③朝鮮に「帰属」する者の「国籍選択権」は可能であったかについての議論

【2011年6月21日改】


Q&A式に変更整理せず、議論をほぼそのままの形で抽出して転載します。



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■G 2009/12/10 12:29
サンフランシスコ平和条約の権原喪失により日本の自由裁量によらない朝鮮人の国籍離脱が起きたからといって、日本が国籍選択制を行う道義的責任を負っているわけではありません。選択制を提供しなかった事で新たな責任が発生するというのなら、別の問題として主張していただく必要がありますね。
そもそも、諸国の合意に基づいて朝鮮に関する日本の支配を徹底的に排除したのに、その結果支配を回復させる道義的責任が日本に発生するという事自体こじつけが過ぎます。
日本政府に対する批判とは、条約発効という日本の裁量を超えた形で行われた朝鮮人の国籍離脱の道義的責任を根拠に、日本の裁量で国籍選択制をとらないことが批判されているのです。言ってみれば、私がこれから自分の意見を述べようとしているとき、お前にはお前の親のやった事の道義的責任があるんだからこういう発言をしなくてはならない、と言われている状態ですよね?



◆M 2009/12/10 13:33
> 条約の権原喪失により日本の自由裁量によらない国籍離脱が起きたからといって、日本が選択制を行う道義的責任を負っているわけではありません。

条約締結は、日本が自由裁量において合意したからでしょう?

> そもそも、諸国の合意に基づいて朝鮮に関する日本の支配を徹底的に排除したのに、

だったら戦後すぐ、どうして国民としての権利を剥奪しながら、「国民の義務」は押し付けていたのでしょうか。もし日本の支配を排除することが目的であれば、逆に義務から解放しつつ権利だけは当面保護する、というのが当たり前のやり方だと思うのですが、日本はその逆を行ったのですよ。それをわたしは問題であると批判しています。



■G 2009/12/10 14:22
> 条約締結は、日本が自由裁量において合意したからでしょう?

条約締結に合意するまで連合国により日本の主権が制限されていたんで、その自由裁量が存在しないんですけど?

> 戦後すぐ、どうして国民としての権利を剥奪しながら、「国民の義務」は押し付けていたのでしょうか。

国民の間の扱いに差があってはいけない、という根拠はどこにあるのでしょうか?
世界的に見ても国籍と市民権は一致してませんね。英国国籍を持っている海外邦人が本土に住む際に帰化を求めるような英国の例もありますし。



▼R 2009/12/10 17:37
>条約締結に合意するまで連合国により日本の主権が制限されていたんで、その自由裁量が存在しないんですけど?

サンフランシスコ条約国籍選択権に関する条項を設けることを要請しないとの判断は、日本政府の自由裁量においてなされましたね。 日本政府が、自らの判断で、在日朝鮮人日本国籍選択権を付与しないことを決めたのですが。



■G 2009/12/10 19:33
>サンフランシスコ条約国籍選択権に関する条項を設けることを要請しないとの判断は、日本政府の自由裁量においてなされましたね。日本政府が、自らの判断で、在日朝鮮人日本国籍選択権を付与しないことを決めたのですが。

そもそも「自由」裁量ではありませんね。その「裁量」自体が連合国の指導と承認に基づいたものです。GHQ最高司令官は天皇や政府の上位であり、彼や連合国の承認なしには裁量が行使出来ないのですから。



◆M 2009/12/11 01:37
>条約締結に合意するまで連合国により日本の主権が制限されていたんで、その自由裁量が存在しないんですけど?

制限は受けていたでしょう。しかしその制限の中で、朝鮮半島出身者の権利を守るために出来る限りのことをやっていたのですか? 逆に、出来ることすらやっていなかったのでしょう?
もし仮に、出来る限りのことをやったうえで、どうしても連合国の押し付けによりこれとこれはできませんでした、ということなら、まったくちがった話になります。でも現実には、明らかに日本政府自身が積極的に権利消滅に向けて動いています。

> 国民の間の扱いに差があってはいけない、という根拠はどこにあるのでしょうか?

日本国憲法に、国民は平等だと定めてありますが。

> 国籍は一国の一存で決められるという自らの主張を否定していますよね

していません。もし外国が日本に「国籍をよこせ」と押し付けてくるのであればおかしいですが、一個人が「国籍を与えるべきである」と主張することは、国家主権の侵害ではないですよ。



■G 2009/12/11 03:30
> しかしその制限の中で、朝鮮半島出身者の権利を守るために出来る限りのことをやっていたのですか? 逆に、出来ることすらやっていなかったのでしょう?

おっしゃっているのは「併合により強制的に日本人とされた朝鮮半島出身者が日本人として生きて行く権利」ですよね?それは日本の主権を制限していた側によって「隷属」「奴隷状態」と否定されているものですよ。なので、GHQは占領直後から在日朝鮮人を「解放国民」と規定し、朝鮮人の権利を回復するために日本の統治からの離脱(=外国人化)を進めていたのです。

> 日本国憲法に、国民は平等だと定めてありますが。

現行憲法憲法制定権力はいわゆる「内地人」ですので、朝鮮人日本国憲法の規定する国民とするには憲法10条に基づく法の規定によらないといけません。しかしその国籍法は内地人のみを対象としていますので、いずれにせよ朝鮮人を新憲法の規定する国民というのは無理があります。この間GHQにより朝鮮人の日本統治からの離脱に関する施策が継続している事もお忘れなく。

> 一個人が「国籍を与えるべきである」と主張することは、国家主権の侵害ではないですよ。

主張されてること自体は認めてるじゃないですか。ただし、主張の内容が筋が通ってないですね、と言ってるんですよ。
日本が選択制を導入しない事によるあらたな不利が発生しているわけじゃないですね? 他の外国人と同じ地位であるわけですから。Mさんは「条約発効による国籍離脱によって発生した」と称する不利を、届出だけの国籍選択制で「回復」しないことを「道義的責任」という言葉で主張されているのですよね?
結局、「日本の国籍に関する裁量というのは、別の事柄である条約による国籍離脱に由来する道義的責任によって制限されるべきだ」と、ある個人が主張されているという話ですよね?

> 「剥奪」という言葉が最も現実に即している

いいえ、日本が日本国籍を認めるための根拠を喪失した、というのが現実です。
なぜ朝鮮人が日本人と言えるのか?と尋ねられたとき、条約発効前であれば「韓国併合により、朝鮮統治の権利を保有しているから」と主張出来ます。これが朝鮮人を日本人とする「権原」です。実際当時の大韓帝国に居住していない大韓帝国民も日本国籍となりましたので、この併合や統治の譲渡という権原をもとにして大韓帝国に帰属する者を日本人と宣言しているわけです。
幸か不幸か、朝鮮半島では内地法に基づく統治をしていませんので、すべての法が韓国併合と朝鮮統治という権原に由来しています。朝鮮半島樺太のように内地に編入されていれば、在日朝鮮人が引き続き日本国籍を主張する事は十分可能だったでしょう。有り体に言えば植民地としての統治であることがバレバレなので、簡単に植民地支配されてる人を見分けられる状態だったというわけです。植民地の定義については様々な議論があるので置いておきますが、要は統治の根拠が内地や内地人とは全く違っているままで統治を続けていたという事です。それを司法では「異法地」という言葉を使っていますが。
こう考えれば判りやすいでしょう。パナソニックが三洋を買収しましたね?三洋社員はパナソニックグループの社員と言えるでしょう。他の子会社同様、パナソニックの制服を着てパナソニックの一員として活動する事もできるでしょう。それでもパナソニックと三洋は別会社として区別され、三洋社員とパナソニック社員では異なった雇用関係が適用されたままです。三洋社員がパナソニック社員のための雇用規則で権利を主張出来ませんし、その逆も然りです。名実共に三洋社員をパナソニック社員と呼ぶには、三洋との雇用関係を解消してパナソニックとの雇用関係に切り替えなくてはなりませんね?これと同じ事ですよ。
なので、グループとしては大日本帝国であっても、内部的には朝鮮と内地は全く別物のままなのです。朝鮮を併合している事実がなくなる、あるいは帰属が朝鮮ではなくなると、朝鮮に帰属する人たちは居場所に関わらず日本人ではなくなるわけです。
で、実際、条約で「韓国併合」「朝鮮統治」という権原は放棄しなくてはならなくなり、実際に条約が発効したので放棄されました。もはや日本が「韓国併合により朝鮮統治の権利を保有しているから」とは言えなくなったのです。よって、日本人と言えなくなりました。
どこに「剥奪」なるものが起きているのでしょうか?剥奪、というからには、在日朝鮮人日本国籍を維持する正当性を明示してもらわないと困りますね。
むしろ、剥奪されたのは日本ですよ。日本が持っていた朝鮮に関する一切の権利・権原を剥奪されたんです。



▼R 2009/12/11 22:59
>そもそも「自由」裁量ではありませんね。その「裁量」自体が連合国の指導と承認に基づいたものです。GHQ最高司令官は天皇や政府の上位であり、彼や連合国の承認なしには裁量が行使出来ないのですから。

あなたは都合が悪くなると、微妙に論点をすりかえたり、恣意的な解釈を施すなどして議論をごまかそうとする癖がありますね。 サンフランシスコ平和条約国籍選択権に関する条項を設けることを、「要請するかしないかの判断」を私は言ったのですよ。 「特に国籍選択というような条項を設けることを(連合国側に)要請しない」との判断は、日本政府の自由裁量においてなされました。 で、結果的にサ条約には在日朝鮮人に対する国籍条項が設けられなかったので、日本政府の自由裁量が認められた形になりました。
さらに、すでに何度も述べたとおり、国籍の得喪は国内管轄事項であり、且つサ条約を含め何らの国籍条約も存在しなかったという事実から、在日朝鮮人に対する日本国籍得喪については日本政府の自由裁量に任されたわけです。 そのような状況の下、日本政府は、サ条約発効直前に一官吏の一片の通達によって、法律によらず、“恣意的に”在日朝鮮人日本国籍を剥奪したのです。



■G 2009/12/13 00:04
> 「要請するかしないかの判断」を私は言ったのですよ。

その「裁量」自体が連合国の指導と承認に基づいたものですから。GHQが適正でないと判断したら当然要請するよう指導される状態だったわけですが?
ということで、自由裁量にはあたりません。

> 国籍の得喪は国内管轄事項であり、

関連する国際条約の規定が優先する、と言ってるわけですが。

> 日本政府は、サ条約発効直前に一官吏の一片の通達によって、法律によらず、“恣意的に”在日朝鮮人日本国籍を剥奪したのです。

これはMさんに対する説明で書いたように、日本が持っていた朝鮮人に対する日本国籍主張の根拠が、条約によって喪失したから「言えなくなった」のですよ。通達は、言えなくなっちゃうので、その扱いを間違えないように、という確認をしてるに過ぎません。だいたい、通達の最初を見れば通達自体が国籍離脱が起きる事への「対応」の指示であることは明白なんですけどね。



▼R 2009/12/14 23:30
>>「要請するかしないかの判断」を私は言ったのですよ。
>その「裁量」自体が連合国の指導と承認に基づいたものですから。GHQが適正でないと判断したら当然要請するよう指導される状態だったわけですが? ということで、自由裁量にはあたりません。

悪あがきも程々にしてほしいものです。 まじめに応えるのが嫌になります。仮に「国籍条項を要請しないように」との連合国の指導があったなら、日本政府に「裁量」する余地などないということではありませんか。 その場合、もはや日本政府が「要請するかしないかの判断」が出来るはずもありません。 そもそも自由裁量というのは法的拘束の下で行われる判断なのであって、GHQの拘束があるから自由裁量がない、という理屈にはならないのです。
むしろ、サンフランシスコ平和条約発効前までの当時の状況をみると、日本政府当局者が最後まで国籍選択権の付与を検討していたことや、吉田茂首相がそれに関して(韓国政府の国籍についての主張やGHQの政策ではなく)日本の内政問題の観点で慎重論を述べていたことからも、在日朝鮮人に対する日本国籍選択権の付与はサ条約に抵触しない、完全に日本の自由裁量に任されていたことがうかがわれますね。(当然でしょ。 国籍の得喪は国内管轄事項なんですから。)

>> 国籍の得喪は国内管轄事項であり、

>関連する国際条約の規定が優先する、と言ってるわけですが。

「国籍の得喪は国内管轄事項であり、」のあとに、「且つサ条約を含め何らの国籍条約も存在しなかった」と私は続けたのですが、その部分をあなたは意図的に省いていますね? ちなみに、サ条約には領土条項があるだけで、在日朝鮮人についての国籍条項はありませんので。 あと、サ条約の領土条項に関する解釈はしてくれなくて結構です。 あなたの恣意的な解釈にはうんざりしていますから。

>>日本政府は、サ条約発効直前に一官吏の一片の通達によって、法律によらず、“恣意的に”在日朝鮮人日本国籍を剥奪したのです。

>これはMさんに対する説明で書いたように、日本が持っていた朝鮮人に対する日本国籍主張の根拠が、条約によって喪失したから「言えなくなった」のですよ。

サ条約には在日朝鮮人の国籍についての条項がなく、その条約の一義的な解釈として在日朝鮮人日本国籍喪失という結論を導くことはできません。 日本国憲法第10条は日本国籍得喪を法律によって行うことを求めており、また国籍法は本人の意思によらない国籍喪失を想定していません。 言うまでもなく官吏による通達には法的効力がないのであって、従って日本政府は、法律によらず、違法に在日朝鮮人日本国籍を剥奪したということです。



■G 2009/12/15 15:46
> 仮に「国籍条項を要請しないように」との連合国の指導があったなら、日本政府に「裁量」する余地などないということではありませんか。

その通りですよ。そもそも平時に結ばれた条約ではなく、戦争状態を終結させるための占領している側と占領されている側との間で結ぶ条約ですから対等な関係にありません、ってずいぶん前から言ってるんですが。基本的に戦勝国が敗戦国に対して自分たちの意向をそのまま押し付けてるだけですよ。

> GHQの拘束があるから自由裁量がない、という理屈にはならないのです。

意味不明ですね。裁量の行使に制約があるのに「自由」裁量ですか?その主張が成立するなら、戦前の日本は国民主権の民主国家であったと言えますね。繰り返しますが、主権が承認されるまでは連合国の承認の範囲で日本国政府の裁量が認められてるんです。


(無年金問題の話題のあと〜)

>日本は世界人権規約、難民条約等の国際条約批准国ですから、社会保障については内外人平等です。また、日本国憲法は外国人に対しても基本的人権を保障することを求めています。

しかし面白いですね。難民条約のような場合には国際条約が前面に出てくるのに、国籍喪失の場合は国際条約を無視して国内法で対処していい、ですか。



▼R 2009/12/15 20:20
>しかし面白いですね。難民条約のような場合には国際条約が前面に出てくるのに、国籍喪失の場合は国際条約を無視して国内法で対処していい、ですか。

在日朝鮮人の国籍に関する国際条約が存在しないのですから、国内法で対処するのが当然じゃないですか。 国籍の得喪は国内管轄事項なんですから。 何度言ったら分かるの!? サンフランシスコ平和条約には在日朝鮮人に対する国籍について何の規定もありません。 サ条約の一義的な解釈として在日朝鮮人日本国籍喪失という結論を導くことはできない、と書いたでしょ。「国際条約を無視」って、あなた、私のコメント読んでないの?



■G 2009/12/16 01:10
> 在日朝鮮人の国籍に関する国際条約が存在しない

残念でした。日本が「すべての権原・権利・請求権」を放棄したので、自国民と規定する根拠(権原)も放棄してることになるわけです。判りやすい例えをすると「全財産を没収する」という規定があったとして、「そこには銀行預金をどうするとは書いてないから、銀行預金は没収されない」と主張出来るか?って話です。
国籍だけを抜き出して規定するのも結構な話ですが、そもそも日本が朝鮮人日本国籍とした根拠が併合条約に求められているわけです。併合がもはや無効、といわれたら、併合を根拠とした朝鮮人日本国籍には根拠がなくなるわけです。併合によらない日本国籍の正当性はどこにあるんですか?日本に長年住んでいるから?それなら他の外国人も一律日本国籍ですね?
あなたこそ、サンフランシスコ条約が朝鮮の日本の統治からの離脱のための包括的な規定であることを十分理解出来ていないようですね。



▼R 2009/12/16 23:00
>残念でした。日本が「すべての権原・権利・請求権」を放棄したので、自国民と規定する根拠(権原)も放棄してることになるわけです。

サンフランシスコ平和条約( http://www004.upp.so-net.ne.jp/teikoku-denmo/no_frame/history/kaisetsu/other/tpj.html )の第二章は領域(TERRITORY)に関してであり、その第二条(a)は、「日本国は、朝鮮の独立を承認して、斉州島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。」となっています。 その条項は、日本が放棄すべき「領土」についての取り決めをしているのであって、朝鮮人の国籍についての取り決めをしているわけではありません。 百歩譲って、仮に「朝鮮に対するすべての権利、権原」に朝鮮人の国籍が含まれると解釈しても、それが領土条項である以上、朝鮮に居住する朝鮮人が含まれても、朝鮮領域外に居住する在日朝鮮人の国籍が含まれると解釈することは困難です。 従って、条約の一義的な解釈として在日朝鮮人日本国籍喪失という結論を導くことはできないのです。

>併合がもはや無効、といわれたら、併合を根拠とした朝鮮人日本国籍には根拠がなくなるわけです。併合によらない日本国籍の正当性はどこにあるんですか?

韓国併合朝鮮人日本国籍を得ることになった原因にすぎません。 日本国籍の正当性は、在日朝鮮人の国籍に関する国際条約が存在しない以上、日本の法律によって担保されるのが当然じゃないですか。

>あなたこそ、サンフランシスコ条約が朝鮮の日本の統治からの離脱のための包括的な規定であることを十分理解出来ていないようですね。

あなたの恣意的な解釈が条約の規定を逸脱しているだけなんですがね。 むしろ、終戦後からサンフランシスコ平和条約発効前までの日本政府当局者たちの言動は、在日朝鮮人の国籍に対するあなたのこれまでの主張や条約解釈と明らかに矛盾しています。
すなわち、日本政府が最後まで国籍選択権の付与を検討していたことや、吉田茂首相がそれに関して(韓国政府の国籍についての主張やGHQの政策ではなく)日本の内政問題の観点で慎重論を述べていたことから、在日朝鮮人に対する日本国籍選択権の付与は、サ条約に抵触しない、完全に日本の自由裁量に任されていたことがうかがわれます。



■G 2009/12/17 03:21
> その条項は、日本が放棄すべき「領土」についての取り決めをしているのであって、朝鮮人の国籍についての取り決めをしているわけではありません。

なのに

> 領土条項である以上、朝鮮に居住する朝鮮人が含まれても、

と言うのはおかしいですね。あくまで領土条項であると主張するなら、あくまで朝鮮人は朝鮮という日本の支配から離脱した領土に居住する日本人である、という立場でないとおかしいはずです。Rさんは知らぬ間に帰属という概念を利用されているんですよ。領土に帰属する人はその領土の帰属する国の国籍を持つべき、という立場では関係諸国と同じですが、帰属を居住で定める、という立場なのでしょうね。
居住場所の変更がおいそれと認められない時代であれば問題ないでしょうが、居住場所が変更出来る時代になるといつから居住していれば帰属していると看做せるのか?という問題が発生します。それは明治時代にすでに実務的にも問題が顕著になっており、大正時代に入ってすぐ寄留法という法律で居所と本来の住所(本籍)という概念が成立しています。ということで、実際の居住場所で帰属を決めるというのは、当時ですら時代遅れの発想だったと言えるわけです。

> 日本国籍の正当性は、在日朝鮮人の国籍に関する国際条約が存在しない以上、日本の法律によって担保されるのが当然じゃないですか。

その朝鮮人日本国籍を規定するのは、併合条約で獲得した朝鮮の統治権に基づいて公布された朝鮮戸籍令の中の一条文です。併合条約にも「韓人」に関する扱いが規定されており、そこには併合によって「韓人」の帰属が内地になるという規定もありません。あくまで「韓人」であり、帰属は朝鮮なんです。余談ですが、明治43年勅令第318号は、併合後にも関わらず韓国の「国号」を朝鮮とするというものでした。日本の朝鮮の位置づけは、ちょうどソ連邦ウクライナ共和国やバルト三国のように、大日本帝国という連邦国の一構成国家であるかのように想定されていたのかもしれません。朝鮮総督府天皇直轄の機関であり、組織上内地の内閣と対等な関係にあったことからも推察出来ますね。
ともあれ、日本人は各地域に帰属し、その地域の法体系の適用を受ける、というのがその後の共通法でも定められているところです。内地にいる朝鮮人は、そのような特段の定めがない限り内地法の適用対象外ですから、朝鮮で施行される命令によらなければ日本人である事を確定出来ません。だから、そもそも在日朝鮮人を日本人と呼ぶためには、在日朝鮮人が朝鮮に帰属する必要があったわけです。
以上を踏まえれば、現在内地にいる在日朝鮮人日本国籍を認めるには、朝鮮で引き続き日本の出した命令が朝鮮に帰属する者に対して有効であるとする、あるいはRさん自身が引用されている西村条約局長の発言にあるように、別途国際条約による帰属を変更する規定を作成するしかありません。
平和条約2条a項の発効により日本の朝鮮統治が終了していますので、朝鮮統治に基づいて出されたすべての命令が効力を失っていますし、在日朝鮮人の帰属を朝鮮から日本に変更するという国際条約も存在しません。よって国内法では、併合以来朝鮮に帰属したことを根拠に日本国籍となっていた朝鮮人に対し、あらためて日本国籍を確認する手段がありません、というのが結論です。
Rさんにとっては、日本が終戦近くになって検討を始めていた内鮮一体の制度が実現されていれば、というところでしょうね。樺太は一足先に内地化しました(共通法1条)から、樺太という内地の一部の地域が統治から離脱しても、内地に帰属する樺太の住民は日本国籍を維持出来たわけです。
終戦後は在日朝鮮人を解放国民と規定したGHQの方針が絶対です。GHQGHQから委任された者の職権による判断は、日本の国家機関および国民に対し最終的権威を持っていたんです(降伏文書の第5項および連合国最高司令官指令2号4項)。日本の憲法以下のすべての法令を含め、日本そのものがあくまでGHQが認めた範囲の裁量で施行・行動しているに過ぎません。このように国籍離脱は最終的権威に基づく決定ですので、実際そのような内鮮一体の法令自体が成立していないわけです

> 終戦後からサンフランシスコ平和条約発効前までの日本政府当局者たちの言動は、在日朝鮮人の国籍に対するあなたのこれまでの主張や条約解釈と明らかに矛盾しています。

矛盾しているように見えるのは、GHQの指示指導の元で一貫して進められている国籍離脱と、離脱確定時の国籍選択の可能性の検討を混同して考えているからでしょう。あくまで離脱時の手続きに国籍選択を含める可能性を検討してるだけで、国籍が喪失する事は既定路線です。占領直後にすでに「解放国民」と規定されていますからね、在日朝鮮人は。
もちろん内部で検討するのは自由ですし、朝鮮人による犯罪の問題が深刻であったという主権回復前後の国会審議の記録もありますから、朝鮮人を日本人にしたくない、という意図を持つ人も多かったでしょう。が、それを実際に条約で要求するには連合国側の指導と承認が必要なことには変わりありません。対等な関係で条約を結んでいるわけではないんで。



■G 2009/12/20 04:38
昭和26年12月23日の朝日新聞に「講和発効時に日本国籍喪失 在留朝鮮人」という記事が載ったそうです。そこでは同年同月22日の日韓間の協議で「終戦前から日本に引続き在留する朝鮮人は対日講和条約発効と同時に日本国籍を失う」という点で一致した事が書かれています。その他、朝鮮への引き上げ時の送金や携行品、永住許可、強制退去、朝鮮人国籍喪失に伴う国籍制限のある既得権の扱いなどの合意事項があったそうです。
私はその新聞記事そのものを見たわけではないのでこれの真偽を確認出来ませんが、この話が事実であれば、条約発効に伴う在日朝鮮人国籍喪失は条約発効前に日韓双方の事前了解済みとなるため、通達で日本政府により一方的に剥奪されたという主張は事実に反する根拠のない主張と結論づけられそうですね。
また、もう少し調べてみた所、昭和27年4月28日に「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律」というものが公布されており、この中で「日本国との平和條約の規定に基き同條約の最初の効力発生の日において日本の国籍を離脱する者」という記述がありますので、法律上にも条約発効で国籍離脱することは一応明示されていることになりますね。
通達一つで剥奪された、という主張は、これらの事実関係を踏まえたものなのでしょうか?



▼R 2009/12/20 21:52
>>日本は朝鮮に対するすべての権利を放棄したのだから、朝鮮に居住する朝鮮人に対する支配権を失ったことに疑問の余地がありません。
>疑問が大有りです。Rさんの主張では、朝鮮に居住する内地人の扱いはどうなるんですか?台湾人は?その他の外国人は?

「朝鮮に居住する朝鮮人」と書いているじゃありませんか。 「内地人の扱い」って、日本政府が日本人に対する対人主権まで放棄したわけではないでしょ? 日本と朝鮮との間の話に、台湾人やその他外国人がいったい何の関係があるのですか??

>だいたい領土条項と主張されるんであれば、その条項は領土にのみ適用されるはずで、単純にそこに居住している人間には適用出来ませんよ。

「朝鮮の独立を承認して、斉州島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」ということは、朝鮮領域に対する領土主権を放棄することです。 領土主権には、領土だけでなく、領土内の人と物も含まれます。 従って、日本が「朝鮮に居住する朝鮮人に対する支配権を失ったことに疑問の余地が」ないのです。

>どこの領土に居住するかで国籍が決まるなら、・・・。(途中、省略。) これを正当だというのは、植民地の解放独立という当時の国際社会の建前から考えてもかなり無理があるでしょうね。

そんなことを私はどこにも書いてませんよ。 あなたが勝手に錯覚して延々と独り善がりな解釈をしているだけじゃないですか。 サンフランシスコ平和条約の第二条(a)には日本が放棄する朝鮮領に関することしか規定されていない、ただそれだけです。

>>「在日朝鮮人国籍選択権を付与することは条約に明確に違反する」とあなたは主張されています。
>現行条約が有効である限り国籍選択制度を導入できる根拠がありません、

根拠がない、条約に明確に違反する、ということは、検討する余地がないということですよ。 吉田茂首相は国際条約に無知なよっぽど間抜けな政治家だったのですね!?

>というか、後で述べるように解放国民と宣言し、その地位を確定させようとしてきた連合国としては日本国籍を維持することは認められないでしょう?だからいずれにせよ、一旦は朝鮮人日本国籍を喪失するんです。

その連合国の最終結論が、国籍についての条項が無いサンフランシスコ平和条約ですよ。 条約の一義的な解釈として在日朝鮮人日本国籍喪失という結論を導くことはできません。

>これを在日朝鮮人に当てはめると、日本が在日朝鮮人日本国籍を認めた事に対し、朝鮮半島の合法政府が対人主権の侵害であるとし国際問題化した、ってことです。ますます日本国籍を認めるにあたっての国際法上の根拠というのが重要になるわけです。

当時日本が韓国や北朝鮮と国籍に関する条約を結んでいない以上、日本国籍得喪という日本の内政問題が、いずれの政府の主張にも拘束される必要がありません。 また、両国が自国民の国籍をどのように規定しようとも、朝鮮領域外に居住する在日朝鮮人には効力が及びません。

>で、西村条約局長は、その国籍選択制度を実現可能にする条項の要不要を検討した結果、それがなくても帰化制度が実質的な選択制度として機能するので、特段の措置は不要との結論に達したと言っているだけです。

だから、要不要が検討できるということは、「在日朝鮮人国籍選択権を付与することは条約に明確に違反する」とのあなたの主張が誤りだということです。 平和条約に国籍選択権に関する条項がないのは、それが条約に違反するからではなく、帰化制度で対応するとの判断を日本政府が下したからですよ。 つまり、在日朝鮮人日本国籍得喪が日本政府の自由裁量に任された、ということにほかならないのです。 結局、日本政府は、法律によらず、違法に在日朝鮮人日本国籍を剥奪したわけです。

>日本の立場は離脱後も帰化による日本国籍取得が出来れば選択制度と同じ結果になるから問題ない

というのは建前であって、本音はあくまで在日朝鮮人国籍選択権を与えたくないということですね。 なぜなら、帰化制度と国籍選択制度は全く異なる制度であり、「帰化制度が実質的な選択制度として機能する」ことなどないからです。 つまり、帰化制度では日本にとって都合の良い在日朝鮮人を選別できるのに対して、国籍選択制度では日本の選り好みが許されず、希望者全員に日本国籍を付与する必要があるからです。

>昭和26年12月23日の朝日新聞に「講和発効時に日本国籍喪失 在留朝鮮人」という記事が載ったそうです。そこでは同年同月22日の日韓間の協議で「終戦前から日本に引続き在留する朝鮮人は対日講和条約発効と同時に日本国籍を失う」という点で一致した事が書かれています。その他、朝鮮への引き上げ時の送金や携行品、永住許可、強制退去、朝鮮人国籍喪失に伴う国籍制限のある既得権の扱いなどの合意事項があったそうです。
そのときに二国間で正式に合意文書が取り交わされたのでしょうか? 1951年10月から始まった日韓交渉は、なかなか意見の一致を見ず、何度も決裂を繰り返しながら14年もの年月を経てようやく1965年に日韓条約が締結された、というのが私の認識なんですが。

>私はその新聞記事そのものを見たわけではないのでこれの真偽を確認出来ませんが、

どうもガセネタの臭いがしますね。 現実にそのような報道がなされていたとしても、戦時中はどの新聞も政府当局の御用新聞に成り下がっていましたからね。

>この話が事実であれば、条約発効に伴う在日朝鮮人国籍喪失は条約発効前に日韓双方の事前了解済みとなるため、通達で日本政府により一方的に剥奪されたという主張は事実に反する根拠のない主張と結論づけられそうですね。

残念ながら「この話が事実」だと仮定しても、在日朝鮮人が本人の意思を問われることなく通達で日本政府により一方的に日本国籍を剥奪された、という事実は変わりませんよ。

>また、もう少し調べてみた所、昭和27年4月28日に「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律」というものが公布されており、この中で「日本国との平和條約の規定に基き同條約の最初の効力発生の日において日本の国籍を離脱する者」という記述がありますので、法律上にも条約発効で国籍離脱することは一応明示されていることになりますね。

まさかこの法律が在日朝鮮人日本国籍を喪失させたと仰るのではないでしょうね? 条文を見ると、該当する部分が(出入国管理令の一部改正に伴う経過規定)となっているのですが。 「一応明示されている」って、だから何なんですか?



■G 2009/12/21 07:04
自分でおっしゃっている事を良く理解されていないのではありませんか?

> 「内地人の扱い」って、日本政府が日本人に対する対人主権まで放棄したわけではないでしょ?…(A)

と、おっしゃる一方、

> 領土主権には、領土だけでなく、領土内の人と物も含まれます。…(B)

と、全く持って矛盾する事をおっしゃっているのですが。

(A)なら、条約上日本人(=内地人+朝鮮人+台湾人)への対人主権は放棄していないことになるので、朝鮮半島朝鮮人日本国籍を喪失出来ません。しかし、(B)の領土内の人に対する対人主権が喪失するとの主張ですから、領土内に存在する内地人や台湾人への対人主権は当然放棄ですよね?領土内の人や物と言う以上、朝鮮内に居住する他の外国人の国籍も喪失しないとおかしいですね?
さらに、海外在住の朝鮮人についても

> サンフランシスコ平和条約の第二条(a)には日本が放棄する朝鮮領に関することしか規定されていない、ただそれだけです。…(C)

とすると、朝鮮半島外の第三国に居住していた朝鮮人は、併合で日本人になったにもかかわらず、併合の効力が喪失した条約発効後も日本国籍を離脱出来ないことになります。領土「外」の人ですから。

しかし、Rさんのおっしゃるような矛盾は「帰属」という概念を用いればすっきりと解消出来ます。内地人は内地に帰属する、朝鮮人は朝鮮に帰属する、また、帰属する領土の分割や併合に伴って国籍も変わるという考えです。これであれば、朝鮮半島という領土の分割に伴っても朝鮮半島に住む内地人は日本国籍を維持する一方、半島に住む朝鮮人日本国籍を喪失するということが矛盾なく行えるのです。また朝鮮に帰属する者であればどこに住んでいようが併合前の状態に戻ることができ、在日朝鮮人も朝鮮に帰属する以上、帰属している領土が日本ではなくなるので国籍離脱する、という理屈なわけです。
私はそれを対人主権という言葉で細かく説明したに過ぎません。領土の併合を根拠に朝鮮統治の一環として朝鮮に帰属する者への対人主権が発生しており、これに基づいて日本は朝鮮人を日本人だと主張し、朝鮮人に内地での居住を許可しても居るわけです。しかし、併合の解消とともに併合を権原とするその対人主権が効力を喪失するのは当たり前で(根拠がなくなったから)、そもそもの朝鮮人を日本人と主張する根拠自体が喪失した以上、内地にいたとしても朝鮮人を日本人と呼べなくなるわけです。

> 要不要が検討できるということは、「在日朝鮮人国籍選択権を付与することは条約に明確に違反する」とのあなたの主張が誤りだということです。

現行条約にはそのような規定はありませんので、国籍選択権を付与する事は現行条約に違反します。ですので、現行の平和条約以降にあらたに韓国との間で国籍選択権に関する条約を結ぶ必要がある、といっているのですが。
国籍選択制度については、実は日韓交渉の中でも取り上げられていたようですね。例えば、昭和27年2月の「国籍処遇問題に関する日韓非公式会談」の記録には、以下のような韓国側の説明が書かれています。
・韓国内で年長者中心の理想論的な血統主義派と若手中心の実利的な国籍選択権派で意見が分かれている

・大統領裁定で国籍選択権を認めないと決めた
・しかしながら在日保護が薄いという在日からの韓国政府への非難が少なくなるので国籍選択権を与える方がいいという意見もまだくすぶっていて困っている

というような内容です。やはり韓国側の事情として国籍選択権を認めていないわけです。
これは日本政府から機密指定解除で公開された文書の中の一つで、「日韓会談文書・全面公開を求める会」というサイトで公開文書が大量に掲載されています。その努力には全く頭が下がります。朝日新聞の記事に相当する会談の前後の記録もあり、そこには朝日新聞の記事と矛盾しない内容が掲載されています。ですので、朝日新聞の記事として紹介されている内容は事実でしょう。

> まさかこの法律が在日朝鮮人日本国籍を喪失させたと仰るのではないでしょうね? 条文を見ると、該当する部分が(出入国管理令の一部改正に伴う経過規定)となっているのですが。 「一応明示されている」って、だから何なんですか?

実際に条文を読まれたのなら話は早いです。通達同様に法律でもそのような事態が起きる事を予定しているわけです。その法律で国籍離脱を規定しているのではありません。通達の「国籍離脱することとなるから」という前書きと同じで、法律内で条約によってそのような国籍離脱が起きる事を確認しているに過ぎません。条約の効力の解釈が法令上に明記されているというわけです。



▼R 2009/12/23 00:40
>>「内地人の扱い」って、日本政府が日本人に対する対人主権まで放棄したわけではないでしょ?…(A)
>>領土主権には、領土だけでなく、領土内の人と物も含まれます。…(B)

>と、全く持って矛盾する事をおっしゃっているのですが。

(A)と(B)は矛盾しません:

(A)で述べた「日本人」とは(=内地人)のことです。 「内地人の扱い」を訊かれたので内地人のことを答えたのです。 文脈を見れば「条約上日本人(=内地人+朝鮮人+台湾人)」なんてことを言っていないと判るはずなんですが、曲解されては困りますね。
(B)は「朝鮮に居住する朝鮮人」も含まれるということを言っているのです。(人には当然外国人も含まれます。) ここでいう朝鮮人とは朝鮮の国家の国籍規定に基づく国民を意味します。 サンフランシスコ平和条約によって日本が「朝鮮に居住する朝鮮人に対する支配権を失ったことに疑問の余地が」ありますか? 「挑戦内に居住する他の外国人の国籍も喪失しないとおかしいですね?」って、領土主権だけで国籍を喪失させられるんですか? 外国人が滞在国の政治的支配を受けるのは間違いないですが。

>> サンフランシスコ平和条約の第二条(a)には日本が放棄する朝鮮領に関することしか規定されていない、ただそれだけです。…(C)

>とすると、朝鮮半島外の第三国に居住していた朝鮮人は、併合で日本人になったにもかかわらず、併合の効力が喪失した条約発効後も日本国籍を離脱出来ないことになります。領土「外」の人ですから。

そんなことはありません。 日本国籍を放棄すれば済む話ですから。 日本国憲法第22条は日本人に「国籍を離脱する自由」を認めていますよ。 いずれにせよ、領土「外」の人に関しては在日朝鮮人を含め条約に何らの規定も無いということです。 理解されたでしょうか?

>「帰属」という概念を用いればすっきりと解消出来ます。内地人は内地に帰属する、朝鮮人は朝鮮に帰属する、また、帰属する領土の分割や併合に伴って国籍も変わるという考えです。(途中、省略。) しかし、併合の解消とともに併合を権原とするその対人主権が効力を喪失するのは当たり前で(根拠がなくなったから)、そもそもの朝鮮人を日本人と主張する根拠自体が喪失した以上、内地にいたとしても朝鮮人を日本人と呼べなくなるわけです。

所詮あなたの独自解釈に過ぎないのです。 サンフランシスコ平和条約の当該条文からはそのような解釈を一義的に導き出すことはできません。 条約はそこまで述べていないのです。 条約に在日朝鮮人の国籍に関する条項がない以上、当該条文だけでは在日朝鮮人日本国籍を喪失させることができないわけです。

>>要不要が検討できるということは、「在日朝鮮人国籍選択権を付与することは条約に明確に違反する」とのあなたの主張が誤りだということです。
>現行条約にはそのような規定はありませんので、国籍選択権を付与する事は現行条約に違反します。ですので、現行の平和条約以降にあらたに韓国との間で国籍選択権に関する条約を結ぶ必要がある、といっているのですが。

西村条約局長は、1951年11月5日、衆議院平和条約特別委員会で、「特に日本人としていたいとの希望を持っておられる諸君のために、特別の条件を平和条約に設けることの可否という問題になるわけです。その点を研究しました結果、今日の国籍法による帰化の方式によって、在留朝鮮人諸君の希望を満足できるとの結論に達しましたので、特に国籍選択というような条項を設けることを(連合国側に)要請しないことにしたわけです」と答弁しています。 すなわち、「特別の条件を平和条約に設けることの可否という問題」に対して、国籍選択条項を設けることを、「帰化制度で対応できるから要請しない」とはっきり言っています。 「条約に違反するから要請しない」などとは言っていないのです。
以上をみれば、日本政府が、条約に違反するからではなく、自らの考えで国籍選択条項を要請しないとの判断を下したことが分かります。 しかしながら、条約にそのような規定がなくても、依然として国籍選択権を付与することはできます。 なぜなら、条約には在日朝鮮人の国籍に関する規定がないからです。 もし条約に国籍に関する条項があれば日本政府はそれに従う義務がありますが、そのような条項が設けられなかったということは、在日朝鮮人の国籍の得喪については日本政府の自由裁量に任されたということです。
当時の吉田茂首相の「・・、選択して国籍を与えるわけではありませんけれども、・・・特に、朝鮮人日本国籍を与えるについても、・・・、この問題については慎重に考えたいと思います」との同平和条約特別委員会における答弁は、まさにそれを踏まえた発言です。 あなたが仰るように「国籍選択権が条約に違反」することが本当なら、もはや考える余地などありませんね。 「慎重に考えたい」と思っても無意味です。 いくらなんでも吉田茂がそこまで間抜けな首相ではなかったでしょう。



■G 2009/12/23 02:45
> (A)で述べた「日本人」とは(=内地人)のことです。 

内地に居住する朝鮮人は、内地に居住するのにどうして日本国籍を失うわけ?というのがRさんの主張だったはずでは?
この理屈をそのまま当てはめたら、朝鮮に居住する内地人は居住する朝鮮が日本ではなくなったのだから、当然国籍喪失しなくてはなりませんね?朝鮮に居る内地人には帰属を基準にする一方、内地に居る朝鮮人には居住地を基準にし、日本人(=内地人+朝鮮人+台湾人)という枠組みを維持出来るという主張をされているわけで、明らかに矛盾していますよね?
朝鮮半島にすむ朝鮮人と内地人は条約発効までどちらも日本人でした。なのに、なぜ条約発効と同時に朝鮮人だけが国籍を離脱し、内地人は日本国籍を維持出来るとおっしゃるのですか?条約には領土の規定しかないとおっしゃっていたはずですから、領土とそこに居住することだけで説明してもらえると期待します。是非回答よろしくお願いします。同じ朝鮮に居住しているのに内地人と朝鮮人で国籍で異なる扱いを認めるなら、内地に住んでいても内地人と朝鮮人で国籍で異なる扱いになる事は何らおかしくないですよね?

> 「特別の条件を平和条約に設けることの可否という問題」に対して、国籍選択条項を設けることを、「帰化制度で対応できるから要請しない」とはっきり言っています。「条約に違反するから要請しない」などとは言っていないのです。

当たり前ですよ。発効前の条約に違反するから同じ条約に条項を盛り込まない、なんて意味不明な事言うわけないじゃないですか。必要なら例外規定として盛り込めばいいのです。しかし、朝鮮と朝鮮人民の日本からの独立の回復、また大韓民国在日朝鮮人への対人主権宣言などの趣旨から、そのような規定を盛り込む事を必要としないというのが関係諸国の一致した見解となっており(これらも件の公開文書の中の占領軍担当官による仲裁の記録などに書かれている事です)、その流れを受けての条約局長の発言ですから。
で、繰り返しておきますが、私が言ってるのは、条約に特段の規定がないまま国籍選択制度を国内法で制定する事が条約に反する、ってことですよ?だから今の条約によらないで別途国籍選択制度に関する条約を結んだ上であれば何ら問題ない、って何度も言ってるんですけど?



■G 2009/12/23 15:22
> 「内地人の扱い」って、日本政府が日本人に対する対人主権まで放棄したわけではないでしょ?

と、日本政府の対人主権が日本の領土を超えて朝鮮の領土内にも及ぶのだ、と主張していたはずなのに、

> ここでいう朝鮮人とは朝鮮の国家の国籍規定に基づく国民を意味します。

と、朝鮮の国家の対人主権は朝鮮という領土の内部にしか及ばない、というのは明らかに矛盾しますね?
従来、日本は朝鮮人(世界中のどこに居るかを問わない)への対人主権の根拠として韓国併合を使ってきました。「併合してるから朝鮮人も日本人扱いだ!」と言って来たわけですよ。しかし、条約で併合状態を終了したわけですから、条約発効後日本が朝鮮人(世界中のどこに居るかを問わない)に対して対人主権を行使する事は国際法上根拠のない不当なものとなります。「『併合してるから』って言ってきたんだから、当然併合終わったら朝鮮人は日本人扱い出来ないよね?」って話になるのは当たり前の事ですよね?実際、日本は併合状態の解消を規定する条約を根拠に、発効以降対人主権はおよばないとしている(国籍離脱を確認している)わけです。
大韓民国は「在日韓国人の法的地位に関する見解」(ここのページの一番最初に書かれていますね)の中で

 1948年大韓民国政府の樹立と同時に当然の事ながら在日大韓国民は母国の国籍を創設的ではなく、宣言的に回復し、国連からの承認も国際公法上確認され、日本国籍は解放と同時に完全に離脱されたのである

と在日に対する一律の対人主権の宣言をしています。これが「朝鮮の国家の国籍規定」ではありませんか?この宣言を根拠に韓国によって定められた在日に対する国民登録手続きがあるわけで、あとは在日自身によってそれが行われるかどうかだけの話ですね?ここまでくれば、単に親の不作為で出生届の出ていない子供の国籍の問題と同じですね。



▼R 2009/12/25 00:51
>朝鮮半島にすむ朝鮮人と内地人は条約発効までどちらも日本人でした。なのに、なぜ条約発効と同時に朝鮮人だけが国籍を離脱し、内地人は日本国籍を維持出来るとおっしゃるのですか?

朝鮮の国家の国民の規定が朝鮮人にしか適用されないからです。

>内地に住んでいても内地人と朝鮮人で国籍で異なる扱いになる事は何らおかしくないですよね?

おかしいです。 朝鮮の国家が自国民をどのように規定しようとも、その効力は国外には及ばないので、内地に住む朝鮮人日本国籍は内地人の日本国籍同様に維持されたままです。

>しかし、条約で併合状態を終了したわけですから、条約発効後日本が朝鮮人(世界中のどこに居るかを問わない)に対して対人主権を行使する事は国際法上根拠のない不当なものとなります。「『併合してるから』って言ってきたんだから、当然併合終わったら朝鮮人は日本人扱い出来ないよね?」って話になるのは当たり前の事ですよね?

一概に当たり前とは言えません。 条約で日本は朝鮮領域のすべての権利を放棄しましたが、日本領域の権利を放棄したわけではありませんから。

>しかし、朝鮮と朝鮮人民の日本からの独立の回復、また大韓民国在日朝鮮人への対人主権宣言などの趣旨から、そのような規定を盛り込む事を必要としないというのが関係諸国の一致した見解となっており(これらも件の公開文書の中の占領軍担当官による仲裁の記録などに書かれている事です)、その流れを受けての条約局長の発言ですから。

大韓民国の対人主権宣言も「関係諸国の一致した見解」も(そんなものが本当にあったとしても)、日本に対する法的拘束力はありませんね? 国際的に法的拘束力を持つのはサンフランシスコ平和条約だけですから。 仮にどのような流れがあったとしても、国籍選択制度を要請しないで帰化方式で対応すると決断した責任が日本政府にあるのは明らかです。 国籍選択制度が必要かどうかの判断責任を日本政府が負うべきなのは言うまでもないことです。 行き着くところは日本の国内政治の問題ですから。 先述の衆議院平和条約特別委員会における吉田茂首相の内政問題の観点に基づく発言が如実にそれを表していますね。 結局、条約に朝鮮人の国籍に関する規定が存在しないのですから、在日朝鮮人日本国籍を剥奪した責任が日本政府にあるということです。



■G 2009/12/25 05:43
> 朝鮮の国家の国民の規定が朝鮮人にしか適用されないからです。

ですよね?我々日本人が海外に在住していても日本の国籍法に基づいて日本国籍が確認されるように、内地に居ようがどこにいようが朝鮮人には朝鮮の国家の命令が適用されて当然です。ところがこの主張は

> 朝鮮の国家が自国民をどのように規定しようとも、その効力は国外には及ばないので、内地に住む朝鮮人日本国籍は内地人の日本国籍同様に維持されたままです。

という主張とは矛盾しますね?「その効力は国外には及ばない」以上、例えば朝鮮にいる内地人には日本が規定する自国民規定の効力が及ばないことになりますね?それのみならず、この原則に従えば、私たちが外国に行った場合、私たちの国籍は日本の国内法の規定に依らないということになってしまいます。かといって他国は外国人の国籍を規定する権利を持ちませんから、私たちは国内法の効力の及ばない外国では無国籍者になる、とでもいうのでしょうか?
Rさん自身は朝鮮人の事ばかり考えていてお気付きになっていませんが、「その効力は国外には及ばない」のですから、例えば当時日本軍が占領していた南方に居た日本人のように、第三国にいる内地人・朝鮮人・台湾人に対しても効力が及ばないはずですね?であれば、彼等は当然日本国籍を喪失するとおっしゃるのでしょうか?ちなみに日本は南方での権原・権利・請求権をすべて放棄しています(第2条(d)(f))。
いつも思うのですが、Rさんの主張では、そもそもの朝鮮人が「日本国籍」であるという根拠が示されていないんですよね。もしかして単に内地に居るだけで国籍が維持出来る、位にしか考えていないのではないですか?
朝鮮人が内地にいたとして、日本は一体何を根拠に朝鮮人を統治しているのですか?単に実態として支配していても、それが正当でなければ効力を持ちません。侵略や拉致が否定されるのと同じです。「もともとうちの領土・人民なのだ」という主張が侵略や拉致の正当性の根拠にされているわけですから、単に朝鮮人を「以前から日本人なのだ」と内地に住まわせているだけでは何ら正当性がありません。
国籍は対人主権の及ぶ範囲を示しているのですから、主権の行使が正当であるという根拠が必要です。で、内地の統治については、長期間平穏に統治を続けていることや周辺国との国境線の画定などの協定が根拠となっており、他国も内地人に対する日本の対人主権の主張に異議を唱えていません。一方、朝鮮の統治については「韓国併合」ということを正当性の根拠としており、それを諸外国が承認している事が根拠です。その「韓国併合」を根拠に朝鮮に帰属する者(国内外を問わない)に対して朝鮮戸籍令を施行し、その中の条文の「日本人の子は日本人」とする条項を根拠として朝鮮人を日本人扱いしています。
当時の国籍法は朝鮮では施行されず、また朝鮮人には適用されていません。これは満州で土地を所有し米作などを行っていた朝鮮人の土地所有の正当性が失われる事、中国国籍法との兼ね合いからの法的地位の問題があるためです。リットン調査団の報告書の中にも

 ---日本の国籍法は未だ嘗て朝鮮人がその日本国籍を喪失することを認めず。而して1924年の改正国籍法は『自己の志望によりて外国の国籍を取得したる者は日本の国籍を失う』との趣旨の条項を有すれども未だ右一般的法律を朝鮮に適用すべき旨の勅令の発布を見ず。---

と記されています。つまり、自発的意志により国籍の離脱をみとめる日本の国籍法が朝鮮で施行されていないことを根拠に、朝鮮人国籍喪失ができない、と主張していたというのです。
だから、朝鮮人は朝鮮の内外に関わらず日本の国籍法で定める日本人ではなく、別の規定によっているわけです。内地の国籍法を根拠に出来ない以上、朝鮮人日本国籍である根拠がどこにあるのかは非常に重要で、これが見つからなければ日本が朝鮮人を日本人扱いしていた事自体が不当とされてしまいます。で、その根拠が先に書いている朝鮮統治と朝鮮統治に基づく朝鮮戸籍令の規定だったわけです。
しかし、1945年9月9日の降伏文書調印で朝鮮総督府は解体し、アメリカ軍政庁による統治が開始されていますので、命令を発布した官庁が存在しません。根拠法であった朝鮮総督府官制(明治43年勅令第354号)も日本国との平和条約(昭和27年条約第5号)により昭和27年4月28日をもって失効しましたので、朝鮮総督府官制第4条に根拠を持つ朝鮮総督府令(朝鮮戸籍令など)は失効しています。
ということで、朝鮮戸籍令によっていた朝鮮人日本国籍の確認も出来ず、また朝鮮人への対人主権の根拠であった

「朝鮮は日本が併合している→朝鮮に帰属する朝鮮人へ対人主権が及ぶ→朝鮮人は日本人と言える」

という理屈も、最初の部分の「朝鮮は日本が併合している」が言えなくなっているわけですから、当然不成立です。このように、朝鮮人日本国籍を認めるための理屈がすべて否定されちゃうわけです。
Rさんはきっとここで「朝鮮帰属ではなく日本帰属なのだ!」とおっしゃるのでしょうが、日本人という法的地位や身分関係を規定しているのは、領土の併合を規定する国際条約である韓国併合条約を根拠にした朝鮮で有効な朝鮮総督府令の一連の命令(朝鮮戸籍令や朝鮮民事令)である事から、朝鮮に帰属していることが本質であり、またそのことが明白なわけです。そこを見て見ぬ振りをするのはどうしてですか?いつこの仕組みが変わったというのですか?これは平和条約発効まで一貫して維持されていた仕組みですよ?
日本国民として扱うための法的根拠がすべて失われたわけですが、これは別に特殊な状態でもなんでもなく、一般の外国人が日本国内に居るときの状態そのものです。この状態であれば帰属国が宣言する対人主権が日本国内の外国人に及んで外国籍になるのです。日本国民として扱うための法的根拠がすべて失われた状態であれば、朝鮮の合法政府である韓国は対人主権の宣言が有効となります。しかし、日本は自国以外のどの国の主権が有効かを決める立場にありませんから、日本国籍ではないことを確認すれば、あとは大韓民国他の決定にゆだねるしかありません。



▼R 2009/12/26 00:53
私の主張を矛盾と感じるのは、あなたがあまりに自分の考えに凝り固まった議論をするからです。 頭の中に出来上がった固定観念に囚われているから、他人の主張が捻じ曲がって聞こえるのでしょうね。 突飛な解釈をしてしまうのも無理のないことかもしれません。

>内地に居ようがどこにいようが朝鮮人には朝鮮の国家の命令が適用されて当然です。

朝鮮の国家の国内法の効力が外国にまで及ばないのは自明です。 国内法ですから。 外国の住民である在日朝鮮人に朝鮮の国家の国内法は適用され得ません。つまり、在日朝鮮人が正式に朝鮮の国家の国民になろうとしないかぎり、日本国籍を維持するのです。法的に朝鮮人にならないかぎり、法的に日本人だということです。

>例えば朝鮮にいる内地人には日本が規定する自国民規定の効力が及ばないことになりますね?

日本の統治権は及ばないでしょう。しかし、内地人は日本国籍取得済みですので(既に法的に日本人なので)、日本は対人主権を持ちます。

>この原則に従えば、私たちが外国に行った場合、私たちの国籍は日本の国内法の規定に依らないということになってしまいます。かといって他国は外国人の国籍を規定する権利を持ちませんから、私たちは国内法の効力の及ばない外国では無国籍者になる、とでもいうのでしょうか?

ね? Gさんは時にとても突飛な解釈をされるでしょ? いくら私が法律のど素人だからって、こんな非常識な主張をするはずがありません。 これじゃあ、うかうか海外旅行もしてられませんね。 せっかく苦労して取った日本籍がパーになります。 まあ、私の説明が相当悪かったのでしょうが。 (でも、よくよくあなたの解釈を読んでみれば、在日朝鮮人が貶められた境遇にそっくりですね。 彼らが外国に行ったわけでもないのに、ある日突然、日本国籍を剥奪されて無国籍の外国人にされてしまった。 日本政府がかなり非常識なことをしたことが分かります。)

>Rさん自身は朝鮮人の事ばかり考えていて

子どもの頃は想像するのもイヤでしたね。

>いつも思うのですが、Rさんの主張では、そもそもの朝鮮人が「日本国籍」であるという根拠が示されていないんですよね。もしかして単に内地に居るだけで国籍が維持出来る、位にしか考えていないのではないですか?

まさか! そもそもの日本国籍の根拠が韓国併合だとは、あなたが厭というほど述べられているではありませんか。 もう、耳にたこが5,6個できてます。

>朝鮮人が内地にいたとして、日本は一体何を根拠に朝鮮人を統治しているのですか? (途中省略) しかし、日本は自国以外のどの国の主権が有効かを決める立場にありませんから、日本国籍ではないことを確認すれば、あとは大韓民国他の決定にゆだねるしかありません。

所詮あなたの独自解釈に過ぎないのです。 私が言ってるのは、「そんなこと条約に書かれていないでしょ?」ってことです。 日本の国内制度をクドクドと解説されたところで、国際条約の知ったことじゃありません。 あなたのご立派なお説も、私にとっては「馬の耳に念仏」なんですよ。 あなたは「日本国民として扱うための法的根拠がすべて失われた」と仰るけれど、サンフランシスコ平和条約で日本が放棄したのは朝鮮領域の権利だけであって、日本領域の権利をすべて放棄したわけではないのです。 従って、在日朝鮮人日本国籍の取り扱いをどうするかは、平和条約に朝鮮人の国籍についての規定がなく朝鮮のいずれの国家とも国籍に関する条約を結ばない以上、日本の国内管轄事項というのが国際法の原則です。 
日本国内に存在する日本国籍を左右できるのは日本の法律しかありません。 日本国憲法第10条は「日本国民たる要件は、法律でこれを定める」と規定しています。 既存の制度が時代遅れになって現状にそぐわなくなれば作り変えればよいのだし、想定外の状況に適切に対応するために新しい制度が必要というなら立法措置を講ずれば済む話です。 いずれにせよ、憲法は法律によらず解釈のみで日本国籍を喪失させるというような行為を禁止しています。 日本政府はそれを知りながら意図的かつ恣意的にやったのです。 日本は在日朝鮮人日本国籍を、本人の意思を確かめることもなく、違法に剥奪したのです。



■G 2009/12/26 03:38
> 朝鮮の国家の国内法の効力が外国にまで及ばないのは自明です。 

この主張は早速問題ありなんですが、判りますか?
「日本人の子は日本人」とする国籍法は国内法であり、Rさんの主張では日本国内でしか有効ではありません。ですので海外では日本の国籍法が有効ではありません。とすると、海外で生まれた日本人の子は日本国籍となる根拠がありませんね?せいぜい慣習上治外法権が認められているとされる在外公館内でしか有効ではありませんから、どんなにひいき目で見ても在外公館に出生届を出すまでは日本国籍ではない、ということになっちゃいますね。
しかも、生まれた国が出生地主義で国籍を決める国だったら、話はもっとややこしい方向に。日本人の子として生まれても、滞在国では日本の国籍法は有効ではないため日本国籍とは言えません。一方、現地で施行されている法律は有効ですから、そのまま現地の国籍が確定してしまいます。現地の国籍を持つものが日本の公館に出生届を出す理由がありませんね。現地では日本の国内法は有効じゃない、というRさんの主張に基づけば、そもそも出生届を出せる根拠すらありません。
ところが、現実には届が出ていなくても日本国籍を取得します。出生届の出ていない無戸籍児であっても日本人の子という要件を満たしている限り当たり前のように日本国籍を確認され、日本のパスポートをもらえるのと同じ理屈ですね。
このように国籍は要件を満たせば自動的に持つものであり、要件を満たさなくなれば手続きしていなくても勝手に失うものです。国籍はどの国の主権が及んでいるかを示すものですから、手続きで主権が及ぶかどうかが変わることもありますし、手続きがなくても国際法の規定で勝手に主権の及ぶ範囲が変わることもあるわけです。たとえば日本には領土の分離や併合に関する国内法はありませんが、国際法の規定で領土を増やしたり減らしたりしていますね?これと同じ事が人に対しても起きているだけですよ。

> 日本の統治権は及ばないでしょう。 しかし、内地人は日本国籍取得済みですので(既に法的に日本人なので)、日本は対人主権を持ちます。

あの、統治権ってのは「対地主権(領土高権)」「対人主権(対人高権)」「自主組織権」という三つの主権からなるものなんですが?なので、「日本の統治権は及ばないが対人主権を持つ」っていわれても、何を言っているのかそもそも意味不明なんです。
「対人主権」とは人に及ぶものであって、その人がどこに居るかに関係しない主権です。だから海外では日本の「対地主権」が制限され、自国民に対する「対人主権」が効力を持つのですよ。そして国籍法は対人主権を根拠に制定されているのです。これが海外で生まれた日本人の子に対しても国内法の国籍法で日本国籍を認められる根拠になります。

> ね? Gさんは時にとても突飛な解釈をされるでしょ? いくら私が法律のど素人だからって、こんな非常識な主張をするはずがありません。 これじゃあ、うかうか海外旅行もしてられませんね。 

申し訳ありませんが、あなたの主張をその通りに追いかけて行くとどうなるかの話をして、ほらこんなに奇妙な話になるでしょ?と言っているだけなんです。突飛だとか非常識だとか思われるなら、それくらいあなたの主張が突飛だったり非常識だってことなんですよ。

> サンフランシスコ平和条約で日本が放棄したのは朝鮮領域の権利だけであって、日本領域の権利をすべて放棄したわけではないのです。

繰り返しておきますが、すべての権原・権利・請求権を放棄してるんです。その権原・権利・請求権の中の一つに統治権があるわけですが。統治権には「対地主権(土地に対する主権)」「対人主権(朝鮮人に対する主権)」「自主組織権(朝鮮内での法令の決定施行)」の三つが包含されていて、朝鮮人はこの対人主権に基づいて支配されていたに過ぎません。内地だろうが満州だろうがシンガポールだろうがドイツだろうが、とにかくどこに居ても日本が行う朝鮮統治の対地主権の下にあったのです。となると、条約発効で統治権が消滅したら、日本が在日朝鮮人に対人主権を宣言出来る根拠がありませんね?朝鮮人に対する対人主権は放棄していない、と主張するのが無理なのは判りますね?対人主権は領域に関係ない主権ですから、対人主権を放棄していないとすると半島に居る朝鮮人日本国籍を離脱出来ません。
Rさんは

> まさか! そもそもの日本国籍の根拠が韓国併合だとは、あなたが厭というほど述べられているではありませんか。もう、耳にたこが5,6個できてます。

とおっしゃる通り、併合という朝鮮地域における権原で朝鮮人日本国籍を主張しているわけです。その権原が失効してしまうのですから、主張の正当性が無くなり、不当な主張とされてしまうのです。国籍は既得権でもなんでもありません。ちょうど

  今まで借用書(併合)を口実に債権(国籍)を主張して取り立てていた人が、
  借用証(併合)の無効が確認された後も
  「借用証は無効でも、俺の言う通りに金を持ってくる(内地にいて暮らしている)から」
  と言って債権(国籍)を持っていると主張出来る

という位奇妙な話です。
どの国の対人主権が及ぶかどうかを示しているものですから、併合を根拠に支配していた人たちは、併合が根拠に出来なくなれば当然支配から離脱することになる。日本が支配する正当性が無くなった人に、自国の国籍を認める事自体が不可能でしょう。それやっちゃうと侵略や拉致とおなじですよ。



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■Gさんと▼Rさんの議論は以下のエントリーに続きます。
「④在日朝鮮人の「参政権停止条項」の成立などについての議論」
http://d.hatena.ne.jp/furukotobumi/20100130/p1