②在日の無年金問題についての議論

【2011年6月21日改】


在日の無年金問題についての特別エントリーです。
Q&A式に変更整理せず、議論をほぼそのままの形で抽出して転載しました。

なおこの議論の過程において「在日高齢者が1982年から6年間の特例期間に加入して掛け金を払えば年金加入が認められることとなっており」という事実はないということが判明しました。



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●B 2009/12/10 14:55
日本の新聞には「剥奪論」はほとんど載っていませんよ。それだけ、関心の薄い話題なんですね。そこにもってきて、本当に剥奪なのかという日本のナショナリズムも含めた厳しい吟味がなされることが、予想されます。それには、よほど皆がなるほど剥奪だと思うような事実を示すかしなきゃいけない。それが、何ですか。Mさんは「小学生のころ日本国籍じゃないと分かって泣いた」というだけの一韓国系日本人の話だけ引いてきて、それの上に話を組み上げているわけですよ。いかに被害の深刻性が薄いか。泣かない在日だっていたんですよ。そんな話で迫害だ剥奪だなんだ言われたんじゃたまったものじゃありません。在日の人たちは外国人の権利とはいえ、生活上必要な経済的な権利や自由権を保障されてきたんです。




▼R 2009/12/10 18:22
>いかに被害の深刻性が薄いか。泣かない在日だっていたんですよ。

あなた自身が自らの責によらず社会保障制度から締め出されても、別に大した問題ではないとお考えでしょうか? 例えば、在日高齢者の無年金問題は、現在深刻な問題として日本各地で訴訟が起こされています。 それも一部の裕福な人なら自力で何とでもできるかもしれませんが、貧しい人々が社会福祉制度から除外されることは、彼らの生存権に関わってくる問題です。 長年の朝鮮人差別・就職差別によって比較的貧困層に属する人が多い在日にとって、そのような被害の深刻性が、増すことがあっても、決して「深刻性が薄い」などといえるものではないでしょう。




■G 2009/12/10 19:33
> 在日高齢者の無年金問題

1982年から6年間の特例期間に加入して掛け金を払えば年金加入が認められることとなっており、その通知はすべての対象者に対してなされています。また帰属国である韓国も1986年から年金制度を始めていて、10年以上掛け金を払えば韓国の年金を受給することができます。

ですので、現時点で無年金問題を抱えている人たちのほとんどが

・日本の年金の特例期間に加入を怠った
・韓国の年金に加入をしていなかった
・日韓いずれかの年金に加入していても掛け金を払っていなかった

に該当する人たちではありませんか?




◎K 2009/12/10 19:58
在日の無年金問題の裁判は敗訴してますよ。払ってない人たちに何故払わないといけないのですか?
しかも年金の国籍条項撤廃後に6年間に特例期間がありその間に加入し掛け金を全部払うと貰えました。日本人の場合は合計で25年以上払わないと受給資格がありません。
また日本だけでなく韓国でも年金制度があり最低10年払うと貰えます。実際在日の方でも年金を貰っている人はいますよ。
ですので払ってこない人たちを担ぎ出すのはきちんと払ってきた在日の方々に失礼なんじゃないかと思いますよ



▼R 2009/12/11 13:46
>1982年から6年間の特例期間に加入して掛け金を払えば年金加入が認められることとなっており、その通知はすべての対象者に対してなされています。

ソースをお願いします。



◎K 2009/12/11 19:26
http://nplll.com/mutter/archives/2007/02/post_359.php



▼R 2009/12/11 20:23
個人のブログではなく、公的なソースがありませんか?



▼R 2009/12/11 22:59

>在日高齢者の無年金問題

残念ながら「1982年から6年間の特例期間」などというものは存在しません。 桜井氏率いるレイシスト集団・在特会在日朝鮮人を貶めるために捏造した嘘です。 つまり、あなたはガセネタを基に主張されたわけです。 また、「韓国も1986年から年金制度を始め」たとのことですが、そもそも社会保障制度は居住要件が基本にあるので、日本の国民年金制度と同様、在外国民には加入資格がありませんでした。 つまり、当該在日高齢者は、「自分の意思によらず」無年金状態に陥っている人々だということです。


■G 2009/12/13 00:04
>在日高齢者の無年金問題

確かに6年間という話は正式な文書には見当たりませんね。ということで、6年間については一旦撤回します。

しかし同様の無年金問題は日本人でも発生していますし、定住外国人にも他の日本人同様昭和36年以降は加入合算期間とする事が認められていますよ。

http://www.city.yokohama.jp/me/kenkou/nenkin/7-0gaikoku.html
ttp://www.sia.go.jp/topics/2009/pdf/n0514.pdf

在日のみなさんの年金相談を受け付けてる人のサイトなどでは、いずれ帰国するから払わない、とか、どうせ大した金額がもらえないと言われたから払わなかったんだが…という方が多いので、そうならないよう年金掛け金を払うべき、という事をおっしゃっている方もいらっしゃいますね。

そもそも韓国が主権を主張する人たちの生活保障の問題ですから第一義には帰属国である韓国政府が責任を持つべき所ですし、韓国政府の年金政策の不備について日本政府が直接口を出す理由はありません。ましてや、日本に暮らしている外国人なのですから、日本政府に救済の義務もありませんね。たとえば、少数とはいえ日本国籍のまま韓国に残留日本人がいたわけですが、その人たちの年金を韓国政府が補償しないといけないのでしょうか?普通、帰属国である日本が責任を問われますよね?



▼R 2009/12/14 23:30
>>在日高齢者の無年金問題

>同様の無年金問題は日本人でも発生していますし、定住外国人にも他の日本人同様昭和36年以降は加入合算期間とする事が認められていますよ。

日本人の無年金者は加入資格があるのに掛け金を払わないで(自分の意思で)無年金になっている人々です。 問題となっている在日高齢者は、1986年の国民年金法改正時に満60歳を超える在日外国人で、合算対象期間(カラ期間)を足しても受給資格を満たすことができないために加入資格が得られず(自らの意思によらないで)国民年金制度から除外された人々です。

過去に日本人の中にも受給資格を満たすことができない人がいなかったわけではありません。 それは、1959年に国民年金が初めて施行されたときに高年齢に達していた日本人、沖縄・小笠原諸島返還時の各地域在住の日本人、帰国した中国残留日本人、拉致被害者です。 これら日本人に対して日本政府は、その都度、無拠出制の老齢福祉年金(日本人高齢者対象で、掛け金を払わないで受給できる年金)を設けたり、受給資格年限を短縮し、保険料が追納できる特例措置を採るなどして、無年金者を出さないように様々な救済措置を施してきました。 しかし、1982年に国民年金制度から国籍条項が撤廃されて外国人にも加入資格が認められたときには、在日高齢者・障害者に対して日本政府は何らの救済措置も採らなかったので、多数の在日高齢者が無年金状態に陥ってしまったのです。

>在日のみなさんの年金相談を受け付けてる人のサイトなどでは、いずれ帰国するから払わない、とか、・・・・・、そうならないよう年金掛け金を払うべき、という事をおっしゃっている方もいらっしゃいますね。

前述のとおり、加入資格を得ながら掛け金を払わないで無年金者になっている在日外国人の年金保障をいってるのではありません。 あなたがたネットウヨが低レベルなのは、その辺の見分けもできないで難癖つけようとするところです。 だから、捏造を疑うこともなく安易に信じてしまうのです。

>日本に暮らしている外国人なのですから、日本政府に救済の義務もありませんね。

日本は世界人権規約、難民条約等の国際条約批准国ですから、社会保障については内外人平等です。 また、日本国憲法は外国人に対しても基本的人権を保障することを求めています。

>たとえば、少数とはいえ日本国籍のまま韓国に残留日本人がいたわけですが、その人たちの年金を韓国政府が補償しないといけないのでしょうか?普通、帰属国である日本が責任を問われますよね?

補償ではなく、保障ですね。 日本の国民年金法第7条は、被保険者の資格要件として「日本国内に住所を有する」者として居住要件を設けています。 つまり、在外邦人の社会保障に対して国籍国である日本は責任を持たないということです。 実際、社会保障については滞在国の責任というのが国際慣例です。



■G 2009/12/15 15:46
年金の問題は海外在留日本人なども同様な制度の狭間に置かれていたわけですが、基本的に自国民として制度の不都合に対する「補償」が行われて当然です。

> 1982年に国民年金制度から国籍条項が撤廃されて外国人にも加入資格が認められたときには、在日高齢者・障害者に対して日本政府は何らの救済措置も採らなかったので、多数の在日高齢者が無年金状態に陥ってしまったのです。

当たり前の話です。難民条約等に批准したからこそ、その内容に基づいた国籍条項撤廃が行われたんですから。批准以降の扱いで差があるというのならこちらが聞きたいですね。批准以降ですから批准以前にさかのぼって救済せよ、なんてのは論外です。批准していない国で勝手に居住ベースの社会保障を期待する方が変です。

> 日本の国民年金法第7条は、被保険者の資格要件として「日本国内に住所を有する」者として居住要件を設けています。 

それは「強制加入」の要件ですよ。国民年金は海外邦人に対しても一号被保険者としての任意加入を認めています。日本国内に過去に住所を持った事があれば最後に住所を持った社会保険事務所が、一度も住所を持った事がない場合は千代田社会保険事務所が管轄です。

韓国政府がそのような制度を用意していないからといって、それを日本政府の責任というのは全く筋が通りませんね。

大前提の話ですが、在日韓国・朝鮮人の帰属は大韓民国なのですから(大韓民国の定める手続きをせずに朝鮮籍でいるのは本人の問題です)、もし日本の措置が不十分だというのなら、そこから先は大韓民国による救済を求めてください。

実際韓国は昭和40年の日韓法的地位協定によって在日韓国人に対する国民健康保険の加入や生活保護の適用を認めるよう要請し、日本側がそのような措置をとったわけです。このような要請自体が帰属国としての自国民庇護の一例ですね。国民年金加入が必要であれば同様の取り極めがなされれば良かっただけの事です。むしろ年金問題が大事だというなら、なぜ大韓民国はそのような要請をしなかったんでしょうね?それは大韓民国とそこに帰属する皆さんの間の問題ですから、日本に責任を求める事自体がとんだとばっちりです。





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(参考)
韓国の年金制度
・1960年に公務員年金が最初に導入された。
国民年金制度がスタートしたのは、1988年。
・支給開始は60歳。
・受給資格は、加入期間20年以上。
 老齢年金の満額受給者は2008年に初めて現れる。
・平均受給額は、日本円で29,300円。



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【兵庫】 外国籍の「無年金高齢者」への給付金を引き上げ 〜日本人の老齢年金と同等の支給額に [03/31] <兵庫県>外国籍高齢者給付金、老齢年金と同等に

 【兵庫】兵庫県は在日外国籍の無年金高齢者への福祉給付金1万5700円(月額)に1200円上乗せし、
1万6900円とした10年度予算案を18日、本会議で可決した。この結果、県内各市の実施額と合わせた支給額は3万3800円となり、初めて日本人に支給されている老齢福祉年金と同等の支給額となった。
 県が市と共同して外国籍無年金高齢者への福祉給付金を日本人の老齢福祉年金並みに引き上げるための
制度を新設したのは98年度だった。この間、各市が相次いで2分の1相当の水準を実現してきたのに対し、県だけは予算措置が遅れていた。市民団体と連携しながら県と市に完全実施を求めてきた民団兵庫本部(車得龍団長)は、この兵庫方式が全国に広がっていくことを期待している。

◆重度障害者はいまだに格差

 老齢福祉年金は61年の国民年金発足当時、すでに高齢で拠出年金を受けるための受給資格期間を満たせない日本人に支給されている。金額は年間40万 5800円。民団では長らく「せめて老齢福祉年金並みに」と訴えてきた経緯がある。
 一方、重度障害者では10年度から月額給付金を2400円引き上げて3万3800円としたが、各市が支給している障害基礎年金1級の2分の1相当額を加算しても、日本人の障害者福祉給付金8万2518円にはわずかに及ばない。
(2010.3.31 民団新聞)
http://www.mindan.org/shinbun/news_bk_view.php?page=1&subpage=3757&corner=2