ。日本国籍を離脱、つまり捨てさせたのは、日本側ではなく韓国政府であり、それに対抗する北朝鮮政府だったのだ。




【Q1】
韓国政府は、朝鮮籍の人全員を「韓国籍」として外国人登録しろと要求しましたが、日本はそれを拒否しています。どうしてですか?

●A1.
拒否して当然です。
日本の主権でできる範囲は「日本人であるか否か」を決める事までですから。日本人でない者がどこに属するかを勝手には決められませんから。日本は日本国籍を認められなくなった時点で、単に旧大韓帝国に帰属する者として扱ってるだけです。そこから先は本人なり朝鮮半島の正当な政府にしか決められないからです。
だから、韓国政府が韓国籍の者と確認し、必要な証明書(パスポート等)をもたせろという話になる。じゃないと、日本が韓国の主権を侵害して「韓国に帰属する」と認証したことになっちゃいますから。日本国籍を認めるか認めないかの決定を下すのは日本政府ですが、その前に日本国籍を認めるには「国際法に基づく根拠」が必要なのですよ。
国際法に基づく根拠」とは

・従来より自国の国民として明示・黙示の同意が示されている
・領土の分割併合
・長期間の平穏な統治(戦争による占領の後であってもOK)
・関連国の間での国籍に関する国際条約

といったたぐいのものです。これらを諸外国が認めた時点ではじめて国籍を認めることができます。残念ながら、サンフランシスコ条約が成立したおかげで、朝鮮に対するこれまでの日本統治はすべてなんらかの法的根拠として使う事は認められない(=権原の放棄)とされてしまいました。
なので、在日朝鮮人が日本人とする際に一般に言われる根拠である

・平和条約発効まで日本人だった事
・朝鮮が日本に統治されていた事
・内地で日本人として暮らせた事

などは、日本が朝鮮統治していた事に他ならないので、どれも日本国籍を認める理由にできないんです。



【Q2】
韓国政府が日本国籍を与える必要がないと言ったのだから、 国籍剥奪の責任は日本政府ではなく韓国政府にあるといって聞かない人がいるのはどうしてですか?

●A2.
だから、その人たちの言い分の方に理があるのですよ。
朝鮮半島唯一の合法政府たる韓国が在日の旧大韓帝国籍の人たちを自国に帰属しないと宣言した場合、日本が初めて一方的に日本国籍を宣言できる可能性が出てくるからです。旧大韓帝国を継承したのは韓国であり、彼らが「こいつらは朝鮮人じゃねぇ」と言わない限りは旧大韓帝国あるいはその継承国に帰属するからです。
日本国籍保持者として現実に日本国内で長い年月生活してきたことが日本国籍を認める正当性にできないことを条件にして、日本は主権を回復したんです。これを譲ることは条約に違反したとして連合国(国連ですね)に再占領される事になりかねません。
また、無国籍になる(?)理由は、当事者が大韓民国の定める手続きに従って手続きを行わないからに他なりません。日本には一方的に日本人あるいは韓国人と決定できる正当な理由がありませんから、本人あるいは韓国の責任で国籍を確定しなくてはなりません。
終戦後にやってきたGHQの総司令官は、在日朝鮮人を解放国民として扱えとの指令を受けています。ですので、日本政府が勝手に日本人扱いをすると、それこそ占領軍にはむかうことになるのですよ。



【Q3】
サンフランシスコ和平条約に署名することが国籍剥奪を要請するのであれば、日本政府は署名を拒否するべきだったのでは?

●A3.
連合国によって在日を含む朝鮮民族が日本に隷属を強いられているとされ、そのような日本の統治から解放されるべし、という決定が一方的になされてるんです。だって日本は「無条件降伏」したんですよ?
勘違いされているようですが、無条件降伏した日本はサンフランシスコ条約に定められた規定を一方的に受け入れるしかないんです。連合国に日本に不利な扱いをしないようお願いすることは出来ても、たとえ不本意な内容であっても一度連合国が決めてしまった事には逆らえません。それが「無条件降伏」です。日本が在日に国籍を認めるために必要な法的根拠をすべて無効とする、という規定も連合国が決めた事です。なので「在日は犠牲になっていいのか!」とお考えなら、そう決めた連合国に言っていただく必要がありますね。
日本に拒否権があるなんておっしゃってるあたり、戦後処理を平時の対等な国家間の外交問題と勘違いされているんじゃないですか?

いずれにせよ、サンフランシスコ平和条約で日本への併合自体が無効となり、また日本の統治が及ばないという事になった上に、もはや存在しない大韓帝国のもっていた統治権は、朝鮮半島の正統な政府である大韓民国が継承したことになっています。そしてその大韓民国在日朝鮮人を自国民であるとしています。
だから日本の統治から解放され、併合前の旧大韓帝国という現存しない国に帰属する状態(これが朝鮮籍です)に戻った在日は、大韓帝国統治権を継承した大韓民国の国民として認められるべき存在なんです。必要な庇護を受けられるよう大韓民国の定める手続きに従い大韓民国の国民となって生きるか、あるいはそれを受け入れず本人の意思に基づいて日本への帰化をするか、いずれかを選択する他ありません。

そのどこに日本が関与出来るというのでしょうか?日本が併合は継続している、とでも主張するのですか?それとも朝鮮の支配を継続しているとでもいうのですか?日本国内に取り込んでしまった朝鮮人には日本が権利を留保する、とでもいうのですか?
いずれもすべての権原を放棄するという連合国の決定に反してるので許されないんです。それを実力でやってしまうと、それこそ拉致とか侵略と言われるものと同じです。



【Q4】
原則論としては本人の意志を確認すべきであり、ただしどうしても確認ができないという場合においてのみ、「それまで長年生きられてきた現実を変更しない」、すなわちこれまで日本国籍を持っていた人は、本人の意志が確認できるまで、一時的に現状維持するべきだったのでは?

●A4.
限定的でも旧大韓帝国に帰属する朝鮮人を日本人扱いすることを認めると、朝鮮のすべての権原、権利、請求権を放棄するという条約の規定に反するのです。繰り返しておきますが、日本は「無条件降伏」したのですから抗弁出来ません。
マッカーサーも「天皇及び日本政府の国家統治の権限は、連合国最高司令官としての貴官に従属する。貴官は、貴官の使命を実行するため貴官が適当と認めるところに従って貴官の権限を行使する。われわれと日本との関係は、契約的基礎の上に立つているのではなく、無条件降伏を基礎とするものである。貴官の権限は最高であるから、貴官は、その範囲に関しては日本側からのいかなる異論をも受け付けない。」という命令を受けています。これからも日本が抗弁しても受け入れられないことは明白ですね。

また「無条件降伏」を受け入れない=日本殲滅、というのがポツダム宣言ですから。ポツダム宣言に「吾等ノ軍事力ノ最高度ノ使用ハ日本国軍隊ノ不可避且完全ナル壊滅ヲ意味スヘク又同様必然的ニ日本国本土ノ完全ナル破壊ヲ意味スヘシ」と書いてある通りです。ということで、おっしゃっているペナルティとは「日本国本土ノ完全ナル破壊」に他なりません。こんなペナルティ受けてしまっては日本自体が消滅しますね。

ということで、この扱いに倫理的な問題があるなら、朝鮮独立に関する扱いを規定した連合国に対して抗議すべきであって、日本が倫理を問われる筋合いはありません。裁判で有罪判決を受けて服役している人に「裁判は不正で非倫理的だから刑務所から直ちに退去するべきだ」と言うのと同じで、抗議の矛先が全然違う方に向いてますよ。



【Q5】
最低限、日本は届け出だけで帰化できる制度を提供すべきだったのでは?

●A5.
在日朝鮮人の権利を保護するのは一義的に旧大韓帝国を継承した正統政府の仕事です。日本はすべての権原を放棄したのだから、国際法を遵守し国際協調を誠実に履行する日本の立場としては、あくまでも権原放棄により朝鮮人を日本の統治から外し、朝鮮の正統政府の樹立とその政府の判断を待つべし、です。その正統政府は在日は自国民であると判断しているのですから、これ以上日本が何かを言うことは出来ません。朝鮮民族の国である韓国が自国民として庇護すると宣言しているのですから。それに抗弁する理由がありません。それとも韓国の在外韓国国民に対する庇護がなっていないとでも言ってケチを付けろとでも?立派な内政干渉であり、人権擁護の皮をかぶった他民族の自治への介入という帝国主義的発想です。

そういう観点からも、本人の申告だけで自動的に帰化を認めるようなやり方は、韓国の対人主権を実質的に無意味にする上に、他の日本で生まれ日本で暮らす在日外国人との間に差別を生み出すことになります。日本はやはり外国人として一定の基準で審査する必要があります。そもそも韓国の主権が及ぶはずの人たち(主権侵害になるので韓国が確認するまで日本が言えるのは旧大韓帝国国籍まで)であり、韓国は帰化手続きなしで在日を自国民と確認していますので、在日朝鮮人は自らの民族の作る国である韓国とすることで国籍を確定出来ます。この措置は植民地の独立の際に掲げられた民族自決という考えに沿った妥当なものですね。

朝鮮人が日本人であるといえる法的根拠は韓国併合という放棄したはずの権原を根拠にしている事実は曲げられません。内地で日本人として暮らせたのも、韓国併合によって日本国籍を獲得し、そうやって獲得した日本国籍を持つ者の子を朝鮮総督府が朝鮮戸籍令という朝鮮で施行された命令によって日本人とすると定めていたからなんですよ。それらが失われた以上、日本の統治が及ぶ前の旧大韓帝国国籍に戻らざるを得ず、その上で正統後継者たる韓国が自国民の権利保護に全力を尽くすべき問題ですから。

日本自身が日本の存立の拠り所とする国際法の遵守を捨てることは出来ませんから。日本の天皇や政府に優越するGHQ総司令官への指令書にも「解放国民として扱う」と規定されている以上、無条件降伏に基づく日本に強制された決定事項ですので。

一度たりとも国籍を喪失してしまえばその人たちはもう外国人です。内地人とて、たとえ日本国内に引き続き在住していても日本あるいは外国の法律によって国籍を喪失してしまえば、帰化によるしか回復の方法はありません。国籍法にそう書いてありますが?で、過去に国籍を持っていた経緯というのを考慮して帰化の条件を緩和しているのも在日と同じ扱いです。そういう意味では過去に日本人だったという事実を十分勘案した公正な法的扱いがされていると思いますね。先に書いたように、他の外国人との整合性の問題があると思いますが、法は法です。

連合国(国連の事ですね)、大韓民国他は、朝鮮民族を日本が統治する事を日本による朝鮮民族の隷属化と非難してたわけです(カイロ宣言にそう書いてありますね)。日本の支配から民族を解放することが求められているのに、日本国内に居る日本国籍扱いの朝鮮民族を解放せずに済ませられる方が変ですね。

内地の朝鮮人を日本人扱いするってのは、例えてみれば、植民地の住民を奴隷扱いしていた国が植民地の解放と独立を認めたのに、自分の国の中に住んでいる植民地の住民についてはこれまで通り奴隷扱いを継続する事とした、ということと同じなんですよ。連合国は実際に朝鮮人がどう扱われたかなんて問うていません。彼らは朝鮮民族が日本人扱いされている事を隷属状態と看做していて、そういう判断を受け入れるという無条件降伏の文書に調印させられたのが日本です。

そういう価値観に基づき、実際にGHQは内地での「解放国民」扱いという指令を受けているのですから、朝鮮人が日本から離脱せずにすむ措置という選択肢はありません。それじゃ本人の希望という口実で隷属状態を認めちゃうことになるからです。だから、国籍選択でなく国籍喪失後の帰化でなくてはならないわけです。一旦国籍を離脱して日本への隷属から解放されたという状態を確定させ、その上で本人が自発的に日本人となる事を求める、というやり方は、連合国や大韓民国の見解を受け入れた日本に取っては、彼らの見解との整合性を取るためにも極めて重要なことなんです。



【Q6】
誰に日本国籍を与えるかというのは、日本政府が自らの主権で決めることですから、日本政府さえその気になれば、なんの正当性も根拠も必要としないのでは?
が、どうしても具体的な理由を述べよと言うのであれば、特別永住者の存在が二世三世四世と続いてきているという、おそらく当時の日本政府が想定していなかった長期化が理由になると思います。当時はおそらく、特別永住者とされた人たちは、いずれ日本国籍を取得するなり、朝鮮半島に帰還するなりして、何世代も後まで延々と残るとは想定していなかったのではないかと思いますから。

●A6.
国籍の国内専管事項というのは、あくまで条約に反しない限りにおいてという条件付きだと言ったかと思いますが?

想定していなかったという根拠はありますか?逆に大韓民国の要請もあり、日本国内で在日外国人として永住することを想定し続けていた事は、1960年代の日韓法的地位協定やその後の1980年代の日韓政府間の交渉の結果による特別永住者という許可制度でも明らかでしょうね。もし日本国籍を、という話であれば、これらの過程で取り上げられていたはずですが。



【Q7】
現状では大韓民国の主権が及ぶとされ、その韓国の要請に基づく形で韓国の対人主権を維持したままの定住の便宜を図ってきたわけですが、しかしその「現状」は日本政府のアクション次第で変えられるのではないでしょうか。
いきなり日本が国籍選択権付与を断行したら日韓の過去の取り決めを踏みにじるという反発も予想されますが、外交問題である前に人権問題であるという点に重点を置いて根回しておけば、韓国が特段に問題視するとは思えません。
若干の危惧があるとすれば、民団ですね。韓国政府は在日個々の声には鈍感でも、民団の要求には聞く耳を持つと思いますから。たとえば「地方参政権」だったら後押ししてくれる。
わざわざこんなことを書くのは、届け出だけで日本国籍を取得できる法案が自公政権時代にできていたにもかかわらず、多くの反対で国会提出に至らなかった理由の一つとして、こんな話を聞くからです。つまり、民団や総連が反対したために、いろいろとしがらみのある当時の議員たちが与党・野党を問わず二の足を踏んだ、という「噂」です。この「噂」は私が在日の知人から聞いたものなので、本当かどうかは分かりませんが、ありえない話ではないと思います。

●A7.
> 人権問題であるという点に重点を置いて根回しておけば、韓国が特段に問題視するとは思えません。

そこが問題で、韓国政府の人権面での庇護の不備を指摘するのは、対人主権の侵害と主張されかねない危険性があるんです。だから、一番無難なのは在日が日本国籍と韓国国籍の選択制を求める事だと思うわけです。

ドイツとオーストリアの間の国籍選択についても、しばしばオーストリア人にドイツ国籍を選ぶ自由を与えるためという形で引用されがちですが、実際は全く逆の状況を反映してるんですね。
というのも、そもそものきっかけが西ドイツの裁判所によって、在独オーストリア人にドイツ国籍を確認されたことに対する在独オーストリア人の反発、ドイツによるオーストリアの外交的保護権の侵害って問題なんですね。日本で言えば、在日に日本国籍があると確認したところ、在日から激しい反発を招き、韓国との外交的保護権の問題に発展したってことですかね。であれば、民団や総連の反発は在独オーストリア人の反発に近いものといえるかもしれませんね。

そういう問題を避けるためにも、ぜひ在日には韓国政府への働きかけをしてもらいたいものですね。韓国政府首脳によって日本への帰化を奨励するかのような発言が繰り返されていることもありますから、当事者の在日が韓国政府に請願することで事態が好転する可能性は十分あり得ると思いますよ。



【Q8】
現代の問題として、日本生まれの永住者の子どもに対しては、特別永住/一般永住を問わず、届出による日本国籍取得制度を設置すべきです。それは、「旧植民地出身者の届出による日本国籍取得」とは別問題です。両者は矛盾しないのでは?

●A8.
現代の問題として出生地主義であるべしという理屈が説明されていないので、なぜそういう制度を作るべきなのかも理解出来ません。
日本には国際協調主義という国是がある以上、諸外国の主権を最大限に尊重するべきですね。日本在住の外国人に対する帰属国の対人主権を骨抜きにしかねませんから、帰属を安易に変えられるような制度を相手国の了承なしに作る方が良いという理屈は成り立ち難いでしょうね。



【Q9】
現代の問題として出生地主義であるべしという理屈は、日本で生まれ育った人間の日本における人権尊重の見地からです。
「人権とは、人が人として当然に持っている権利」のはずですから、本来、人権が国籍によって左右されるべきものではないのですが、実際問題として、居住地の国籍がないと人権が保障されないという悲しい現実があるからです。 在日外国人永住者の子どもで日本で出生した者は、日本人の子どもと同じように、日本で一生を過ごす可能性が高いからです。
日本国籍の付与は日本政府の権限で出来ることです。国籍の得喪については、各国の国内管轄事項というのが国際法の原則ですから。「届出による日本国籍の付与」が「帰属を安易に変えられるような制度」とのことですが、日本に在住するに至った経緯と条件、本人の意思表示が必要であることから、何らの問題もありません。

●A9.
その人権尊重に関する第一義の責任は大韓民国にあります。
実際大韓民国は自国民として庇護すると言っているのですから、それを尊重し、その大韓民国の庇護の方策に可能な範囲で協力するのが国際協調を国是とする日本の取るべき態度です。「定住しているから国籍を与えるべき」という論法は、逆に言えば「他の国に定住しているんだから、その国で面倒見てもらえば良く、うちの国で面倒見る必要はない」という国民の遺棄の理屈に少なからぬ正当性を与えてしまいますよ?

日本国籍の付与は日本政府の権限ではできません。あくまで他国から明示・黙示の了承が前提です。国籍とはどの国の主権が及ぶのかを示しているのです。日本の権限でできる、というのは、韓国の同意なしに韓国の領土を一方的に日本が領土と宣言し占領するのと同じですよ?

日本に在住するに至った経緯と条件、本人の意思表示が必要であることを条件と課して国籍を取得する手段は既に用意されていますよ?「簡易帰化」という手段です。
しかし、審査は必要です。なにしろ、朝鮮籍を持つ者に対しては

・日本は対人主権を主張するための根拠が平和条約発効で失効
・代わって大韓民国が対人主権を宣言している
大韓民国の宣言に対して他国は明示・黙示の同意を表明済み

という風に、勝手に日本が帰属を決める事が出来ない状態になっているからです。とすると、他の帰属の決まっている定住外国人と同じく審査をした上で許可する事にしなければ、他の定住外国人との間で法の下の平等が成立しなくなります。

>日本で日本国民として生きてきた(けれど本人の責任とは関係のない事情により国籍が消滅した)人と、日本で外国人として生きてきた人とのあいだで、扱いに違いがあってはおかしいですか?

はい、おかしいです。簡易帰化の規定すらおかしいと思います。特に条約発効後に生まれた在日は他の日本生まれの在日外国人となんら立場に違いがありません。いずれも本人の責によらない日本生まれの外国人ですから。



Q10
在日の人権尊重に関する第一義の責任は大韓民国にあるというのはまったくナンセンスな話ですね。
私は「日本における人権尊重」を論じてるのですよ。在日外国人の人権について、日本を統治するのは日本政府ですから日本国内に在住する外国人の処遇の責任が日本政府にあるのは自明のことです。「日本で生まれ育った人間の“日本における”人権尊重」は、日本の統治に大きく委ねられているのです。以下のURLは、日本のある憲法学者の「外国人の人権」対する見解が述べられています。あなたの外国人の人権に対するよりよき理解の一助にしていただければ幸いです。
http://www.geocities.co.jp/MusicHall/8093/kawaraban/article17.html
そもそも、ここで私が主張したのは、韓国・朝鮮籍永住外国人だけでなく、全ての定住外国人子弟に対する日本国籍取得制度に関することです。 在日外国人定住者への日本国籍付与は日本政府管轄なのであって、日本の国内法の問題に大韓民国の出る幕はありません。 

日本国籍の付与は日本政府の権限ではできませんとありますが、現に、毎年、朝鮮籍(=朝鮮民主主義人民共和国を表す国籍ではない)・韓国籍、その他諸々の外国籍の者に、日本のいわゆる「帰化制度」のもと、日本政府の権限で日本国籍を付与しているではありませんか。(笑) あのね、日本政府の権限で出来ないことは外国籍の得喪であって、日本国籍の付与は日本の主権にかかわる問題であり、まさに日本政府の権限において行うことなのです。

韓国の同意なしに韓国の領土を一方的に日本が領土と宣言し占領する例は、意思のない土地と意思を持った人間とを一緒くたにした、非常にトンチンカンな議論をしますね。(韓国籍を選択しない)朝鮮籍の者が韓国に同意をもらって日本国籍を取得するなどという不可思議な話を、私は一度も聞いたことがありません。 
さらに、韓国籍者にしてみても、「国籍自由の原則」が在外韓国人永住者には(兵役義務の拘束なく)認められているので、日本国籍の取得に韓国の同意など必要ありません。 韓国人が外国籍を取得すれば、韓国は二重国籍を認めていないので、韓国国籍法に基づいて韓国籍を喪失するのです。 
つまり、韓国籍の離脱に韓国の同意が必要なのではなく、韓国人の意思に韓国政府が従うわけです。ちなみに、日本人は日本国憲法第二十二条によって日本国籍離脱の自由が認められています。(余談ですが、朝鮮民主主義人民共和国も、全朝鮮半島出身者に対人主権を宣言していることを、あなたはご存じないようですね。その意味では、在日は潜在的重国籍者といえます。)

>他の帰属の決まっている定住外国人と同じく審査をした上で許可する事にしなければ、他の定住外国人との間で法の下の平等が成立しなくなります。

由来や生い立ちの異なる外国籍者に対して異なった日本国籍取得要件(いわゆる「帰化要件」)を適用することは、法の下の平等に反しません。 そのような制度の立法化は、日本国の主権において出来ることです。繰り返しますが、国籍の得喪に関する立法は、各国の国内管轄事項というのが国際法の原則です。

●A10.
日本が外国人の人権を保護するのは帰属国からの庇護の要請があるからです。要請がなければ日本人は外国人の人権を保護する理由も根拠もないことになります。無国籍者の扱いが国際法上の深刻な問題である事は論をまたないわけですが、その原因は誰も当該者の人権についての責任を持っていないことにつきます。

日本の「帰化制度」のもと、日本政府の権限で日本国籍を付与しているのは、あくまで「本人の意思」に基づいて「審査」を行い「許可」している点で、届出による国籍選択とは全く異なります。個人の意志に基づく申請を許可する形での国籍変更は世界中の多くの国で認められている事ですし、そもそも帰属国である大韓民国からの異議が唱えられた事はありませんね。このように明示・黙示の同意が成立している限りは問題ないのですが、朝鮮籍の人たちには大韓民国が自国の対人主権を宣言済みですので、大韓民国の明示・黙示の了解なしに日本人扱いすることは出来ません。
というか、そもそも在日朝鮮人に日本が主権を維持し続けることはできないのですよ。
国籍選択は日本の主権が途切れる事なく継続する事を前提にしているので、サンフランシスコ平和条約に明確に違反します(朝鮮人日本国籍は、日本が朝鮮半島を統治していたからというのが根拠なので)。帰化は国籍を喪失した(統治が終わったので日本国籍と出来ない事を認めた)上での本人意思に基づく個別の扱いですから。

> 意思のない土地と意思を持った人間とを一緒くたにした、非常にトンチンカンな議論

国家の主権の及ぶ範囲を本人の意思だけで自由に変更出来るわけではないからですよ。国籍離脱の自由を規定する条文が憲法に存在するのは、あくまで主権国家が本人の意思による離脱を承認しているに過ぎないからです。
あと、朝鮮民主主義人民共和国は、日韓基本条約上の規定により朝鮮半島の合法政府とは認めておりません。国交も結んでおりませんが?

> 国籍の得喪に関する立法は、各国の国内管轄事項というのが国際法の原則です。

大事な事を忘れてますよ?Wikipediaに書かれている一文ですが「もっとも無制限に妥当するものではなく、国籍の決定に関する条約を締結した国家は、国内立法に際して条約による制約を受けるのはもちろんである。」なので、日本の場合は平和条約による権原喪失と独立承認に縛られることになりますね。この朝鮮のすべての権原を喪失したという規定に基づき、在日朝鮮人というだけで一律に国籍を認める事はできません。というか、朝鮮人日本国籍は一度喪失するしかありません。

ですので、申請と審査によって許可を与える帰化の形を取るのは当然ですね。要件については過去の経緯を考えて、というのはあり得るでしょうね。実際帰属国の大韓民国からそういう要請があったわけですから。ここでも大韓民国による自国民の庇護、という事が、日本での朝鮮籍韓国籍の人たちの権利保護にいかに大事な意味を持つかの片鱗が見えると思いますけどね。



【Q11】
>日本が外国人の人権を保護するのは帰属国からの庇護の要請があるからです。要請がなければ日本人は外国人の人権を保護する理由も根拠もないことになります。

あまりに無知な発言に正直ビックリしています。 帰属国からの庇護の要請がないからといって日本政府が外国人の人権を保護しないというようなことは、国際法上も日本国憲法上も許されないことです。 百万歩譲って仮にそれを認めたにしても、それこそあなたの言い分は「外国人の人権が日本においてどのように扱われるかは日本の統治に委ねられる」ということの一つの証明になるだけのことです。 要するに、国籍国の庇護の要請があろうとなかろうと、外国人の「日本における人権尊重」は、まさに日本国が採る外国人施策に左右されるということです。 日本国の施策の責任が日本国にあることは自明です。

>あくまで「本人の意思」に基づいて「審査」を行い「許可」している点で、届出による国籍選択とは全く異なります。個人の意志に基づく申請を許可する形での国籍変更は世界中の多くの国で認められている事ですし、そもそも帰属国である大韓民国からの異議が唱えられた事はありませんね。このように明示・黙示の同意が成立している限りは問題ないのですが、朝鮮籍の人たちには大韓民国が自国の対人主権を宣言済みですので、大韓民国の明示・黙示の了解なしに日本人扱いすることは出来ません。

こんな意味不明の屁理屈を捏ねるあなたに、どう言えば説明がつくのでしょうね? 
永住外国人国籍選択権制度を施行することが即日本国籍を付与することではありませんよ。国籍選択権が施行されても、本人の意思表示がなければ日本国籍は付与されません。日本政府が一方的に日本国籍を押し付けることはできないのであって、当該外国籍者が日本国籍を選択しなければ外国籍のままです。 従って、日本国籍の取得が「本人の意志」表示を前提としているという点では、現在の帰化制度も国籍選択制度も変わりがありません。
しかも、前回述べたとおり大韓民国は海外定住韓国人に国籍離脱の自由を認めているので、日本国籍の付与に何ら障害が無いことは両制度とも同じです。帰化制度による「日本人扱い」が可能なら、国籍選択制度による「日本人扱い」も可能です。一方がよくて他方がダメと他国に日本の法律が干渉される筋合いなどどこにもないのです。

再度繰り返しますが、国籍の得喪に関する立法は、各国の国内管轄事項というのが国際法の原則です。 日本の国籍法を改正して特定の要件を満たす在日外国人に日本国籍選択権を付与する制度を作ることは、日本国の自由です。 日本は主権国家ですから日本国が日本国民たる要件を決めるのに、他国に了解を求める必要などあるはずがないのです。 それともあなたは、日本が主権国家であることを否定したいのですか?

>というか、そもそも在日朝鮮人に日本が主権を維持し続けることはできないのですよ?国籍選択は日本の主権が途切れる事なく継続する事を前提にしているので、サンフランシスコ平和条約に明確に違反します(朝鮮人日本国籍は、日本が朝鮮半島を統治していたからというのが根拠なので)。帰化は国籍を喪失した(統治が終わったので日本国籍と出来ない事を認めた)上での本人意思に基づく個別の扱いですから。

何をたわけた事を言ってるのですか? 戦後の日本政府による国籍剥奪によって、在日朝鮮人日本国籍はすでに途切れているではありませんか。届出による日本国籍取得制度とは、そのような日本国籍を喪失した在日朝鮮人永住者に対して、新たな制度の立法化・国籍法の改正によって「本人の自由意思に基づく」日本国籍取得の道を開こうとするものですよ。
さらに、そもそものここでの私の主張は、「現代の問題として、日本生まれの永住者の子どもに対しては、特別永住/一般永住を問わず、届出による日本国籍取得制度を設置すべき」というものですから、両制度ともが現代の立法の問題なのであり、従って戦後のサンフランシスコ平和条約と何ら関係がありません。

>>意思のない土地と意思を持った人間とを一緒くたにした、非常にトンチンカンな議論
>国家の主権の及ぶ範囲を本人の意思だけで自由に変更出来るわけではないからですよ。

民主主義国家においては本人の意思と国家の意思の合意によって個人が国籍を取得できるのであって、あなたが国籍に関する日本の主権を蔑ろにするのみならず、在日朝鮮人個人の国籍選択の自由をも無視して韓国政府の言い分のみに固執するから、トンチンカンな議論だと言ったのです。

●A11.
> 帰属国からの庇護の要請がないからといって日本政府が外国人の人権を保護しないというようなことは、国際法上も日本国憲法上も許されないことです。

国際法上とおっしゃいましたね?国際法上の「外交的保護権」という概念があるのは、まさに日本政府には最終的な外国人人権の庇護の責任も権利もないことの現れなんですが。他の国に属する人に対して勝手に庇護を与えることは「庇護」の内容が帰属国の主義主張と異なる場合、内政干渉や主権侵害になりかねないからです。外国に行くときに持つパスポートは、帰属国が所持者の帰属を証明すると同時に、他の主権国家や政治的実権に対して自国民への庇護を要請する公文書なんですよ。ということで、

>「外国人の人権が日本においてどのように扱われるかは日本の統治に委ねられる」ということの一つの証明になる

等ということにならないのは明らかですね。日本が手出しした結果について帰属国が異議を申し立て実力で保護する権利が留保されてるわけですから。国によっては軍隊投入して実力で外国に不当に扱われた自国民を保護・奪還だってするってわけですからね。

> 永住外国人国籍選択権制度を施行することが即日本国籍を付与することではありませんよ。 

ではお伺いしますが、選択肢に日本国籍が含まれる理由はどこにありますか?朝鮮統治を権原とする朝鮮人日本国籍は、すべての朝鮮の権原の放棄を定めた平和条約によって禁じられています。1910年の韓国併合の際の朝鮮人の国籍移動には明文規定はありません。日本が統治権を譲られた旧大韓帝国の臣民だからという理由で、日本国籍を取得したのです。ですから、朝鮮統治を放棄すると、朝鮮人日本国籍を主張する理由が無くなります。平和条約が発効してしまった後であり得る選択肢は朝鮮半島にある国なんですね。

っていうか、だいたい選択制度を日本が施行する根拠もありません。朝鮮統治が終わってしまったので、朝鮮統治を根拠に日本人だとしていた朝鮮人は日本の手を離れてしまいますから。日本にいるのは外国人となった朝鮮人で、朝鮮人には大韓民国が自国民であると主権を宣言済みです。他国の対人主権が既に及んでいる在日朝鮮人に対してどういう権原に基づいて選択制度を施行するのですか?だから帰化という本人の自発的意思に基づく申請と許可という形で、本人には直接関係のない国籍を取得するという形を取っているのです。

> 再度繰り返しますが、国籍の得喪に関する立法は、各国の国内管轄事項というのが国際法の原則

再度補足しておきますが「国際法に反しない限りにおいて」ですよね?で、朝鮮人の扱いには日本国との平和条約の朝鮮独立・権原放棄規定が国際法として厳然とした効力を持っている、というのを忘れてはいけません。

> 届出による日本国籍取得制度とは、そのような日本国籍を喪失した在日朝鮮人永住者に対して、新たな制度の立法化・国籍法の改正によって「本人の自由意思に基づく」日本国籍取得の道を開こうとするもの

どうも誤解されているようですが、朝鮮籍というのは「本来大韓民国国民として確認されるべき者のうち、大韓民国による国民の証明書を持参して外国人登録法上の記載事項の変更をしていない者」という位置づけです。ですので、平たく言えば「韓国人なのに、日本に定住する韓国人としての必要な手続きをサボっている者」です。

しかし届出は外形的要件を満たしていれば審査なしに自動的に効力を発揮してしまいます。つまり、潜在的に日本が対人主権を宣言できるという権原に基づかないと、韓国の主張する対人主権と真っ向からぶつかってしまいますよ?これは永住外国人として定住出来るよう特別な配慮をさだめた大韓民国との間との申し合わせ等にも反しますね?国際協調という観点から言えば、大韓民国国民としての地位を勝手に脅かす制度を新設する理由はありません。

> 民主主義国家においては本人の意思と国家の意思の合意によって個人が国籍を取得できる

日本国政府は国民の国籍離脱の権利を制限していますよ?日本国籍である事に合意しないからと言って、たとえば無国籍者となることは出来ません。

> 在日朝鮮人個人の国籍選択の自由をも無視して韓国政府の言い分のみに固執する

国籍選択の自由に関しては、帰属国である韓国の判断に基づくのは当たり前の話です。



(人権について)
国際法上、人というのは主権国家に属する事で初めて人として扱われるんですよ。人に対する不当な扱いはその人の帰属する国の主権に対する侵害行為である、という考え方で人権が守られてるんです。じゃないと強大な実力を持つ国と個人が直接実力で対決することになるからです。ですので、ある国に帰属する人にとって、帰属する国の見解というのは絶対的意味を持つんですよ。

国際条約があるじゃないか!といっても、国際条約自体が条約を結んだ国相互の実力を背景にした相互承認で成立してるのですよ。結局の所国際法に実効性があるのも、その人に帰属国の主権が及んでいるからなんですよね。

> 韓国政府は在日コリアン全員を即座に韓国籍として登録し、日本国籍取得を希望する人を通常の帰化希望者と同様に扱うよう要求しているけれど、日本政府はそのどちらにも従っていない。

韓国政府のこの主張に国際法上の問題がある事を理解出来ますか?韓国籍を確認するのは韓国政府の主権によらないと不可能です。だから韓国政府が確認した事実によらない限り、日本が韓国籍として登録出来ません。だから日本は「大韓民国に国民として確認されるべき者」という朝鮮籍という便宜上の呼称を用意したんです。

実は韓国政府の要請を受け、本人申告のみで朝鮮籍から韓国籍に書き換えしはじめたけど(昭和25年法務総裁談話)、上記のとおりの理由で問題となり、結局昭和26年の出入国管理庁長官通達で中止となったんですよ。この間の書き換えは韓国政府による国籍証明が伴わないことから、単に外国人登録の国籍欄に韓国・大韓民国と書いてあるだけでは韓国の国籍の証明にならない、という話になっています(1989年大阪地方裁判所など)。ちなみに他国籍の場合、国籍欄への国籍記入には国籍証明添付が条件なので、戸籍実務上は国籍証明書として外国人登録済証明書が有効とされているそうです。




【Q12】
申請によって日本国籍の「回復」ができるようにと私は考えていましたが、やっぱり「帰化」という形をとらないと法的な面をクリアするのが難しいようですね。

●A12.
そうなのです。日本は朝鮮の独立とすべての権原の放棄をしましたので、朝鮮人を日本人とし、そのまま内地に住まわせてよいと決める法的根拠をすべて失ってしまったんです。そのようにして日本の対人主権から外れた人たちに対して、大韓民国が対人主権を宣言しましたし、それに世界の国々は明示・黙示の同意を与えました。だから現に日本に住んでるじゃないか、といわれても、それに対して日本政府が正当性を与えるには「外国人としての定住許可」をするしか方法がありません。

日本は国際協調と平和主義を国是とする国です。日本の権原放棄を基本原理として、当事者の大韓民国や他の国々も納得する形で平和的に解決されている在日の国籍問題について、新たな制度を一方的に設けてその解決を反古にするほうが無理があります。在日の皆さんが不満に思うなら、朝鮮民族の代表としてその解決にあたった大韓民国に対して抗議するべきなんです。

私個人としては、在日朝鮮人の皆さんが国籍選択制度を望まれるなら、韓国政府に対して日本との間で在日に関する国籍選択制度の制定を協議するよう要求するべきだと思います。そういう条約や申し合わせが出来れば、平和条約や基本条約の規定に触れない形で日本が国籍選択制度を導入することができます。条約や申し合わせがなければ、在日に対する大韓民国の対人主権が引き続き有効なので、日本が在日の身分関係を規定できるのは本人の申請というきっかけ以外にないのです。



【Q13】
>在日の対人主権を主張した韓国政府は、戦後、在日のために一体、何をしてきたのだと、本当に庇護する気があったのか、それとも在日を外交交渉に利用するだけ利用しておいて、あとは彼らを棄民のような扱いをしてきたんじゃないか、という疑いが浮かんでくるわけです。私は、在日の方々が、半島政府の責任について問うてはいけないもののように一切触れようとしないのが不思議でならないのです。棄民のような扱いを受けていれば、「なぜ捨てた」と問い詰めなければならないのに、なぜか一切、視野の外に置こうとする態度は、私にとってどうにも不可思議です。(by furukotobumi)
そういう訴えが在日コリアンの間から出てくるのであればいいですが、もしあなたが日系日本人であるなら「大きなお世話」でしょう。韓国政府が仮に自国民に対する責任を果たしていなかったとしても、だからといって日本政府の責任が軽減されるわけではないのでは?

●A13.
良く判らないのですが、日本政府の責任とは何なのでしょうか?

在日の国籍喪失朝鮮半島の独立に不可欠な手続きです。一律に日本国籍を喪失することにしないと、朝鮮人の個々の意思が確認出来ないかぎり、日本が朝鮮統治行為を継続することになりますよ?

内地に住んでいる人たちは、自らの意思によって国籍を取得出来ます。
届出や選択制が取れないのは、そもそも平和条約発効後には日本国籍を認める根拠がなくなってしまうからです。およそ朝鮮人日本国籍の根拠に、平和条約の権原放棄規定に抵触しないものはありません。

条約発効までの間国内に定住してきたということですら、日本が統治している朝鮮に住む者を日本人とした、という朝鮮統治に基づく国籍認定が根拠になっているからです。その朝鮮統治を根拠とする事は否定される、というのが平和条約なので。



【Q14】
法的ではなく、倫理的・政治的な責任は日本政府にありませんか?

●A14.
そうおっしゃるなら何をもって法的、倫理的、政治的とおっしゃっているのか、その違いを説明してください。そもそも倫理的、政治的に問題があると判断した連合国がカイロ宣言ポツダム宣言、平和条約で、その責任や日本の負うべき責め、その賠償のために日本のなすべき事を決めたのでは?

> それ以前の植民地支配や併合から責任があるわけですが。

その責任ってのが何なのかを事実関係をもとにハッキリさせないでいるから、感情論では?といわれるんだと思いますね。
基本的な事実関係を把握しないまま、安易な感情論に走ってはいけません。
国際紛争の解決の手段としての国権の発動たる戦争を否定している日本にとって、独立と自国の平和を守るためには国際法のバカと思える位糞真面目な解釈と遵守こそが国防だと思うんですけどね。諸外国との約束を誠実に守る国だからこそ諸国の信頼を勝ち得て自国の安全を守れると。

そもそも今回の平和条約の目的自体、カイロ宣言に始まり大韓民国臨時政府の働きかけを受けた連合国に指摘された、朝鮮民族の民族自治や独立を日本が妨げている事の倫理的政治的責任の最終的な決着を図るべくなされた法的な決定ではないですか?
ですので、平和条約の忠実な履行や、諸々の問題を平和条約に基づいて解決して行く事が、倫理的・政治的な責任を取ることになるのではないですか?

政治的・倫理的な責任を口実に、政治的・倫理的な責任を解決するために定められた法的な決定を否定しろとおっしゃってるのです。だからこそ、それを正当化出来る法的根拠を出せと言っているのですけどね。

> 法的な責任の問題は一切していない、と何度言えば分かるのですか?

あなたの言う所の倫理的・政治的責任の解決のための法的な手続きが平和条約等なんですけど?

> でもその代わり日本政府がやったことが間違いでした。

間違っていない、というか、問題解決の方法として諸外国との間で約束した事が平和条約の規定で、それに反する選択肢を日本が取ることができないって事を説明し続けているのですけどね。
あなたの主張する解決方法を取る事が出来るという法的根拠を示してください。国際法ってのは相互承認が基本なんですよ。お互いが約束をして、それを守るから効力が生まれるんです。あなたの主張にはその観点がすっぽり抜け落ちているんです。



【Q15】
だから、法の話はしてないって。

●A15.
国籍ってのは思いっきり法の問題なんですけど。
その認識はあるから「政治的」という言葉を入れていらっしゃるのでしょ?



【Q16】
国際的な条約というのは、全て正しく非の打ちどころがないようなものであり、それに対する一切の批判をしてはいけないのですか?

●A16.
いいえ、そんな事一言も言ってませんけど。

ただ、条約は関係する諸国が問題解決のために交わした約束で、その解釈については諸事情を踏まえた関係諸国の明示・黙示の同意が示されて長期間経過しています。ですから今の解釈は、長年にわたって関係諸国によってその正当性・妥当性が確認・支持されて来たものなんです。それを変更しろというのですから、当然それなりの根拠が必要だと言ってるだけですよ。
ましてや、あなたの主張する別の施策というのが、その従来の解釈と真っ向から対立するのですからね。従来解釈を変更する側にこそ自説の妥当性の立証責任があるのですよ。

当時の経緯から言っても、在日朝鮮人は戦後すぐのGHQ総司令官着任の時点で「解放国民」として扱う事、そのために必要な措置をすることが規定されていた(1945年11月の連合国最高司令官への降伏後の初期基本指令より)ように、日本の支配から離脱するべしというのが日本以外の国の考えだったんですよ。韓国もGHQに対して在日の一律韓国籍確認をするように求めていましたし。

日本の側も、日本が韓国併合の際にやった国籍認定ってのは朝鮮統治を口実にしていて、朝鮮半島に居住しているかどうかに関わらず当時の大韓帝国臣民すべてを日本国籍としちゃったんですよ(在日の日本国籍確認の裁判でもたびたび指摘されている事です)。だから、朝鮮統治を放棄すると宣言しちゃうと、それこそ朝鮮人を日本人と主張する口実を失います。また、内地に住むからという理由だけで日本国籍のままというのは、国籍を取得した経緯から考えても整合性を欠きますね?当時の朝鮮にいなかったのに日本人扱いされたのに、朝鮮半島にいないと国籍離脱出来ないわけですから。

あなたには、そういう当時の諸々の事情やそれらとの整合性の検証から始めてもらいたいですね。そして、それらを踏まえて権原放棄規定やそれに基づく国籍離脱の妥当性を議論してください。条約やその解釈はそれらを踏まえた上で妥当とされているものですから。そういう検証の不足が、たとえばYさんの

> いずれにしてもあなたの主張は
> 「ああ、何て可哀相な人達。そして彼らに友愛を示す自分はなんて素晴らしいんだろう。」
> 以上の物にはなりえません。

という指摘になるのではないかと思いますね。

で、私は国際条約によって決定されているから正しいなんて言ってませんよ?国際条約で規定されている事は、当事者である主権国家同士の実力を背景にした合意であり、それを当事者が守る事で有効になるとは言ってますけど。で、それをひっくり返せるだけの正当性を示す必要がある、と言っているんです。

なにせ国際法ですから、国内法の憲法に相当するような「これに違反する規定は無効ね」なんて言える最高法規なんてものが存在しないんですよ。その効力の起源は、合意した主権国家の実力を含む主権に依存しています。だから、ひっくり返せる正当性をどこに求めるか、その正当性となるものが当時の情勢や当事者の認識、問題点とされた事をきちんと踏まえたものであるかなどが重要なんですよね。それを満たしたものが国際法における法的根拠です。

そもそも、朝鮮人大韓帝国臣民だったから日本国籍となったのです。実際朝鮮半島に住んでいなかった大韓帝国臣民も一律に日本人とされましたからね。なので、住んでいる場所によって日本国籍離脱に差が発生する事自体、国籍取得経緯をふまえない乱暴な議論だと思います。



【Q17】
住んでいる場所によって国籍の持つ意味合いが違うので、人権保障の見地から、日本在住の朝鮮人について日本国籍を選択する権利を認めることは、決して乱暴な議論とは言えないでしょう。むしろ日本政府は、歴史的事実から言えば、終戦後数年間は在日朝鮮人日本国籍選択権を付与することを考えていたようです。

サンフランシスコ平和条約には国籍条項がありませんので、一律日本国籍離脱とは異なった解釈・取り決めは可能だと私は思っています。また、サ条約が、もし仮に、国籍一律離脱が妥当と解釈されても、その場合は日本の国籍法の中に国籍選択制度を設けて、一旦朝鮮人日本国籍を離脱させた後、在日朝鮮人希望者に届出で日本国籍を認めることにすれば、条約に抵触しませんし、朝鮮人が住んでいる場所によって異なった選択が出来ることに何らの矛盾も生じないのでは?

何世代にも渡って日本に住んでいて、その多数は日本生まれ日本育ちであり普通に日本社会で生活してきていることが、国籍取得条件に何ら関係するべきではない、というほうが暴論でしょう。

●A17.
> 世代があらかた入れ替わるほどの時間経過と「特別在住」という特殊なあり方が相当期間続いているという事実性の蓄積から「国籍選択」という次の段階に進むべしという意見にはそれなりの正当性があると思います。

原理的にはあり得なくはないと思いますよ。ただし、それを日本から言い出す意味を考えていただければよろしいかと。大韓民国の国民庇護に問題がある、と日本が主張する事になるわけで、内政干渉の恐れがあります。現状では大韓民国の主権が及ぶとされ、その韓国の要請に基づく形で韓国の対人主権を維持したままの定住の便宜を図ってきたわけです。韓国はそうやって自国民の庇護を行って来ている。
こういう状況を考えれば、やはり在日から自国政府への要請に基づき韓国側から問題提起されるべきだと思いますね。ということで、

> 何世代にも渡って日本に住んでいて、その多数は日本生まれ日本育ちであり普通に日本社会で生活してきていることが、国籍取得条件に何ら関係するべきではない、というほうが暴論でしょう。

というのは、国籍喪失や韓国政府の主張の経緯を考えると、むしろ在日朝鮮人だからこそ国籍取得条件にならないとする方が妥当といえるでしょうね。で、日本人収容所の問題への例えで言えば、

「在日が日本で暮らしている事=日本人が収容所に入れられている事」であり、「国籍離脱=収容所閉鎖の決定」「国籍離脱後の永住許可=収容所閉鎖後も当面収容所の建物利用を認める激変緩和措置」といえるでしょうね。しかし、韓国政府は「在日同胞が韓国の対人主権下のままの永住=収容所閉鎖永続的な建物利用の許可」を最終的な決着として設定しているわけですから、「協定永住者から特別永住者という地位の設定=閉鎖収容所の整備や利用許可に関する根拠法・契約の明示」で、「在日の地位に関する最終的な決着=収容所からの解放」が終わったといえるでしょうね。

その状態で国籍選択権を主張する事は「閉鎖収容所の永続的な利用許可があるのだから、単なる利用者か建物やその土地の共同所有者になるかのいずれかを選べなくてはおかしいのだ」と言っているのに等しいわけです。



【Q18】
韓国人に対する対人主権が韓国にあると主張する向きがありますが、韓国領域外の韓国人に対してはそれも制限されるそうです。在日は言葉どおり日本の住民なので日本の政治の支配を受けるわけで、従って、在外韓国人の義務や権利は、大抵が滞在国において生じるのでは? 

●A18.
自ら領土主権の話を持ち出されているので言うまでもないと思いますが、領土主権に基づく限り日本の支配領域を離れれば日本での義務も権利も喪失します。それでは自国民の扱いが相手国の完全な裁量に任されてしまい、自国民に必要な庇護が全くできなくなって困るわけです。それじゃ困るから対人主権や国籍という概念が存在するんですよ。世界中どこにいても自国に帰属する人間に対する最終的な責任とその者の保護の権利である「外交的保護権」の根拠が対人主権であり、どこの国が対人主権を行使出来るかの識別が国籍なんです。

なので、住んでいる場所でコロコロ国籍が変わってしまう事は「外交的保護権」をどこが持っているかを不明にしてしまうため不都合が大きいのです。むしろ、国同士の条約による決定に依存せず自らある国の国民として生きて行く事を選ぶのであれば、自らの意思でその国の国民としての義務と責任を負う覚悟をした上で帰化をすべきです。外交的保護権という国外での最終的な庇護の仕組みを有効に活用するためにも必要です。

国籍選択権を与えろ、という議論については、別の方もオーストリアとドイツの間の合意に触れられていたように、やはり日本と韓国の間でそういう取り極めがなされるべきですね。でないと、在日の外交的保護権の一方的剥奪と言う明確な国際法違反が起きてしまいますから。1950年代の西ドイツの在独オーストリア人にドイツ国籍を認めた裁判があり、その判決への在独オーストリア人の反発がこの国籍選択権を認める立法の原因になっているようですね。反発の理由は「ドイツによるオーストリアの外交的保護権の侵害」です。だから一方的な国籍選択権は危険なんですよ。

植民地独立の際の国籍については、必ずしも日本のような甘い措置がとられてたわけじゃないですよ。外地人が一律に国籍喪失し、その上で簡易帰化の手続きをみとめたというのはむしろ公平な扱いと言えると思います。というのが、他国の植民地の場合、植民地の歴史的経緯などを根拠に、国籍と市民権、居住権や参政権などの諸々の権利について本国人との扱いを区別しているからです。

植民地といえば、世界最大の植民地を持つイギリスの国籍の話が象徴的ですが、彼等は戦後の植民地独立に際し、独立した地域で市民権に関する法律を定めるまでの条件付きで英国の市民権を認めました。これを朝鮮に当てはめると、南北での建国後の関連法令の制定時までは日本国籍を認める、という主張ですね。さらに1970年代に「一般に国籍に付随するとされる自国へ入国する権利などを一方的に剥奪するのは、なんら差しつかえのない『国際的な慣習』」として居住権法を制定し、英国市民権を持つ者の一部以外から英国人としての英国入国の権利を剥奪します。英国国籍だからといって英国本国の国民と同じ権利を認める必要はない、と言ってるわけです。さらに1980年代に、そのような権利を制限された英国国籍保持者には本国居住の条件に本国への帰化を求めています。

日本では国籍=市民権ですが、イギリスの例などを見れば判る通り、国籍≠市民権です。国籍を認めたからといって様々な権利義務が自動的に付随するわけではない、国籍を持っている者の間でも権利の制限の有無の差異はあってもよい、というのが世界的な常識のようです。そこらへんを踏まえながら他国の分割併合や植民地関連の国籍の扱いを見て行かないと大きな間違いを犯すと思います。




【Q19】
その国籍に由来する韓国の在日韓国人に対する対人主権より日本の領土主権が優越するわけです。在日外国人は日本の政治の支配を受けるので、在日外国人の義務と権利は滞在国にこそ生じる、ということです。 堂々巡りして元の私のコメントに戻りましたね。ご苦労さん。

で、以前あなたは、「外交的保護権」という概念があるのは、まさに日本政府には最終的な外国人人権の庇護の責任も権利もないことの現れ」と書かれましたが、嘘八百のでたらめです。実際は、私がその前のコメントで「日本政府が外国人の人権を保護しないというようなことは、国際法上も日本国憲法上も許されない」と書いたように、日本政府は在日外国人を国際法に基づいて保護する責任があるのです。 もし、日本が外国人の人権を侵害して損害を与えた場合、外国人の国籍国は外交保護権を行使して日本に対し損害賠償を要求することができます。 日本は、国籍国による外交保護権の行使という形で、“外国人に対する日本の国家責任”を追求されることになるわけです。 従って、「外交保護権があるのは在日外国人の人権に対する責任が日本政府にないことの現われ」とのコメントは、事実とは全く逆のあなたの捏造、在日朝鮮人に対する日本の責任を回避したいが為にあなたが作り話をされたということです。

>なので、住んでいる場所でコロコロ国籍が変わってしまう事は「外交的保護権」をどこが持っているかを不明にしてしまうため不都合が大きいのです。

帰化制度も国籍選択制度も、どちらも住んでいる場所での国籍変更ですから、あなたの主張に何ら正当な理由がありません。

>自らの意思でその国の国民としての義務と責任を負う覚悟をした上で帰化をすべきです。

帰化」とは「他国の国籍を得てその国民となること」です。 国籍選択権も「自らの意思」で外国人が日本国籍を取得することですから、同じことです。 以前にも国籍選択権は「本人の意志」に基づくと書いたのですが、本当にあなたは理解しようとしませんね。 わざとですか?

>だから一方的な国籍選択権は危険なんですよ。

だから、国籍選択権は在日の「個人の自由意思」に基づいた日本国籍取得であって、日本国による一方的な国籍付与ではない、と何度も言ってるんですが。 なぜわざと誤解したようなことを繰り返すのですか?

>植民地独立の際の国籍については、・・・(以下省略)

あなたの誤りに基づいた自論の援用にも、私の主張に対する何らの有効な反論にもなっていない、無意味なコメントだと指摘しておきます。

●A19.
> その国籍に由来する韓国の在日韓国人に対する対人主権より日本の領土主権が優越するわけです。 

その領土主権で保護されない場合がありえること、その場合の帰属国の庇護の権利として「外交的保護権」があるわけですが。

思うのですが、外交的保護権について少し勉強されてはいかがですか?これは領土主権を行使する国の法的手続きにおいても自国民の権利が侵害されている、というのが行使の前提になっていますから。その上で主張するわけですから、領土主権が人権保護の最終的な責任を負うのではなく、帰属国が最終的に人権の庇護の責任を負うからに他ならないのではないですか。外国人の地位は、帰属国が自国民の庇護のために要請をし、それを了解した当該国が保障する形です。それでは当該国が了解することをやめたといって内国法で制定してしまえばそれまで。だから「外交的保護権」を設定して、最終的に帰属国が権利を守る事にしてあるのですよ。

それから、国籍選択権では日本が潜在的日本国籍を主張する正当性を認めてしまうからだめ、って言ってるんですけど、理解していますか?条約が在日に日本国籍を認める正当性をすべて無効にしている以上、日本国籍であってよい、という理由がないんです。選択肢には正当な根拠のあるものが挙げられるべきで、そうあってはならないものを選択肢に入れるわけに行かないでしょ。日本が日本国籍を選んで当然、といえる理屈がすべて条約で否定された以上、日本国籍が選択肢に入るわけにはいかないんです。

結局、日本国籍を選択肢とする根拠は、今外国人として日本に暮らしている事を根拠にするしかないはずです。それであれば、他の定住外国人にも同様に国籍選択権を認めなくてはなりませんね。だから、対人主権をもつ韓国から国籍選択に関する提案をしてもらい、それを根拠にするのが一番ではないかと言っているのですが。

その点、帰化制度は選択制度のように帰化する先の国籍に正当性を求める必要がありません。帰化は任意の国に対して行える(在日の場合、韓国政府がそう定めているのならば、ですが)のですから。

植民地独立の際の事実関係は、私が間違っていようがいまいが関係ない話ですよ。イギリスは実際にそういう主張をして英国国籍を持つ者の間の地位を区分していますから。あなたの主張ではそういう国籍や市民権の現実は都合が悪いでしょうね。だから無意味だと切って捨てるしかないのはわかりますけど。

あ、そうそう、外交保護権でなぜ国家が損害賠償(実力行使を含む)という形になっているかという理由ですが、国際法の主体は主権国家だからです。

国際法というのは主権国家同士が交わす取り極めや慣習などの総称で、個人はそれらの主権国家が認証することで初めて国際法で対象とされるようになるんですよ。うちの国民である、と、どこかの国の政府が保証する事が国際法上の個人という地位の根拠になります。だから保証する国がその人の権利義務に関する最終的な責任を負う事になるのは当然のこととなります(その国の責任で「人」と認めたのだから)。

無国籍者の扱いが国際法上の問題になる理由は、そういう責任を取る主権国家がどこにもいない事です。ある国に責任がある、とすることは、その国の国籍を持つという事と同じ事なんですが、どこの国の国籍も持たないから無国籍者な訳で。




【Q20】
帰属国に外交保護権があっても、外国人の人権が滞在国で平等に保障されるわけではありません。あなたは私の論点を履き違えて論じられていますね。
そもそも私は、「外国人は居住国の政治的支配を受けるので、在日外国人の居住地における人権尊重がどのように達成されるかは日本の外国人政策に委ねられる」、という意味のことを述べたのです。それをあなたがご自身の思考の尺度でもって帰属国の法的責任論に転化されたわけです。
しかし、いくら帰属国の庇護の責任を力説されても、滞在国に対する内政干渉が許されるはずもありませんから、対人主権があったところで、在外国民に対する人権保障には自ずと限界があるのです。

>結局、日本国籍を選択肢とする根拠は、今外国人として日本に暮らしている事を根拠にするしかないはずです。それであれば、他の定住外国人にも同様に国籍選択権を認めなくてはなりませんね。

そもそもの私の主張が、「日本生まれの永住者の子どもに対しては、特別永住/一般永住を問わず、届出による日本国籍取得制度を設置すべき」というものだったのですが。

●A20.
まだまだ誤解をされているようですが、

> そもそも私は、「外国人は居住国の政治的支配を受けるので、在日外国人の居住地における人権尊重がどのように達成されるかは日本の外国人政策に委ねられる」、という意味のことを述べたのです。

全くもってその通り。帰属国が自国民の権利と安全を保障すべく、居住国に対して居住国の主権に基づく庇護を要請していることを根拠にしてるのです。ですので、帰属国の要請を受けた範囲において居住国に裁量があるのは当然の事です。要請を受けて庇護をしているだけですから、苦情はそのような要請をしている帰属国経由でどうぞ、という話なんですけど?外国人を受け入れている居住国側にしてみれば、帰属国の要請があるから自国に受け入れしているだけなので、何もその外国人の権利関係について責任を負ってるわけではありません。

こう考えてみると判りやすいですね。Aという会社とあるサービスの契約を結んだとき、そのAという会社が委託した先のBという会社によってサービスの一部が提供される事は良くあります。そのBという会社が担当した部分のサービスに不具合があり、Aという会社と契約した内容全体がパァになったとしましょう。この場合、Bという会社に直接文句を言っても補償や責任問題は解決しないでしょ?結局最終的な責任は契約を結んだAという会社にあり、Bという会社はあくまでAに対して責任を負うことになるはずです。

このたとえのAという会社が帰属国、Bという会社が居住国であると考えてもらえば、私の言っている事は判るかと思います。居住国はあくまで帰属国から要請を受けているだけの事です。だから居住国は帰属国に対して責任を負うわけで、文句は権利保障を居住国に託した帰属国にどうぞ、って事になるわけです(日本は外国人にも請願権を認めてますから、日本国政府が善意で直接声を聞いてくれることもあるでしょうが)。

> 在外国民に対する人権保障には自ずと限界があるのです。

全くもってその通りです。そして居住国が負う責任にも同様に限界があり、権利の保障は帰属国が最終的な責任を負うわけです。

> そもそもの私の主張が、「日本生まれの永住者の子どもに対しては、特別永住/一般永住を問わず、届出による日本国籍取得制度を設置すべき」というものだったのですが。

はい、それは理解していますよ。

ただ、現代の問題として出生地主義であるべしという理屈が説明されていないので、なぜそういう制度を作るべきなのかも理解出来ません。日本には国際協調主義という国是がある以上、諸外国の主権を最大限に尊重するべきですね。届出による国籍取得制度をつくることは日本在住の外国人に対する帰属国の対人主権を骨抜きにしかねませんから、帰属を安易に変えられるような制度を相手国の了承なしに作る方が良いという理屈は成り立ち難いでしょうね。

ということで、おっしゃる制度を作るにしても、過去にさかのぼっての適用ではなく、日本が出生地主義を認めた時点以降に生まれた子供についてのみ適用される形とするくらいしか方法がないでしょうね。




【Q21】
>文句は権利保障を居住国に託した帰属国にどうぞ、って事になるわけです

そもそも私は日本の外国人政策に対する一つの提言として主張したのであって、特定の外国籍者のために「文句」を言ったのではありません。つまり、あなたの主張は私の論点から外れているので意味がないのです。ただ、あなたの仰りたいことは理解しました。

●A21.
私には「現代の問題として」という位置づけが理解できないので、ぜひ説明してもらいたいですね。

むしろ、現代は過去の歴史に類を見ない程の国家間の人の行き来が行われる時代です。居住しているかどうかがその地域を管轄する国との関係の軽重の判断基準にはならないでしょう。帰属する意思がなくても仕事の都合などといった自己都合を理由に永住権を取ったりする人も珍しくないのが現代の世界ですから。

ですので、出生によって親の国の国籍を取得するのは、自力で判断出来ない子供に対する基本的権利の保護の観点で当然でしょう。しかし上記の現代の現状(居住地が帰属を意味しなくなって来ている)を踏まえれば、帰属を申し出る本人の意思とその国家側の受け入れの意思の合意に基づくほうが自然じゃないのか、と思うわけです。




【Q22】
日本政府も、当初は在日朝鮮人日本国籍選択権を付与することも考えていたようですが、途中、時の政治家の意向の影響を受けながら、国籍一斉剥奪に方向転換していったようですから。

(以下、半月城通信 No.25より抜粋)
  さて、日本では「国籍選択」はどのように扱われたのでしょうか。関係者の発言は次の通りです。

<堀内内相>45年12月5日、衆議院選挙法改正委員会
  「内地に在留する朝鮮人に対しては、日本の国籍を選択しうることになるのが、これまでの例であり、今度もおそらくそうなると考えています」

<川村外務政務次官>49年12月21日、衆議院外務委員会
  「(国籍選択については)だいたい本人の希望次第決定される、ことになるという見通しをもっている」

吉田茂首相>51年10月29日、衆議院平和条約特別委員会
  「(朝鮮人の)名前まで改めさせるなど、日本化に力を入れた結果、朝鮮人として日本に長く『土着』した人もいれば、また、日本人になりきった人もいる。
  同時にまた何か騒動が起きると必ずその手先になって、地方の騒擾その他に参加する者も少なくない。いいのと悪いのと両方あるので、その選択は非常に・・・、選択して国籍を与えるわけではありませんけれども、朝鮮人に禍を受ける半面もあり、またいい面もある。・・・
  特に、朝鮮人日本国籍を与えるについても、よほど考えねばならないことは、あなた(曾根議員)の言われるような少数民族問題が起こって、随分他国では困難をきたしている例も少なくないので、この問題については慎重に考えたいと思います」

<西村条約局長>51年11月5日、同上
  「かって独立国であったものが、合併によって日本の領土の一部になった。
その朝鮮が独立を回復する場合には、朝鮮人であったものは当然従前持っていた朝鮮の国籍を回復すると考えるのが通念でございます。
  ですから、この(平和条約)第2条(A)には国籍関係は全然入っていないわけであります。日本に相当数の朝鮮人諸君が住んでおられます。これらの諸君のために、特に日本人としていたいとの希望を持っておられる諸君のために、特別の条件を平和条約に設けることの可否という問題になるわけです。
  その点を研究しました結果、今日の国籍法による帰化の方式によって、在留朝鮮人諸君の希望を満足できるとの結論に達しましたので、特に国籍選択というような条項を設けることを(連合国側に)要請しないことにしたわけです」
http://www.han.org/a/half-moon/hm025.html#No.199

●A22.
注意深く読んでもらえば判るかと思いますが、国籍選択があった際の選択肢としての日本国籍の可能性が検討され続けているだけですよ。
ですので、GHQの方針に従って在日朝鮮人が「解放国民」として日本の統治を離脱する措置がとられ続けていることと何ら矛盾がありません。

最後の西村局長の発言の

「日本に相当数の朝鮮人諸君が住んでおられます。これらの諸君のために、特に日本人としていたいとの希望を持っておられる諸君のために、特別の条件を平和条約に設けることの可否という問題になるわけです。」

という発言も重要です。

国際法上、特別の条件を設定しなければ日本が国籍選択を実施できない、という事を確認しています。その上で、日本がそのような条項を盛ることを要請するかどうか検討したというわけですから。
結局、国籍選択制度を採用するにあたっては、在日朝鮮人の帰属する朝鮮半島の合法政府である韓国との間に別途国際法上の規定をする必要がある、ということですね。

ちなみに北朝鮮は、近年の恒例行事とはいえ「日本は840万同胞を拉致している」との立場を表明しました。北朝鮮側からすれば、在日に国籍選択権を認めるのは拉致の既成事実化・固定化をしていると非難されるでしょうね。まあ、日本からすれば、北朝鮮朝鮮半島を代表する合法政府ではないので、彼等の在日への主権やそれに基づく主張を認める理由もないわけですが。

で、現実に日本に滞在する在日朝鮮人と言われる人たちが、そのような国籍喪失の経緯と何ら関係ない場合が非常に多いと言われているのが問題だと思います。密入国の後滞在資格を得たような人たちが国籍選択を認められるのなら、それは日本の対人主権の重大な危機と言わざるを得ないでしょう。

実際昭和30年には大量の密入国と韓国の引き取り拒否で強制送還すらできず、仮放免する手前在留許可を出さざるを得なかったような例が多発して国会で問題になっていたという事実が有ります。

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/022/0488/02206180488023a.html

そのような自らの出自を公然と新聞紙上で公開していた在日もいましたね。



【Q23】
国籍選択権に関する条項をサンフランシスコ条約に設けることを要請しないとの判断を日本政府が下した、というのが歴史的経緯ですよ。当初考えていた国籍選択権の付与を、条約直前に自らの政治的判断で却下した、その責任は日本政府にありますよね。

>こと国籍一律喪失に関しては日本に咎はないことがはっきりしてきたように思います

日本の咎が「国籍一律喪失」そのものにあるではなく、在日朝鮮人に日本人と同等の権利を保障しなかったことにあるのです。「国籍選択権」は保障すべき権利の中に含まれる、と私は思っています。


●A23.
日本は国籍選択に相当する条項がなくても、希望者には帰化で対応出来ると判断しただけです。また、他国も在日朝鮮人を「解放国民」と規定して来た(GHQは連合国の占領軍ですから)以上、あらためて選択権を盛り込む理由もないですね。だから条約に盛り込まれなかったんです。

> 在日朝鮮人に日本人と同等の権利を保障しなかったこと

そりゃ当然ですよ。
朝鮮が独立し新たな国を作るのですから、新たな国が自国民の権利を保障するのが筋です。在日を含む在外朝鮮人のための必要な協定(国籍選択でも良いですよ)を提唱し結ぶのは、他でもない朝鮮の合法的な政府の負う責務です。



【Q24】
(1)在日韓国人が中東某国旅行中に拉致されました。犯人は彼らのパスポートを見て韓国に身代金を要求しました。この場合、救出活動を行い身代金を支払うのは、韓国でしょうか、日本でしょうか?
(2)中東某国が国際紛争に巻きこまれその首都の1時間後の爆撃が宣言されました。首都に集まった邦人を救出するため日本政府はチャーター機を飛ばしました。ここからは極端な例ですが、飛行機は300人の定員なため、1家族4人がどうしても乗り込めません。パスポートを確認したところ、在日韓国人一家4人が既に機内に乗り込んでいることが判明しました。日本政府担当者としては、在日韓国人一家に韓国の航空機に移るよう要請しました。
さて、韓国の航空機が到着していれば問題はないでしょうが、もし、到着しておらず、300人定員は絶対と考えた場合(貨物庫や空きスペースがなかったとお考えください)、どのように対応するのが日本政府としてベストなものでしょう。

つまり、対人主権というのはこういうことでしょう?

●A24.
(1) 当然在日韓国人の帰属国である韓国です。
(2) 当然日本人を優先ですよ。もちろん、その中東某国を爆撃する側が在日を乗せないとその飛行機自体が爆破する、とか言ってるのでなければの話ですが。

ある人の権利義務に関する最終的な責任を負うのは、その人に対して対人主権を主張する主権国家ですから。



【Q25】
中東某国後日譚

(1)中東某国の誘拐犯は実は最初在日韓国人旅行者を日本人と間違え拉致しました。アジトでパスポート確認をして初めて韓国人とわかったのですね。即座に殺害するか身代金を取るか迷いましたが、一応韓国大使館・政府に拉致の事実と身代金を要求しました。ところが、韓国政府も大使館も身代金額を渋ったのか(官房機密費というものが枯渇していたのか)、交渉が難航しているうちに、旅行者たちは殺害され、その映像が全世界に配信されました。
日本在住の遺族は、日本国の住民に対して日本政府がこれといって何もアクションを起こさなかったこと(遺憾の意を表明しただけ)に、「人権」の観点から抗議の声をあげるのは妥当だとお思いですか?

(2)日本政府のチャーター便に既に搭乗していた在日家族4人の父親は、その中東某国に赴任していた企業の社員の一人で、その仲間の社員たち家族と一緒にどやどやと飛行機に乗り込んだと想定してみてください。本人たちも周囲の社員もそうするのが当然と思ってのことです。一方、積み残された日本人一家4人の父親は、家族でそこに偶然滞在していたフリーランスのライターかなんかだとしましょう。もちろんコネもありません。
その企業の他の日本人社員家族は、社員としての一体感で、その在日社員家族が降ろされるのを阻止しようとしますが、日本政府担当者は、申し訳ないが日本国籍者よりも優先するわけにはいかないと正論を言って降りてもらい日本人一家を搭乗させました。
その後結局韓国の航空機は到着せず首都が爆撃を受け在日一家4人が亡くなったとしましょう。そのとき遺族は「人権」「差別」の観点から損害賠償を日本国政府に求めるのは妥当だとお思いですか?

もちろん、むちゃくちゃな設定ですが、rubio1919さんの主張はこういうことを妥当だとお考えの方のものだと思うのですね。
実際は、外国でトラブルに遭遇した在日の方々でも韓国大使館じゃなく(朝鮮語を話せないから)日本大使館に保護を求められてるそうですが、それは何か韓国との「協定」でもあるのでしょうか。

●A25.
1) 誘拐犯から接触もなかった日本国政府に何の責任もありませんね。
2) 中東某国で現実にあった話として、イラン・イラク戦争の実例がありますね。その時、日本人は他国籍であるという理由で、他国の救援機に空きがあったときしか乗せてもらえませんでした。ですので、世界の一般常識としても遺族の賠償請求は認められないでしょうね。

在日の方々が日本の大使館に押し掛けるという話ですが、何の協定も有りません。実際、大使館の皆さんは大変困っているそうです。日本の大使館がなんらかの対応をしても、あくまで善意の第三者としての対応です。



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引き続き興味をお持ちの方は
「③朝鮮に「帰属」する者の「国籍選択権」は可能であったかについての議論」にお進みください。
http://d.hatena.ne.jp/furukotobumi/20100129/p1